悪魔種の人生設計
三話目です。
異世界転生112日目の夜。
俺は魔法による保護を受けた壁の中にいる。
壁の外は地底のマグマに囲まれている。
ヨエルと共に、ファイアドラゴン最後の二頭、その前にいる。
出入り口からのマグマの侵入を防ぐ程の高圧は、
人間が即死する環境だが、アインが馬車ごと守っている。
「主様、アイスドラゴンの雄を呼んでみては如何ですか?」
「アイスドラゴンはアイスドラゴンの子供しか作れない。
他種属と混じることが出来るドラゴンは、エンシェントドラゴンだけだ。」
「……ネプ様も女性ですね。」
そういえば、男のエンシェントドラゴンは知らないな。
死んだのか殺されたのか、そもそも存在しないのか。
まぁ、存在しないって線が有力だろう。
そもそも、ネプを他の男に抱かせるつもりはない。
「アイン、クローンだとどの程度保つ?」
クローンによる交配を行っても、
遺伝的な異常が許容出来る範囲は限られるはずだ。
いや、遺伝子操作もしてしまえば問題ないのか。
「我が神よ。
このドラゴン達にも子種を与えては?」
「……え?
そういえば、俺は人間じゃないんだな。」
「はい。我が神ならば、子をなすことが出来ます。」
でもさ、ネプのように巨乳に変身できるわけじゃないんだが。
爬虫類とは無理だ。
「アヤさんの分を、当分は入れてやってくれ。」
遺伝子操作をやるよりも、健全な方法だろう。
アヤさんは妊娠中だしな。
「承りました。」
なんか複雑な気分だが、絶滅よりはいい。
ウインドドラゴン、滅ばしちゃったし。
石魔法を用いて、周囲の壁ごと火口へと上昇させる。
通路に使われていた石版も、一緒についてくるが。
無機物に闇魔法を使ったんだろうな。
どう見てもエンシェントドラゴン作だ。
ファイアドラゴンは吠えてばかりだが、
地上に出ればアイスドラゴンが待っている。
異世界転生112日目の深夜。
俺は獣帝国から火山地帯へと侵攻していたイリン達と合流した。
ファイアドラゴンのことはアイスドラゴンに任せてな。
「ジン、その女誰?」
ネプが起きていた。
しかも、ヨエルの事を聞く前に着いたらしい。
アインとツヴァイは、そっぽを向きやがった。
「魔人国の王族、ヨエルって言うんだ。
アンの大陸の子孫。」
「南の方に住んでた子達のこと?
始めまして、私はネプよ。
じ。」
「知ってます!
よろしくお願いします。」
「……えぇ、よろしく。」
何を知っているのか問い詰めたいが、
碌な答えが返って来る気がしない。
「アイン、どの位かかる?」
「我が神よ。
出来上がり次第直ぐに。」
「分かった。」
ヨエルは巫女天狗に囲まれて、転移する。
軌道ステーションに連れて行かれたな。
「良かったの?
子供っぽいのも可愛いじゃない。」
「手元で教育しなくていい。
元々、外に出すための教育はされてないんだ。」
「そうかもね。
それで、私の相手でもしてみる?」
してみる何も、既に始まってますが。
空が総て、ネプの黒髪のようだ。
ありがとうございました。




