外交交渉の布石
03/01にも更新しております。
二話目です。
異世界転生119日目の朝。
俺たちは塔型迷宮18階層で起きた。
マイを抱えながら、ヨエルと一つになっている。
毛布に包まりながら、木の根元で寝るというのも懐かしい。
アヤさんと出会った頃に、そんな依頼を受けていたな。
石で囲み見えにくくした焚き火には、
朝食用と思われる肉が鎮座している。
ローストしているんだろう。
「ご主人様、ご朝食は如何されますか?」
肉をひっくり返しながらそんな事を言われても、
それ以外の選択肢はないだろう。
「イリンのお勧めを頼むよ。」
「ご準備させて頂きます。」
昨日は手を繋ぎながら移動していたので、
イリンはご機嫌らしい。
鼻歌を歌いながら調理している。
まぁ、目覚まし的な意味もあったんだと思うが。
「ジン様、おはようございます。
今日も頑張りますね!」
ララと抱き合って寝ていたリルエルは、果実を搾ってくれるらしい。
ララは……まだ寝ているな。
ヨエルは起きたみたいだが、俺を揺らして誘っている。
「さて、今日も走って登っていこう。」
朝食を終え、本日も攻略を開始する。
まぁ、朝食まではアイン達が殲滅していたが。
アヤさんにはもう少し寝ていて貰おう。
アインが量子から生成した栄養剤を飲ませる。
妊娠中に消費する栄養素は多いからな。
18階層から始めるので、本日も村で寝る事はなさそうだ。
木々の間で、皆で身を寄せ合って眠るのも楽しい。
起床までに延々と魔獣を引き寄せていたらしく、奴らの姿が見えない。
まぁ、活発になる夜に森の中で寝ていたから仕方ないんだが。
リルエル達の睡眠時間を削ってまで、レベルアップを目指さなくても良いだろう。
異世界転生119日目の昼前。
俺たちは塔型迷宮の21階層にいる。
魔獣の分布は、10階層ごとに区切られているらしい。
20階層から21階層へ続く、長い階段を登ってみると、
そこには馬型の魔獣が待ち構えていた。
「マイちゃんは離れないで。
ララ、貴方は突っ込みなさい!」
イリンは参加しないので、リルエルが指揮を取っている。
発言しながら魔法を撃つのは難しいが。
「ヨエル、貴方も前をお願い!
イリンさん、お願いします。」
後ろに回り込む魔獣の相手は放棄したようだ。
俺と手を離して、イリンが迎撃している。
マイが幾ら弾き飛ばそうと、迫ってくる重量は凄いからな。
リルエルも、自分たちだけで捌ききれないと感じたのだろう。
ヨエルは魔力に強みを持つが、
魔人故の身体能力の方が上手く使えている。
まぁ、魔法がそれだけ未熟という事だが。
槍……と言って良いのか分からないが、
要は電柱みたいな棒を振り回している。
ヨエルが前衛に出て、リルエルも強い魔法を放つ猶予を得たようだ。
イリンも手を出すのを止めている。
異世界転生119日目の夜。
俺たちは塔型迷宮の28階層にいる。
一日掛けて10階層分登れるらしい。
今は夕食の準備中だ。
イリンが捌いているのは馬刺しだな。
美味しそうだ。
アインから渡された報告書によると、
勇者同盟及び多民族帝国から使者が帝都に来たようだ。
中央山脈を越えて布陣した防衛軍や、
それより進んだ侵攻軍に対して意見する任も帯びていたようだ。
まぁ、明確な国境線がある訳ではないので、抗議とは言えないが。
だが、彼女は勇者の仲間らしい。
フーリゲによると鑑定持ちとか。
魔人が未知の隷属魔法によって支配されていないか、
確認しに来たのだろう。
まぁ、彼女も王国の貴族達と同じく、
旅客機で魔人国の首都へ日帰り旅行をしてから、
青くなりながら帰ったらしい。
ありがとうございました。




