塔型迷宮攻略(60層)
前日も更新させて頂きました。
三話目です。
異世界転生124日目の朝。
俺たちは塔型迷宮55階層で起きた。
くすぐったい。ララが尻尾で顔を撫でている。
まぁ、目の前は丸見えな訳だが。
「ジンさま、じんさま。」
相変わらず、リルエルは俺の名を連呼しながら登っている。
さてと、俺も楽しもう!
「ご主人様、ご朝食は如何されますか?」
ヨエルが俺の対面に座って楽しんでいるが、
目を瞑って真っ赤になっている。
漏れ聞こえる声がいい。
「刺身とか魚介系を。」
「ご準備させて頂きます。」
さて、配膳されるまでに決着を付けよう。
異世界転生124日目の昼。
俺たちは塔型迷宮60階層にいる。
恒例の10層毎の魔獣の大群、今回は小型の獣型の魔獣だ。
高度6000メートルだが、
昨日5500メートルから動かなかった成果が現れている。
まぁ、意図して動かなかった訳ではないが。
リルエル達は息切れする事無く、魔獣を狩っていく。
流石に、全力疾走し続けるのは辛いみたいだがな。
「ジン様、どうでしたか?
私の魔法は?」
狩り終わった頃、リルエルは俺に押し当ててくる。
まぁ、潰れる程ないんだが。
「いいんじゃないか?」
取り敢えず、揉み拉きながら答えておく。
雷魔法を用いて、微弱な電流を流しながらな。
「じん様、なんだか、いいです。」
赤くなる程度に、楽しんでいるらしい。
リルエルが触れる部分もピリピリし出す。
「ジンさま、難しいですね。
練習します!」
そんな事練習しなくてもいいんだが。
まぁ、制御の練習にはなるだろう。
異世界転生124日目の昼過ぎ。
俺たちは塔型迷宮60階層のテントに来ている。
最早、村と呼べるような物ではなく、
柵の中にテントが連なっている様な場所だ。
なんだか、熱烈な歓迎を受けている。
例えば「君たちは依頼を受けた冒険者か!?」「これで助かる!」
「おい、あれアヤさんじゃないか?」「違うだろ、あれ妊娠してるぞ?」とかな。
アヤさんを「あれ」言うな。
「君たちは、ギルドの遣いか?」
その内、小柄ながらも鍛えてある親父が前に出てきた。
周りの反応を見ても、この親父がトップなのだろう。
「いえ、何かあったのですか?」
「……そうか。君たちは運が良かったな。
ここ最近、下層と連絡が取れなくなっていたんだ。」
「連絡が取れないとは、どういう事ですか?
冒険者ギルドには、遠距離の連絡手段が用意されていたと思いますが。」
「もちろん、人の往来という意味でだよ。
誰も60階層に来ないし、降りていった者は誰一人帰って来なかった。
50階層の冒険者ギルドも、誰も戻って来ていないと言っていたよ。」
……もしかして、監視者と黒槍の男は別口か?
瞬殺してしまったから、監視者の事は何も分からない。
「そうですか。
私達は無事に辿り着けましたので、
もう一度挑戦してみてもいいかもしれません。」
「……君は冒険者かな?
ギルドカードを見せてくれないか?
私はこの塔型迷宮60階層のギルド職員だ。」
お前もか。
お前も俺が無名だと言いたいのか。
ありがとうございました。




