エスパルト王国の闇
俺はネブザガルに連れられ、随分と王城の中を歩かされている。
だから、なんで俺は異世界でこんなにも歩かないといけないんだ!
俺は肥満体型だったんだぞ!
まぁ、今は標準体型に転生したが、根性まで変わるわけではない。
やがて、騎士が守る扉に辿り着いた。
はぁ、この先って王様がいるパターンだよな?
なぜこうなる。俺はネプの皮を高く売りたかっただけなのに。
「ジン様。失礼な事を申し上げているのは重々承知ですが、どうか御心を鎮めてエスパルト王国、国王フレイドと面識を持って頂きたい。」
「まぁ、私はお金が貰えればいいんですがね。」
あ、本音が出てしまった。
国王にも興味はあるが。
「ネブザガルです。」
二回ノックか。参考になる。
「入れ。」
扉の先にいたのは、今にも折れそうな老人だった。
眼光だけは鋭いが、ネプとは比較にならない。
「その者は?」
「この老人がエスパルト王国、国王フレイドです。こちらが勇者ジン様でございます。」
うん、分かった。俺は勇者らしい。
いつから!?
「えーと。私は希少な皮を売りに来たはずなのですが。」
「勇者様。そのような戯言は必要ございません。
この古代竜の遺骸。
まさに勇者様の偉業。私め代々語り継がせて頂きます。」
「だから!俺はただの商人だ!!この古代竜の遺骸だかなんだかを高値で売りたいだけだ!」
少し、ほんの少し殺気を発しながら二人に語りかける。
「申し訳ございません!筆頭宮廷魔法士の位を返上致しましても、高値で買わせて頂きます!!」
うん、疲れたよこの対応。
ふとフレイド王を見ると、意外と冷静だった。
「ネブザガル、私は勇者様と二人で話したい。」
「御意に。」
震えながらもネブザガルは下がっていく。
王様の偉功って、凄い物なんだな。
てか、俺の殺気でも顔色一つ変えない、流石だ。
「さて、勇者ではないというお主の名前を聞かせて貰えないか?」
「商人のジンと申します。私は、この皮を売りたいだけでございます。」
「古代竜の遺骸とのことだが、本当か?」
「間違ってはいないかと。」
確か、ネプは古代竜だったよな?
やばい、覚えてない。
「そうか。此度は迷惑をかけたな。魔金貨20枚でどうだろうか?」
魔金貨20枚ってことは、2000億円!?
この人間の大きさで換算して一人分ほどの皮がか!?
「異議はございません。」
「良かった、そのように手配しよう。
ところで、ジン殿は商人ということだが、普段からこのような希少品を扱っているのか?」
「重量に換算致しますと利益率が高いため、希少品を主に扱っております。」
「そうかそうか。では、ジン殿はアムステグルの秘宝を知っているか?」
「存じ上げませんが、希少品なのでしょうか?」
秘宝って名前からして、相当希少なんだろうが。
何をやらせる気だ?
「世界に一つの秘宝と伝わっておる。北の果てにある迷宮に埋もれているというが定説だ。」
迷宮って、あの迷宮か?
とっても興味がある、攻略したい!
「理由を、お聞かせ頂けますでしょうか?」
「他言無用で頼む。第一王子の病を直すのに必要なのだ。」
うわっ。
重いよ、理由が重いよ。
てか、俺に話していい内容なのか?
「精一杯、頑張らせて頂きます。」
まぁ、継承権第二位の動向を伺ってからだけど。
どっちにつくのが得かなー。
そもそも、本当に第一王子の病を直すためなんだろうか?
アムステグルの秘宝について、知っている人間を探さなければならない。
よろしくない可能性としては、他国への侵略兵器だよな?
ありがとうございました。
次の更新は、11月1日からの連休か22日からの連休になるかと思います。
そこで更新できない場合でも、四半期以内には更新します。
なお、時間が取れればいつでも更新させて頂きます。




