情報の信頼性
異世界転生133日目の夕方。
俺たちは塔型迷宮84階層にいる。
俺が考えに耽っている間に、
イリン達はまた一層、再攻略を果たしている。
目の前には、書類の山がある。
塔型迷宮に国を築いていた連中の技術や制度等、
様々な分析結果があるからだ。
だが、書類仕事は次の機会にしよう。
「ご主人様、夕食の準備が整いました。」
本日は牛鍋だ。
すき焼きと混同されがちだが、
今は関東風すき焼きなんて料理もあるらしい。
因みに、食事場所は小屋の外だ。
一面の雪、気温は零下だが、
皆厚着して挑んでいる。
こんな食事も、楽しいかもしれない。
……まぁ、まずは火が付かず、
リルエルの炎魔法の詠唱から始まる。
やたらと壮大な詠唱に意味は無く、
巫女天狗の誰かが作った物の影響だろう。
異世界転生134日目の朝。
俺たちは塔型迷宮84階層で起きた。
「主様、どうですか?」
おそらくアヤさんの企てにより、
昨夜からヨエルが頻繁に相手に訪れている。
まぁ、肉体関係から始まるって事も、
あるのかもしれないが、
相手がサキュバスだと食事?との差がないような。
イリンは俺の血を吸って激変したが、
ヨエルは俺の精気を吸っても変化は無い。
本人曰く、腹持ちが良いかもしれないとの事だが。
魔人国首相の例を鑑みると、
一回当たりの限度が決まっているのだろう。
別に、ヨエルが嫌がっているようには感じないが、
何処か諦めに似た物を感じ取ってしまう。
首相は敢えて壊したまま、
という状態にしている事が分かってしまう程、
親しくなった事が原因だと思うが。
異世界転生134日目の昼前。
俺はアインが操る神輿に移動して、書類仕事をしている。
ツヴァイとフェンフは、
ネプとアヤさんのベットを担当中だ。
リルエルとララの妊娠初期組は、
ドライによる管理の下、戦闘をしている。
加速度の影響を除いたり、
各種波動を減衰したりしているようだ。
リルエルの解放を目標に、皆で頑張るらしい。
二人の着床時期は俺が神族に変換された頃だろう。
まぁ、ヨエルの妊娠も近いかもしれない。
さて、勇者一行だが、
多民族王国国王に収監されたらしい。
第一報は商業ギルドのエグゼクティブマスターからだ。
次に冒険者ギルドから情報が来て、
最後に俺の奴隷が雇っている、
こちらの事は何も知らない商人から情報が得られた。
商業ギルドはこの戦争の勝者として、
エスパルト王国を認定したらしい。
その最先鋒でもあり、発展が著しく、
金払いも良い公国にも擦り寄ってきている。
いや、金に強い者は頭も良い物だ。
俺の事も推測しているだろう。
そして、この好待遇は何か切っ掛けがあって、
ある程度の確定情報として、認識できたと思われる。
どんな情報だっただろうか。
まぁ、巫女天狗に聞けば分かるんだろうが、
それは楽をし過ぎだろ?
俺の楽しみの為に、報告書に記載がないのだしな。
商業ギルドが明らかに利益をもたらしたのは、
新冒険者ギルドの設立の時だったように思う。
違うか。
農作物の収穫の為に、大量の手数料と共に、
労働を要請した時も違う。
そもそも、ギルド職員の4割を手伝わせる、
という行為自体が手数料とは、別次元の話だ。
まぁ、4割なんて数字は今知ったんだが。
分かっているさ。
先代神の時と同じく「最初から」という訳だろう。
ウインドドラゴンを狩った時にシュッタルト氏から、
商業ギルドのエスパルト王国王都本部への紹介状を貰っている。
それを利用して、エスパルト王国商業ギルド本部の、
モシエトンと知り合いその伝手で、
筆頭宮廷魔法士のネブザガル氏から、
フーリゲの居場所の確認をした。
その後、商業ギルドは、
勇者サクラの出現を知ったのだろう。
常識外の力の持ち主が現れたと思ったら、
ほぼ同時期に勇者の登場だ。
ウインドドラゴンを纏めて狩る事は、
Sランクの冒険者には出来る奴もいるだろうが、
ほぼ無傷のままと言うのは、無理だろう。
さて、勇者と同時に出現する力ある存在とは?
この世界にも勇者と魔王の話はある。
それが民俗学的な出自か、
異世界出身者による物かは分からないが、
魔王は悪として描かれる事が殆どだ。
魔王らしい俺が魔王か、サクラが魔王か、
商業ギルドはどちらとも、
接触を避けていたのかもしれない。
そのうちに、公国の勢力が増していくので、
選択せざるおえなかった、という事にしておくか。
ありがとうございました。
クリスマスは、ね。
嫁を愛でて癒やされましたが、本作の続きも書きたいし他の嫁も愛でたいです!
取り敢えず、机にいるルリルリを愛でながら続きを書こうと思います。




