塔型迷宮攻略(16層)
03/01にも更新しております。
一話目です。
異世界転生118日目の昼過ぎ。
俺たちは塔型迷宮の20階層を目指している。
今のところ、迷宮の風景は森の中と大差ない。
ただ、道は馬車がすれ違える程広い。
左右には木々が生い茂っているので、死角も多いが。
本日はこのまま一気に10階層分登る予定でいる。
15階層には、無防備な野営地しかないからな。
そんな場所で家は出せないだろう。
出しても良いが、昨夜より面倒な事になりそうだ。
出発した時間も遅かったので、
10階層の村を出てから走りっぱなしだ。
まぁ、昨日の馬車より速いが。
もちろん、ネプとアヤさんはベット毎移動させている。
ツヴァイとフェンフが運んでいるので、
迷宮の何処よりも安全だ。
10階層の冒険者ギルド支部によれば、
護衛役を失った際のウルフ系魔獣の襲撃は過去最大規模らしい。
特に苦戦もしなかったが、一応な。
なぜそんな事を言っているかといえば、
もっと多いウルフ系の魔獣に襲撃されているからなんだが。
「マイちゃんは後ろをお願い!」
「分かりました!」
「ヨエル、右側にダークランス。
放ったら左側をお願い!」
前方の魔獣はララが切断しているが、
囲まれているからな。
……リルエル、楽するなよ!
「リルエル、森ごと吹き飛ばせば?」
「ジン様、無粋な事言わないで下さい。
楽しんでいるんですから!」
どの魔獣も一撃だから、心地良いのかもしれない。
ヨエルのダークランスは狙いが甘かったらしく、
敵を総て倒す事が出来なかったようだ。
「右側、ディメンションキューブ。」
……って、おい!神はちゃんと仕事しろよ!?
リルエルが空間魔法覚えているじゃないか!!
「いつ覚えたんだ?」
「内緒ですよジン様。
私も強くなっているんです。」
「リルエルから話さないようにお願いされていたのよ。
ジンもあまり使わないから、どんな魔法か分からなかったしね。」
「ただのスキルじゃなくて、私が顕在化させたギフトですから。
アヤさんは戦ったらダメですよ?」
「クロスボウくらい、撃っても良いわよね?」
既にフェンフから受け取っているじゃないですか。
しかも、魔法金属も混ぜた鋼鉄を貫通する強力な奴を。
「反動があるんです。
撃つ時の力と同じだけ、支えないといけないんです。
……兎に角、ダメ!」
まぁ、フェンフが補佐すれば問題ない。
そのつもりで渡したんだと思うが、今夜も全裸で正座だな。
異世界転生118日目の夕方。
俺たちは塔型迷宮の16階層にいる。
結局、20階層の村には間に合いそうにない。
それならば、態々他人のいる15階層の野営地で寝る必要は無いよな。
日が沈むまでに、あと数階層上れそうだし。
「ヨエル!魔法は撃っただけじゃ意味無いのよ?
ちゃんと制御して当てなさいよ!
ジン様の機嫌が悪くなるわよ?」
うん、俺の機嫌が悪くなる事は避けたいらしい。
ヨエルが腰を抜かして、漏らしている。
まぁ、周りに魔獣の死骸が溢れているから、
真っ赤になっているヨエルを楽しめるが。
「あ、ヨエルごめんなさい。
ご主人様、悪いのはリルエルです。
ヨエルをお叱りにならないで下さい。」
「ヨエルの母、首相を壊したのは最近だからな。
まだ克服するには早いだろう。」
「申し訳ありません。」
「ヨエル、お前の角は撫でていて気持ちいい。
口に含んで、舐め回すのもな。」
リルエルとドライが粗相の後処理をしている間、
俺はヨエルの長い角を楽しむ。
違う濡れ方をして、余計な時間が掛かるのは仕方ない事だ。
ありがとうございました。




