冒険者ギルドカードの力
連続更新一日目。
異世界転生139日目の昼過ぎ。
俺は多民族帝国のある王都の、
奴隷商人の家にいる。
思ったより質素だ。
まぁ、普段商談に使ったりはしないだろうから、
商人故の見栄を張る必要が無いって事だろう。
机を挟んだ椅子に向かい合って座る。
一応、応接室はあるらしい。
私兵は俺の後ろに立たせておく。
「それでは、何を交渉されるのでしょう?」
お茶やお茶菓子が出てくる事はない。
そんな状況じゃないからな。
「もちろん、二階のあちらにいる、
貴方方以外の人間を見たいという事です。」
「ですから、私以外は誰もいませんよ。」
「そんな事を仰って。
一階のそちら側に居る方々はご家族の方では?」
二階に居る者達は明らかに体調が悪そうだが、
一階居る妻と子供(多分)は、
この状況にしては元気そうだ。
「貴方様を家に入れたのは話し合う為です。
家の中を彷徨かせる為ではありませんよ?」
「それならばソルトさんを呼びましょう?」
「そうでしたね。
しかし、居るかも分からない者を探す為に、
いらっしゃって下さいますでしょうか?」
「私とソルトさんの関係ならば、
断られる事は無いでしょう。」
多少の無理なら聞いてくれると思う。
多分。
「そのような関係があるようには見えませんが、
ソルト様とはどのようなご関係でしょうか?」
失礼な奴だな。
もし俺が高貴な身分だったりしたらどうするんだ?
いや、一応高貴な身分だけどさ。
「私は義勇軍へ志願しました。
今は黄組に配属されてます。」
「それはそれは、この王都をよろしくお願い致します。
しかし、志願者は多く貴方様は、その、
あまり荒事が得意なようには見えませんが?」
またかよ!?
そんなに弱そうかよ!!
なんで毎回武力を行使したり、
ギルドカードを出さないとならないんだ。
……能ある鷹は爪を隠す、なんてな。
このステータスで腕を太くする事なんて出来るのか?
それこそ惑星を割りそうだ。
「私はAランクの冒険者です。
ギルドカード見ますか?
細身に見えるのは、私が魔法使いだからです。」
「……えぇ、確認させて頂ければ幸いです。」
ギルドカード様々だな。
Aランクが表記された板を見て強張っている。
顔写真は無いからこの顔でも咎められないし。
「黄組組長のアスカルさんも同意見でしたが、
冒険者は血気盛んみたいですね?
それで他の住人には、
会わせて貰えるのでしょうか?」
「……分かりました。
こちらへお越し下さい。」
ありがとうございました。
本日はこれで終わりですが、明日も更新出来ると思います。




