王城への侵入
王との密談後、俺は震えるネブザガルから、ネプの皮の対価を貰って王城を後にした。
魔金貨が21枚入っていたのは、ネブザガルの配慮という奴だ。
俺にはまず、変装セットが必要だろう。
適当な店でフード付きローブを買って、顔を隠しながら人通りの少ない路地裏で、更にフード付きローブや暗めの色の上下を買った。
後はこの服屋の店主を消せば……まぁ、そこまでやる必要は無いか。
あ、モシエトンのこと忘れてた。
「ジン様!ご無事でなによりです。取引は無事に成立致しましたでしょうか?」
商業ギルドの前で、モシエトン氏は待っていてくれたようだ。
思い出して良かった。
「もちろんでございます。手数料等は必要でしょうか?」
「本来であれば、売買金額によって手数料を頂くのですが、今回私が同席しておりませんので、結構でございます。」
まぁ、実際にいくらになったのかが分からないもんな。
結局商業ギルドに売却したわけじゃないし、少しは利益を分配してあげよう。
「さようでございますか。では、両替をお願いしてもよろしいでしょうか?」
俺は、王都の宿屋に帰って来た。
早速今晩、王城に侵入したいからな、今のうちに一眠りしなければ。
マイには、屋台で買ってきたお菓子をあげた。
マイがお菓子に夢中になっている間に、俺はイリンを頂いた。
因みに、ネプの種族は古代竜ではなく、エンシェントドラゴンらしい。
意味違うの?
異世界転生18日目の深夜。
俺はイリンと共に起きた。
他の奴隷達は寝ていたが、ネプが不満そうに起きていた。
「私はいつも留守番なのか?」
「奴隷達を守ってやってくれ。」
ネプを後ろから抱きしめ、胸を堪能してからイリンを連れて王城に向かった。
「ご主人様、進入路を発見致しました。」
王城のほど近く、俺は変装してイリンの報告を聞いている。
イリンは変身(2)のギフトを持っているからな。
今はコウモリに変身中だ。
「行こう。」
発見した進入路に向かう。
まぁ、窓の戸締まりを忘れただけのようだが。
堀を越え城壁を上ると、至る所に兵士の姿が見えた。
巡回中の兵士に見つからないよう城に進入し、目的を果たす。
うん、中々心躍る展開だ。
城壁を降りるのは、得策ではなさそうだ。
城壁から城までかなりの距離があり、番犬がうろうろしている。
馬車で来たときは、王城の入り口まで乗ってたらしく気付かなかった。
魔法を使おう。
でも、ギフトの空間、時、量子魔法は使えない。
それぞれ強力な現象を引き起こせるが、原理をよく理解していない俺が使ったら、
どんな被害がでるか分からないからな。
王都を魔法実験跡地のような有様にはしたくない、今のところは。
無難に氷魔法で足場を作ろう。
俺は王城への侵入に成功した。
この部屋は、来客向けの部屋ではないからか、かなり質素だ。
椅子や机も王都の宿屋の方がいいものだろう。
「イリン、鼠に変身して廊下の様子を教えてくれ。」
「はい、ご主人様。」
イリンに偵察を頼みながら、上へ上へと登っていく。
王族ならば、ほぼ最上階に部屋があると見て間違いないはず。
うん、そんなに簡単だとは俺も思ってなかったさ。
メイド用の通路だと思われる道を進んできたが、重厚な扉の左右には騎士が立っていた。
王族のエリアとの区切りかな。
ここを突破できれば、第一王子の状態も確認できるだろう。
どうするか、侵入されたという痕跡すら残したくないのだが。
ありがとうございました。




