多民族帝国のある王国の第二王子
三話目です。
異世界転生141日目の昼。
俺は多民族帝国のある王都の、
王城に向かっている。
義勇軍は王都外縁に練兵場があったので、
城壁の内部へ入るのは初めてだ。
まぁ、閉鎖されていたしな。
ソルトさんと従者の先導の元、
城門を潜ると、そこは見違える様な都市だ。
というか、城門開けて良いのか?
兎に角、城壁を越えると、
石造りの建造物が並び、活気は無くても、
栄えていた都市という事は分かる。
爆音が届いていたのか、
人影も殆どなく、
大通りを真っ直ぐ王城に向かっている。
「ソルトさん、少し治療をしましょうか?」
「いや、ジンの力を、
こんな老兵に使う事は無いのじゃ。
王城に着けば、魔法士が手当をしてくれるしの。」
従者は不満そうだが、
ソルトさんに逆らったりはしないらしい。
完全武装で分かりにくかったが、
一人は城壁内部で会った、
貴族らしき身なりのいい男だ。
「この方の身分を伺ってもよろしいですか?」
これからややこしい事に巻き込まれそうだしな。
情報収集は大事だ。
「我はソルトブート侯爵である。
父ソルトの後継者だ。」
ソルトさんって侯爵だったのか。
まぁ、高位貴族でなければ近衛隊長は務まらないが。
「ソルトさんは、ソルト・ソルトブートだったのですか?」
「父が偏屈な男じゃったのじゃ。
姓を大切にしろという事だった様じゃが、
大分恥ずかしい思いをしたの。」
少し話すだけだが、
ソルトさんは肺にも損傷を負っている様だ。
「残念ですが、お言葉は無視させて頂きます。」
ソルトさんの馬を止め、
振り落とす勢いで引き下ろす。
ソルトブート卿は静かに見守っているから、
分を弁えている様だ。
アインの力を借りて、ソルトさんの肉体内部の損傷を、
光魔法を用いて治療する。
馬に上げて再出発だ。
「ジンよ、ありがとう。」
「これからの事に、
ソルトさんがいないと困りそうですから。」
「その点は安心して良いぞ。
ソルトブートに任せているからの。」
いやいや、それが心配なんだって。
異世界転生141日目の昼過ぎ。
俺は多民族帝国のある王都の王城にいる。
結局、敷地に入るのに一悶着。
国王代理(第二王子)との謁見の取り付けで、
更に一悶着。
因みに、第一王子は国王と供に、
多民族帝国の帝都に居た。
この王都への攻撃の前、
元々予定されていた丑三つ時に帝都は攻撃され、
為す術無く、ルーメン公国の支配下に入っている。
王族の男は殺し、女は慰み者へ、
生粋の処女は俺への献上品だ。
他にも、俺好みの生粋の処女は、隷属の首輪を嵌められて、
東ルーメンに移送しようとしている。
多民族帝国も残りはこの王都だけって事だが、
俺がいる限り、支配する事は間違いない。
「ジン、これから第二王子との接見だが、
呉々も刃向かわない様に。
第一王子と違って、少し愚かな男なのだ。」
王城の魔法士による治療を受け、
元気になったソルトさんがそんな無茶な事を言って来る。
「えっと、ご期待には添えないかと。」
「ジンならそう言うと思っての。
もし、無事に謁見が済めば、
王女との面会が可能じゃ。」
「可愛いのですか?」
「可愛いぞ。
昨夜抱いた青髪に匹敵するからの。」
「ソルトさんの姉君の孫って聞きましたが。」
「……その事を伝えた者は逝ってしまったがの。
黙っている様に、言ったはずなんじゃがのぉ。」
うわぁ。
死んでたら責められないし、なんか申し訳なくなる。
「えっと、すいません。」
「いいのじゃ。
それよりも、王女と会う事を楽しみにしておくのじゃ。」
そんなに可愛いのだろうか?
まぁ、アインが何も言って来ないって事は、
期待しても良いんだろうが。
ありがとうございました。
今回で連続更新は終わりです。
バブみを感じたいです。




