塔型迷宮攻略(30層)
03/01にも更新しております。
三話目です。
異世界転生120日目の朝。
俺たちは塔型迷宮28階層で起きた。
マイを抱えながら、リルエルと一つになっている。
「ジン様、じんさまー!」
相変わらずのきつきつじゅるじゅるだな。
マイも裸なわけだが、期待しているのを感じる。
まぁ、まだマイには早いが。
朝食を食べていると、アインからメモを渡される。
ルーメン伯爵領に、勇者同盟の諜報員が入って来たらしい。
巫女天狗達眷属に接触する前に、葬らなければならない。
使者は経路を指定できたからな。
「アイン、ドラゴンを最前線から呼び戻して対応しろ。
如何な情報も与えるな。」
「仰せのままに。」
呼び戻すと言っても、
時間が無いので転移魔法を用いて運搬するしかない。
最前線に気を取られて、守りが手薄になっていたな。
戦力が限られる中、配分に悩みそうだ。
まぁ、ルーメンまでやってくるとは、相手も今までとは違って本気らしい。
多くの諜報員は、ルーメン周辺の領地に辿り着けば摘発されていたからな。
恐らく、一度も道を通らずに来たのだろう。
西ルーメンの街中で東ルーメンを探っているようだから、
制裁と見せかけながら巻き添えとなって死んで貰おう。
流石に彼らは、ルーメンにいる奴隷総ての契約者が俺だとは思わないだろう。
異世界転生120日目の昼前。
俺たちは塔型迷宮30階層にいる。
時間が丁度良かったので、昼食を取ろうと思ってな。
「お供に守って貰って偉そうだなぁ。
てめぇは、自分の身一つ守れないのかよ!」
冒険者だな、うん。
ネプとアヤさんは別室にいる。
ネプは口に突っ込まないといけないし、
アヤさんにはアイテムボックスから専用の食事を提供中だ。
二人の相手はイリンとララに任せている。
つまり、俺の周りにはリルエルとマイ、ヨエルしかいない。
この冒険者はいい奴なのか?
それとも、リルエルらの体目当てか?
後者にしか思えず、苛立ってきた。
「ご主人様を罵倒しないで下さい。
私が相手になりますよ?」
リルエルが立ち向かうが、体の大きさが違い過ぎる。
マッチョに挑む小学生にしか見えない。
まぁ、既にレベル200を越えるリルエルの方が、
腕力に限定しても強いと思うが。
「お嬢ちゃん、楽しませて」
リルエルの正拳突きによって、相手は最後まで言えずに、
冒険者ギルド支部の壁を突き破って飛んでいった。
奴の仲間が立ち上がり、それぞれの得物を構える。
リルエルの魔力が膨れあがって、魔法の発動を想起させるが、
彼らの中に魔法使いはいなかったらしい。
魔法使いがいるパーティは総てを放棄して逃げていく。
会計はしないと、冒険者ギルドに咎められると思うんだが。
リルエルの魔法が発動して、彼らは大事な部分を焼失した。
「あの、ジン様。
お伝えしにくいのですが、壁の修理代を請求させて下さい。」
傍観していた冒険者ギルドの職員からそんな事を言われる。
請求するなら、揉めだしたら止めて欲しい。
「ジン様、私のお金から払って下さい。
加減に失敗したのは私ですから。」
「リルエルの行為は俺の責任さ。
そして、それはリルエル自身が稼いだ物だ。」
「……ジン様、本気で言ってますか?
本来、奴隷の稼ぎは主人の物です。」
そんな原理原則を言われるとな。
そこまで奴隷としての立場を強制しているつもりはないんだが。
……いや、好きでもない相手の夜伽を延々とさせるのは、
十分奴隷として扱っているという事になるかもしれない。
「ジン様!聞いていますか?
私が払いますから許可を下さい!」
「ああ、うん。」
そんな曖昧な返事しか出来ない自分が歯がゆい。
ありがとうございました。
本日の更新はここまでです。




