エンシェントドラゴンの価値とは?
ここはネプがいた魔領域だ。
アイスカッターで山が切断され、メテオストームで山脈を吹き飛ばされた土地だ。
そう、俺の魔法実験跡地だ。
分かったことは二つある。
1.魔力はエネルギーの一種であること。
2.魔力を消費すれば、属性魔法以外の効果も発揮すること。つまり新しいギフトが貰えること。
俺のステータスを見よ。
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名前:ジン・アサイ神様
種族:表記不可能
レベル:4643
生命力:表記不可能
魔力 :表記不可能
体力 :表記不可能
知力 :表記不可能
俊敏力:表記不可能
スキル:健脚(1)、炎魔法(10)、new 氷魔法(10)、雷魔法(10)、new 石魔法(10)
ギフト:成長補正(10→10→10→10乗)
魔神
new 空間魔法(10)
new 時魔法(10)
new 量子魔法(10)
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多分だが、新たなギフトとして認定された物は、後々スキルとして発現してるのではないか?
そして、光魔法と闇魔法はこの異世界で生まれた特異な個体でしか身につけることはできないのだろう。
才能という奴だ。俺が身につけられないんだからな。
「なぁ、神様。空間、時、量子の魔法は、まだこの世界の人間には早くないか?」
<もちろんです。適宜調整致します。だから消さないで下さい!>
うん、神様、ゴメンね?
因みに、他のみんなはネプの住処にいった。
別にいいですよ、ぼっちでも。
ぼっち。夜は常にぼっちだった。
先輩社員様は、残りのプログラムを俺に回して19時には帰る。
子供が待ってるんだってよ、死ね。
只管俺はプログラムを書く。
先輩社員様が作らないドキュメントも作成する。
でも、給料は先輩社員様の方が圧倒的に高い。
止めよう、昔を思い出すのは。
「ネプ、そろそろ帰るぞー。」
「随分お楽しみだったようじゃな。私の住処も影響を受けたぞ。」
「いいからいいから。マイ、楽しかった?」
「とっても楽しかったです!お兄様!」
うんうん。幼女の笑顔は癒やされるね。
「ところでイリンフォース。今日からお前をイリンと呼びたい。
いいだろうか?嫌じゃないか?」
「ご主人様。私のことなど、ゴミでも雌豚でもお好きなようにお呼び下さい。」
うん、止めてそういうの。
異世界転生18日目の朝。
俺はネプを抱きしめながら起きた。
うん、起きたのは別にいいんだ。
昨夜はネプの相手をしていたからな。
でも、なぜリルエルと一つになっているんだ?
しかも、きつきつのじゅるじゅるだ。
「ジン様。朝のお情けを頂けませんか?」
分かりました…。
王都の宿屋の食事にも、大分慣れた。
単刀直入に言えば、まずい!のだが、食べてるという感想を抱かせてはくれる。
他の食事は、食べているのではなく、摂取している感じだ。
さて、王都に戻ってきたならモシエトン氏を訪ねなければならない。
「ランク1商人のジンと申します。恐れ入りますがモシエトン様はいらっしゃいますでしょうか?」
「身分証を拝見させて頂いても構いませんでしょうか?」
そりゃ、初対面の受付嬢が俺のことを分かるわけないもんな。
それにしても、この受付嬢美人だ。
まだ少女の面影があり、キリッとした大人の雰囲気も持っている。
「こちらになります。」
「ジン様。いつも商業ギルドを懇意にして頂いてありがとうございます。只今、モシエトンを呼び出しますので、応接室にてお待ち頂けませんでしょうか?」
「承知いたしました。」
今日はなぜか、席順争いが起こった。
俺の左では、ネプが胸を押しつけながら、うたた寝している。
俺の右では、マイが文字の勉強をしている。
俺の背中においては、イリンとリルエルがどちらが胸を押しつけるかで揉めている。
まぁ、いつもリルエルは俺のを美味しく食べてるからな。
ふやけちゃうよ。
「ジン様。お待たせして申し訳ありません。
本日はお日柄も良く、絶好の観光日和、是非王城の見学ツアーに申し込まれるべきと愚考致します。」
「まぁ、とりあえずはこの商品について、エスパルト王国商業ギルド本部希少物マスターとして鑑定して頂けますでしょうか?」
俺はネプの住処から脱皮したというネプの皮の一部を持って帰ってきた。
もし、ネプが幻獣と言われるほどの希少種ならば、高値が付くはず。
まぁ、俺に存在を感じさせるということは、神に等しいということだろうがな。
「……。申し訳ありません。私には、希少な皮としか分かりかねます。」
「そうですか。もっと詳しい方をご存じありませんか?」
モシエトンはこう言って欲しいのだろう。
商人とは、誘導が好きなことで。
「詳しいと言えば、筆頭宮廷魔法士のネブザガル様が適当かと存じます。」
「その方に鑑定を頼むことは出来るのでしょうか?」
「そうですね。魔金貨1枚ほど頂ければ、今すぐにでも可能かと。」
きたよこれ。
これが商業ギルドの儲け方なのだろう?
「では、こちらでお願いできますでしょうか?」
「っ、承りました。早速王城へ向かいましょう。馬車はこちらで用意させて頂きます。」
流石に、筆頭宮廷魔法士ともなれば王城にいるのか。
エスパルト王国か、悪い国じゃないよな?
ハーレムの皆には悪いが、ネプを護衛につけて王都の宿へ戻って貰った。
マイとリルエルには、悪いことをしたからな。
あんな光景、女の子に見せるものじゃない。
どう転ぶのか分からないなら、俺一人が気軽でいい。
魔法を覚えた俺は、手加減も出来るようになったからな。
どうやら、無意識下で魔力を使っているから腕力の加減が難しかったようだし。
「これはこれは商業ギルドの仲間よ。急ぎの用とはどうしたのだね?」
いくつのも検問を抜けて、俺は筆頭宮廷魔法士と対面した。
偉そう。それが第一印象だ。
「こちらのジン様が希少な物品を売却下さるとのこと。是非、筆頭宮廷魔法士様にもご相談せねばと参じました。」
「そうかそうか。珍しい品か。どれどれ……っ。」
筆頭宮廷魔法士は俺に杖を向けてきた。
しかも、かなりの魔力を纏っている。
殺す気か?
「どうか致しましたのでしょうか?筆頭宮廷魔法士様。」
「貴様っ。これを何処で手に入れた!?」
やばい。テンプレの台詞過ぎて笑いそうだ。
我慢しろ、俺よ、我慢するのだ。
「何処かは申し上げられません。私は商人です。」
「モシエトン!お前は知っているな!?」
「存じ上げません!!」
モシエトン氏、蒼白だよ。
ちょっと可哀想。
「ジンといったか。二人で話がしたい。こちらへ来るのだ。モシエトンよ、其方は帰れ。」
下手すれば暗殺な状況だが、ネブザガルは冷や汗をかいているようだ。
まぁ、俺が少し殺気を向けたからな。
この行動が、安住の地へ繋がればいいのだが。
ありがとうございました。




