黄組練兵場での訓練
連続更新二日目。
一話目です。
異世界転生138日目の昼過ぎ。
俺は王都義勇軍、その黄組の練兵場にいる。
魔法使いが榴弾砲の相手をするらしくその訓練中だ。
粘土質の土を丸めて玉にする。
それを幾つか纏めて放り投げ、魔法で破壊する。
多分、そんな練習をしているんだと思う。
練兵場の一角にあった土の山と、
散らばる残骸から察するに。
まぁ、抑え目で訓練している風を装う。
アスカルさん達は幾つかの隊に分かれて、
隊長が一人ずつ隊員の相手をしている。
所謂、地稽古だろう。
因みに一番隊隊長は、
アスカルさんが兼任しているようだ。
「魔法使いの方だったんですね。
今朝もお目にかかりましたが、私はピネーです。
よろしくお願いします!」
給仕の手伝いをしているのかと思っていた、
黄組の魔法使いピネーちゃんが帰って来た。
「こちらこそお願いします。ジンと申します。
アスカルさんから詳しくはピネーさんに、
聞くように言われたんですが、
訓練法ってこれで合っていますか?」
寧ろ合ってなかったら、
榴弾砲相手にどんな特訓をしていたのか気になる。
「合ってますよ!
でも、よく分かりましたね。
もしかして、実際に見たことありますか?」
「えぇ、ありますよ。
もっと大きな玉だったように思いますが。」
俺がこっちの世界に、
持ち込んだ兵器だからな。
まぁ、大砲が発明される程度には進歩していたが。
「そうなんですか。
もっと頑張らないといけませんね!
あ、あと私年下ですから敬語は止めて下さい。」
「……私の方が年下かもしれませんよ?」
これは此処が多民族帝国ならではのやり取りだ。
種族によって成長速度が異なるからな。
エルフの血でも引いていたら、
他の人間と随分な差が出るだろう。
「見た目のままって意味ですよー。」
愛想笑いをしてくれた。
いい子だ。
「えーと、では二人きりの時は普通に。」
「他の人がいても普通で良いです。
みんな私にはタメ口ですよ?」
「普通に話していると、
ちゃん付けしてしまいそうで。」
心の中ではピネーちゃんだからな。
うっかり口に出してしまいそうだ。
「ちゃん付けでもいいですよ。
ジンさんは魔法使いの先輩じゃないですかー。」
見た目は普通だけど性格はいい子だ。
いや、年上の扱い方を知っているという感じか?
非処女だし。
「では遠慮無く。
ピネーちゃん、他の魔法使いの方は来ないの?」
「あーそれがですね。
黄組の魔法使いは私達だけです。
他の魔法使いはみんな正規軍に入ってしまって、
義勇軍には残っていないんです。」
確かに魔法使いは貴重だからな。
正規軍での待遇はここよりずっといいか。
「二人で黄組全員を榴弾砲から守るのは、
大変そうだ。」
「作戦は隊毎にふらふら移動するらしいです。
当たりそうな物だけ、
対処してくれれば良いと言われました。」
「……榴弾、降ってくる玉って爆発して、
周囲にいると死ぬんだけど知ってた?」
「え?そうなんですか!?
ちょっと、アスカルさんに話してきますね。」
「待って待って!」
……行っちゃったよ。
殺傷範囲も聞かないと対応出来ないと思うんだが。
「ジンさん、公国軍の事に詳しいのか?」
一番隊を副隊長に任せて、アスカルさんがやってきた。
多分、副隊長。
「演習と称して、
あちこちで見せびらかしてましたよ?」
「いや、こっちの方には来てなくてな。
それで玉からどれくらい離れれば良いんだ?」
「私からポアブルさん位でしょうか?」
「そんなにか!?」
まぁ、即死範囲はその位だろう。
傷を負うのはもっと広いがな。
「ジンさん、私たちどうしたら。」
「爆発する前に撃ち落とすか、
空の高い所で爆発させるしかないと思います。」
「そんなこと私出来ません。」
「ジンさんなら出来るよな?
楽勝?簡単に?」
「アスカルさんが、
何を期待しているのか分かりませんが、
出来なくはないと思います。」
「そうか。んじゃ、後は任せた!」
任されました。
ピネーちゃんが固まっているがな。
「ピネーちゃんにも手伝って貰うよ?」
「も、もちろん私に出来ることはやります。
でも……ジンさん、魔法を教えて下さい。
対価がないのは分かっています。
どんな事をしても払いますから!」
……あーそうか。
この辺りの魔法使いは子弟制が多いんだったか。
弟子として扱き使いながら教え込んでいくと。
素養がある人間が少ないから出来る事だな。
「どんな事でも?本当に?」
ここは一応確認しておかねば男じゃない。
「なんでもしますから許して下さい」からの、
「だったら分かっているな?」と、
犯すのは定番のやり取りだし。
「えっと、その、優しくして下さいね?」
そんな嬉しそうに言われても。
好きなのか!?やりまくりなのか!?
「いや違うよ。
この辺りの名物料理が食べたいんだ。」
まるで鈍感系主人公だな。
いや、否定しているからヘタレ系主人公か。
「えー。
……ジンさんってそっちの趣味なんですか?
私恥ずかしいじゃないですか。」
「誤解が無いように言っておくと、
俺は女が好きだよ?」
あ、怒ってる。
でも次の言葉でもっと怒りそうなんだよな。
「処女しか自分の女にしないから。
ピネーちゃん経験豊富そうだし?」
「なんですか、それ。
自信がないって言ってるような物ですよ?」
「酷いよこの子!」
「どっちが酷いんですか!!」
声に出てたな。
もっとハッキリ言ってあげよう。
「非処女に興味は無い!」
「ジンさん酷い。」
泣かれちゃったよ。
顔に手を当てしくしくと。
黄組の何人かが睨んでくるんだが、
きっと兄弟なんだろう。
「料理のために材料が必要だよね?」
「……もしかして、知らない男と寝て、
調達して来いって言ってますか?
私だってそこまで節操無しじゃありません!」
いやいや、俺も今朝会ったばかりだから。
殆ど知らない男に分類されるから。
「さて、魔法の練習でもするか。
……いつまでやってるんだよ。
なんでもするって言ったんだから、
少々いじめられた位で拗ねるな。」
「……ジンさんって最低です。」
「魔法、教えなくて良いの?」
「いいです。話したくありません。」
嫌われたかな?
まぁ、非処女なんてどうでもいいんだが。
ありがとうございました。
薄着の子が増えて眼の保養になります。
きっと女の子にはキモいと思われているでしょう。




