塔型迷宮攻略(84層)
四話目です。
異世界転生128日目の昼。
俺たちは塔型迷宮の83階層にいる。
森の中に一本の道。
此処が高度8300メートルとは思えない光景だ。
進んで行くと草原に出て、待ち構える魔人約二十。
特に攻撃してくる気配はない。
「お前達が侵入者か?」
いやいや、ここは迷宮なんだが。
迷宮の中に都市を造るのは良いが、
それを宣伝せず勝手に侵入者扱いはしないで欲しい。
「ここは塔型迷宮のなんとかって塔だと思いますが?」
塔型迷宮のどうでもいい名称は忘れた。
しかし、返答は貰えなかった。
問いを発した、
奴らの中央にいる大柄な男が攻撃してくる。
光速のシックスナイン、
つまり99.9999%の速度でだ。
ステータスによって光速を優に越えられるので、
男に向かって前蹴りを放つ。
現象は神力を伴わないと光速を越えられないが。
衝撃は光速を越えても、それ以降は光速にまで減速する。
奴の胸から下は量子に分解されて散らばっていく。
そして対生成を起こしながら、
その他の魔人へと到達して分解していく。
魔人を分解した物質は、更に後ろにあった空気を分解して、
更に広範囲の空気を分解していく。
さながら、ケスラーシンドロームだ。
残っていた奴の頭はペッタンして消滅させる。
さて、迷宮の壁までは被害は及ばなかったかな?
異世界転生128日目の昼過ぎ。
俺たちは塔型迷宮の84階層にいる。
正確には、その入口と言った所か。
「アイン、魔力を感じるんだが。」
「我が神よ。
恐らく転移魔法が組み込まれております。」
俺たちの前に立ち塞がるのは通路を占領する壁だ。
光沢からして、
オリハルコンを主体とした合金のようだが。
大抵の建造物は迷宮に吸収されるが、
これはその対象ではないようだ。
魔力を感じるという事は転移が可能なのだろうが、
どのような条件が設定されているか分からない。
構造自体はアインが分析できるが、
付与されているスキルがないとは限らない。
まぁ、大抵の場合はスキルを付与する為に、
それ専用のスキルが必要な訳だが。
俺はペッタンを用いて壁に穴を開ける。
簡単には進まず、迷宮の壁を溶かす程の温度を必要とした。
深さは数メートルと言った所か。
すると、奥から電磁波が照射されてくる。
直ぐさまアインに量子魔法を用いて消去させる。
次は穴全体に液体が迫ってくる。
恐らく、84階層の下部分を満たしている水だろう。
色はないが、壁が溶けているようなんだが。
石魔法を用いて、通路側の金属を変形して穴を塞ぐ。
オリハルコンを溶かすような謎物質の中を、
進みたくはない。
氷魔法を用いて浸食を防いでも、
目に入る光景に自信が持てないからな。
俺は迷宮の壁をペッタンする。
高度は関係ない。
雷魔法を用いて体を浮かせれば良いだけだからだ。
ツヴァイはネプ達を、
空間魔法を用いて運んでいるようだが。
迷宮の外に出て、
壁伝いに100メートルちょっと登る。
迷宮の壁をペッタンして中を覗くと、
塔型迷宮84階層への通路を、
占領していた金属が現れる。
更に10メートル程上の壁をペッタンするも、
結局同じ金属が見える。
もしかして、84階層はこの金属で囲まれているのか?
ありがとうございました。




