近衛隊への出世
二話更新予定の、一話目です。
異世界転生141日目の夕方。
俺は最後の多民族帝国王都の王城、
その私室にてこの国の王女姉妹と会っている。
給仕兼護衛のメイドは、
二人の後ろに立っている。
顔面偏差値が低い事を考えるに、
腕が立つ者を選んだのだろう。
「ジンと申します。」
二人が長椅子に座るのを待って、
発言してみる。
……えっと、丈が短いのか、
椅子が深過ぎるのか、
下着が見えていますが。
姉は桃色、妹は水色に染められた絹だろうか。
ドレスも同色で揃えているから、
狙ってやっているのだろう。
「そんなに気になりますか?」
メイドの歓迎の挨拶を聞き流しながら、
ついガン見していた様だ。
まぁ、見られている事に気付いても、
隠す気は無い様だが。
「失礼致しました。
あまりにお綺麗だった為、
目を奪われておりました。」
もちろん、まだ目を奪われたままだが。
てか、隠されないなら見るしかない。
「ルーメンという国から仕入れた、
最高級品です。」
俺が造った下着かよ!
いや、萌えるからいいんだけど。
道理で俺好みな訳だ。
「左様でございましたか。
拝見出来て光栄で御座います。」
「平民では手の届かない品ですが、
お気に召したのなら幾つかご用意しましょう。」
「そうですね。
お兄さんはこの国を一度救ったのですから、
報奨に丁度良いでしょう。」
王女妹、声が凄い。
イリンの声も良いけれど、こっちは完全な妹声だ。
「義勇兵としての仕事を全うしたまでです。」
まぁ、その対価が絹の女性下着とは、
理解に苦しむ褒美だが。
「その事ですが、
今から貴方には私達の近衛隊として、
王城を守って貰います。」
「私の上官はソルト卿ですが?」
引き抜きか。
義勇兵と比べたら出世なんだろうが。
「安心して下さい。
お兄さんの処遇は伝えてあります。
国王代理の承認も得ていますよ。」
先程、ソルトさんが、
中々控え室に戻って来ないと思っていたが、
色々と工作活動に巻き込まれていたらしい。
「確認ですが、
王城を守るという事でよろしいのですか?
王族や王都は犠牲にして良いと?」
一応、正確な事を確認しておかないとな。
王城だけ、を守る事も可能なのだから。
「……私達王族を守りなさい。
そして、王族が住まう王城を守りなさい。
ついでに王都も守れるなら助かります。
これで分かりましたか?」
「私に可能な範囲で努力する所存に御座います。
ところで、待遇などはどうなりますでしょうか?」
「お姉様、本当に失礼な冒険者ですよ?」
いやいや、大事な事ですよ?
特にそれで生計を維持する者なら。
「いいじゃないですか。
雑事でも全うしたならば、
貴族に取り立てるのでしょうから。
もしかしたら、
私達の婿に指名されるかも?」
「……私は嫌ですよ。」
「言っておきますが、
私には相応しい方がおりますからね。」
えっと、完全に俺を無視して、
俺の今後について話している訳だが。
俺は王女妹の配偶者になるらしい。
てか、雇用条件の話は無視かよ!
近衛隊なら義勇兵と違って、
飯が増えるだけじゃないだろ?
なんか立派な鎧とか来ていたし。
「……私としては、
お二人供でも構わないのですが。」
まぁ、話す気が無い事を聞いても仕方ないので、
俺の目的をさらっと表明してみる。
既に決定事項だがな。
何時付けたのか知らないが、
王女姉妹を巫女天狗が宇宙から監視している。
なぜか、ピネーちゃんまで監視対象な訳だが。
「まぁ、なんて考えでしょう。
冒険者と言っても、もう少し身分について、
お勉強なさった方が良いですよ?
いえ、お兄さんにそんな事言うのは酷ですよね。」
妹君を怒らせてしまったらしい。
王女妹は俺を小馬鹿にする加減が、
王女姉より強い気がする。
「お止めなさい。
私達の品位が下がります。
戦果は残したのですから、
そこは評価しなければなりません。
王女二人を娶るなどという発言は、
あまりに傲慢ですが、
冒険者ですから貴族の様な振る舞いを、
最初から期待してはいけません。」
……姉君は笑顔だが機嫌は損ねてしまった様だ。
というか、こっちも俺の事をかなり見下しているのな。
「私が居なければどうなっていたか、
分からない程の危機に瀕していたと思いますが。」
「……本日は失礼させて頂きますね。」
不都合な事は答えないのか。
……それで、
近衛隊の件は誰が説明してくれるんだ?
ありがとうございました。
二話目も直ぐに投稿させて頂く予定です。
バブみと言いながら可○那由多に引かれる今日この頃です。
DEAREST DROPもいい感じ。




