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巨大数による異世界介入  作者: 社畜を辞めたい
207/233

侵略軍の第一次攻撃

二話目です。

異世界転生141日目の朝。


俺は多民族帝国のある王都付近にいる。

義勇兵として王都防衛戦に参加する為だ。

もちろん、相手は俺の侵略軍だが。




黄組は王都郊外にある草原に陣取っている。

侵略軍の姿は微かに見える程度だ。

結構離れている気がするが。

まぁ、まだ睨み合っているだけだしな。


各義勇軍は最も王都に近い場所に展開して、

その前方、敵の前には騎士団が集まっている。

左には青組、右には赤組が見えている。

騎士団の違いは知らないが。


榴弾砲を警戒しているのか、

それぞれの距離はかなり離れている。

それこそ各部隊が、砲を避けながら、

右往左往出来る程度には。

……榴弾砲はただの砲じゃないがな。

爆発するから、この距離だと詰め過ぎだと思う。



俺は黄組の最後尾にいる。

もちろん、魔法使い枠のピネーちゃんも一緒だ。


甘えが出ているのか、

ピネーちゃんに引っ付かれている。

まぁ、魔法が明瞭に発動出来ないらしいから、

手を継ぐことが出来ない代用だと思う。



黄組自体は各番隊で小集団を作って、

それぞれ離れて砲に対応しようとしてる。

……だから榴弾砲は爆発するっての。

いや、連続で飛んで来ないと思っているのか。



「緊張し過ぎると、簡単な魔法も撃てないよ?」


「ジンさんみたいな冒険者と、

 一緒にしないで下さい。」


「仕事柄、怖い思いもしているだろ?」


「……私はまだ見習いというか、

 皆さんの性欲処理係というか、

 そんな感じなので、

 後方の仕事しかやった事ないんです。」


少し前にいるアスカルさんには聞こえない様に、

小声で教えてくれる。


「それは武力に訴えないだけで、

 十分えげつない仕事だと思うが。」


「まぁ、でも刺されそうになったら、

 他の方が出て来てくれるので。」


「お姫様か。」


「そりゃあ、皆さんの相手をしてますからね!」


そんな自信満々にビッチを宣言されても困る。




こんな他愛のない会話をしていると、

地響きの様な音が止まらなくなる。


餅搗きの様にリズム良く、

ポンポンと榴弾砲を発射している音だ。


まぁ、ピネーちゃんが何をしていたのかを、

知る事が出来たから、有意義な時間ではあったが。


「ピネーちゃん、魔法撃って。」


着弾まで数秒有るが、

すっかり俺との話に夢中になっていたピネーちゃんは、

直ぐには集中出来ない。



雷魔法を用いて、上空の榴弾砲を一瞬停止させる。

気体密度を上げて、衝撃を与えてしまえば、

上空で爆発して、

黄組に損傷を与える程の威力は出ない。


公国の砲には不発弾対策として、

弾底信管を必ず装備しているからな。



今回、爆撃機による毒ガス散布や、

焼夷弾による絨毯爆撃を行わない理由は、

滅ぼす事が目的ではなく、

占領する事が目的だからだ。

殲滅したり、焼き払ったら治める意味が無いだろう?



雨霰と榴弾砲が降り注いで来る。

ピネーちゃんが落とせるのは随時一発か二発。

これでも、一般的な魔法使いとしては、

かなりの技量だと思う。

普通は魔法が当たらないからな。


撃ち漏らした全てを俺が処理をする。

その間にも、榴弾砲によって、

黄組以外の全ての軍が吹き飛んでいく。


殺傷範囲の広さを甘く見積もり、

弾の数を甘く見積もり、

継続性を甘く見積もり、

そんなんじゃ、榴弾砲による絨毯爆撃で壊滅だ。



まぁ、高レベルの数人が、当然生き残っているが。

狙撃銃によって狙われて一人、

また一人と数を減らしていく。



爆音が響く中で、

黄組の連中が自分達の状況を理解し出した様だ。

驚愕と言う程、動揺してはいないが、

異物を見るような目で見てくる。


好意的なのはアスカルさんや、

ポアブルさんなど各番隊長と、

今にも襲いかかって来そうなピネーちゃんだけだ。



俺にも狙撃銃が撃たれた様だ。

音速を越える程度の速度で弾が飛んで来る。

遅いな。


剣を抜き、弾頭からかち割る。

若干方向を調整する事で、

俺にもピネーちゃんにも当たらないようにする。


数度繰り返すと、他の陣地への砲撃が止み、

全てが黄組へと降り注いで来る。



侵略軍が何を意図しているか、

俺には分かってしまう。

電磁投射砲の照準を合わせる時間稼ぎだ。


発射筐体が車である分、

どうしても照準に時間が掛かるからな。

これからの改善課題だ。

巫女天狗に一報しておく。

恐らく、油圧式の可動橋にすればいいんだと思うが。



そんな事を考えていると音速の12倍の速度で、

電磁投射砲に攻撃される。

流石に、剣だけではピネーちゃんに被害が出るので、

雷魔法を用いて衝撃波を低減して、六つに叩き切る。


一つ一つの欠片が地面に穴を穿っていくが、

俺達より後方は暫く只の草原だからな。

被害とは言えないだろう。



再度、電磁投射砲が撃たれる。

今度は四つが同時照準しているらしい。

と言っても、高が音速の域、

雷魔法と剣術によって対処出来る。




暫く、攻撃が止んでいるなと思っていると、

ソルトさんが従者を連れて馬に乗ってやって来る。

無傷とは行かなかった様で、

左腕と左足が無くなっている。


強引に火魔法で傷口を焼いてある様だ。

痛々しい。てか見ているだけで痛い。



「ジン、他の部隊も援護して貰えないじゃろうか?」


それは難しい問いだが、

そもそも侵略軍は後退するだろう。

まぁ、正攻法以外で攻めて来るだろうが。


「援護の必要は無いと思います。

 相手は下がっている様ですから。」


まぁ、まだ実際に後退している訳では無いが、

計画に従えば兵器で討てない程の強者が居た場合は、

一般的な奴隷兵の損害を抑える為に、

戦地を離れる事になっている。


「そうか、確かに攻撃が止んでいるの。

 ならば共に王城に来て貰えないだろうか?」


「ソルトさんが行っても、

 敗戦の責任を押し付けられるだけでは?」


「そこまで愚かでは無いと、儂は信じておる。」


そこに見えるのは王族への敬意だ。

気に食わないという理由で職を奪った相手に、

向ける感情とは思えないが。

まぁ、色々と事情があって、

首になっただけかもしれないが。


「それは義勇軍の上官としての命令ですか?」


「そうじゃの。命じる。」


「ならば、義勇兵として従うだけです。」


救助に黄組の総力を挙げる為にも、

俺をこの場から離しておきたいのだろう。

微妙な空気を感じるし。


真っ青になっているピネーちゃんの、

頬を撫で撫でして、更に撫で回してから、

俺はソルトさんの後に続く。

笑ってくれたから、大丈夫だろう。

ありがとうございました。


次回更新時には、今エピソードのヒロイン(姉妹丼)が出て来るはず。

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運営様からの削除通告があり、今は次作「対称性を破って現実⇔異世界変革」に夢中です。
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