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巨大数による異世界介入  作者: 社畜を辞めたい
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多民族帝国王都の戦争前夜

連続更新二日目です。

異世界転生140日目の昼。


俺は多民族帝国のある王都付近にいる。

散々マリンの熊耳と短い尻尾を堪能していたら、

いつの間にか寝てしまったからな。


今は練兵場に向かっている所だ。

約半日姿を消した事で、

私兵を何処かへ連れて行ったと思われているだろう。



「すいません、ジンさんでしょうか?」


少女とも呼べない幼い女児が話しかけてくる。

なんだか、某所に居たばばあに似ている気がする。

うん、無視しよう。


「ま、待って下さい。

 ソルトさんが呼んでいます!」


やっぱりあのババアの血筋か。

こんなに可愛くても、

そのうちあんなのになるのか……時間って残酷だ。


「手を繋いで行こうか?」


「え、はい。」


戸惑いながらも、手を差し出してくれる。

女児と恋人繋ぎをして散歩。

昔なら捕まってるな。




「ソルトさん、お久しぶりです。」


志願者を募集している小屋ではなく、

王都の城壁内部にある一室に案内された。

城門は閉まっているが、

潜り戸から中に案内された。


手狭な部屋だが騎士が数人に、

貴族らしき身なりのいい男もいる。

騎士も相当身分が高そうだが。


「おぉ、おぉ、ジン、元気だったか?

 今度は上手くやっているようじゃの。」


ソルトさんは相変わらずの、

じゃじゃ語だな。


「まぁ、色々とありましたが。」


「さて、時間もないので本題に入らせて貰うよ。」


早くも好々爺の時間は終わりらしい。

歴戦の老兵現るってか。

時間が無いって事はさっきの女児以外にも、

俺を探している子が居たのかな?


「これから話す事は、まだ口外してはならんぞ?

 明日の朝、戦争が始まる。」


随分、あっさりと言うもんだ。

勝てる可能性はほぼ無いにも関わらず、

守りたい様々な物が有るはずなのに。


「告知して準備した方がいいのでは?」


幾ら臨戦態勢だと言っても、

本当に実行に移すには時間が必要だろう。


「儂もそうしたいんじゃが、上が、な。」


「王子と近衛隊長ですか?」


ソルトさんの意見を無視する奴として、

教えられた名を告げる。


「他にも大勢と言っておこうかの。

 それで繋がりが無さそうなジンには、

 伝えておこうかと思っての。」


「アスカルさんにも伝えないんですか?」


「……まぁ、ジンには言っても構わないかの。」


「よろしいんですか?

 彼は飽くまでよそ者なのでは?」


騎士身分だと思っていたが、

もしかしたら近衛なんじゃないだろうか。

ソルトさんに賛同する近衛隊員、有りそうだな。


「目下の所、最強戦力じゃよ。

 義勇軍だけじゃなく騎士団でもじゃ。

 黄組に行った騎士達の話は聞いたであろう?」


黄組が頑張って誤魔化したらしいが、

分かる人間には分かってしまうか。

まぁ、青組のなんとかって奴の前例もあるしな。


「まさか、この者が?

 それは信頼出来るのでしょうか?」


他の騎士達もやや緊張し出した。

隙だらけとは言わないが、

そこそこ気楽にしていた姿勢が改まる。


「どうじゃろうか。

 面白半分で殺しもやるだろう。

 じゃがな、もう儂らには選択肢がないんじゃよ。

 

 さて、ジンよ。

 アスカルはな、

 王族の諜報部隊を率いているんじゃよ。

 驚くかもしれんが、黄組の多くはそういう連中じゃ。」


「いえ、それ位は知っていましたが。」


「……そうじゃったな。

 ジンは冒険者という割には切れ者じゃったわ。」


そこは笑う所ではないだろう。

騎士達が微妙な顔になってるよ。


「暗殺部隊であれば秘密は守るのでは?

 それとも私設された部隊なのですか?」


国家予算からでは無く、

王族の財布から出ていれば、

最終的にはソルトさんの味方にはならないだろう。


「暗殺とは、また穏やかじゃないのう。

 彼らには儂が知りようも無い、

 私的な任務が多いからの、念の為じゃ。」


「一応、納得しておきます。

 それで、私に話してどうするんですか?」


アスカルさんがそんな裏表の、

激しい人間には思えなかったから、

協力してくれると思うんだけどな。

まぁ、黄組全員がそうとは限らないか。


「準備じゃよ。

 ジンには活躍して貰わんと困るからの。

 必要な物があったら伝えて欲しいんじゃ。

 城下にはまだ物資があるからの。」


優先的に戦争準備を整えて貰えるらしい。

だが、必要な物はギフト:アイテムボックスに、

全て入っているしな。


「綺麗で可愛い処女とかは?」


「……真面目な話ならば準備するがの。

 生き血でも媒介にするのかの?」


「只の時間潰しですよ。

 今すぐ攻撃する訳にはいかないのでしょう?」


「偶発的な戦いかの?

 敵の反撃が始まっても、

 王都全周を一人で守ってくれるのかの?」


「さぁ、どうでしょうか?」


いや、本気を出せば可能ですがね。

そもそも敵ってのは俺の軍だし。


<我が神よ。

 侵攻軍の攻撃予定時刻は丑三つ時です。>


……まぁ、そうだよな。

なんで王都の事情に、

合わせないといけないのかって話だ。


塔型迷宮内国には、

初期の暗視装置が実在していたからな。

只の奴隷兵でも夜間侵攻が可能だ。


魔人国は化学が特に進歩していたが、

塔型迷宮内国には現代と遜色ない技術が、

多く残されていた。

まだ解明を進めている段階だが、

高度な機器もかなり充実してきている。

まぁ、遺産に頼っている事が不満ではあるが。


<こっちに合わさせろ。>


<仰せのままに。>


「……貴族の末席でも構わんかの?

 誘拐するからジンの身元が分からないようにの。

 あと、騎士が使える程度の光魔法によって、

 治るなら好きにしてくれて構わないからの。

 期限は、明日の朝までじゃ。

 それまでには解放してやってくれ。」


「無理矢理は性に合わないのですが。

 あと、場所の確保もお願いします。」


「察しが付く程度の頭は持っているはずじゃ。

 それに場所なら此処で良いじゃろう。

 音も漏れんし、誰にも見つからん。」


笑みを浮かべる姿を見るに、

大分好き者のように思われているらしい。

ありがとうございました。

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運営様からの削除通告があり、今は次作「対称性を破って現実⇔異世界変革」に夢中です。
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