即死スキル
三話目です。
異世界転生127日目の深夜。
俺たちは塔型迷宮の81階層にいる。
80階層で襲撃されたので、
81階層も敵がいるだろうと登ってみた。
待っているだけでは、
より強力な敵が現れるだけだろうからな。
しかし塔型迷宮81階層には、
無人の村があるだけだった。
木造の住宅ばかりで、中世レベルの建築だ。
生活感もあるので、先程80階層にいた悪魔達の、
居住場所のようだ。
……取り敢えず、ここで一泊するか。
異世界転生128日目の朝。
俺たちは塔型迷宮81階層で起きた。
起きたとは言っても、殆ど寝てはいないが。
結局、襲撃される事なく過ごす事が出来た。
リルエル達には、休息が必要だったからな。
異世界転生128日目の昼前。
俺たちは塔型迷宮の82階層にいる。
目の前には83階層への坂を頂点とした、
棚田状の防御陣形が敷かれていた。
目の前から、一段一段高くなっていき、
それぞれに数十人の悪魔が構えている。
リルエル達は昨日から防備を固めたままだ。
全員が坂を登った所で、様々な魔法によって攻撃される。
空間魔法を用いてそれらの魔法を集約して、
左側の棚田中央に向かって放つ。
直ぐさま対応されるが、着弾の方が速い。
左側の半分は壊滅した。
「アイン、これはな」
俺は、非常に懐かしい気分を味わっている。
信号で味わったような、そんな
<即死スキル、右上部!>
神速を持って伝えられた事実に、俺は戦慄を覚える。
量子魔法を用いて電磁波を放射する。
神力を伴い光速を越える速度で到達したそれは、
対象物を破壊する。
<アイン、対抗を!>
如何に焦点を絞っていても、拡散は避けられない。
銀河を吹き飛ばす程の高エネルギーは、
対生成を繰り返しながら、エネルギーを放出する。
直ぐさまアインが対処するが、82階層も壊滅した。
俺はステータスを確認する。
体は前面が消失している。
……残り生命力は大して減っていない気がする。
表記不可能のままだしな。
この考え事の間にも、体は万全の状態に回復している。
まぁ、あれだよね。
切実な疑問を音速で伝える事は止めよう。
反応が遅過ぎる。
そういえば、ガラス管の事を忘れていた。
振り返ればガラス管の中で、
動かない裸体が鎮座していた。
回復中も意識があったのかもしれない。
見た目は可愛い女の子なので、
アインに回復させ奴隷にする。
「83階層、行かないとな。」
「ご主人様、この場合仕方ない事かと存じ上げます。」
強力なスキルによる攻撃、
例え距離が離れていても、有効かもしれない。
ありがとうございました。




