ファイアドラゴン
二話目です。
異世界転生112日目の昼。
俺はヨエルを公国専用馬車の中で楽しみながら、
獣帝国と魔人国の間にある火山地帯に向かっている。
今なお噴火しており、空は暗く地面は焼けている。
因みに、獣帝国から火山地帯までは、イリン達が制圧中だ。
ネプも一緒だが、馬車の中で寝ているらしい。
「主様にはっ、キスの跡が残らないのですねっ。」
「出血する程の傷じゃないからな。」
「あ、主様!?そっちは違うです!」
「ん?説明されてないのか?」
「し、知りませんー。」
イリン達は、わざと説明しなかったのか?
それとも、魔人国では使わないのか?
「魔人国にはない文化か?」
「はい、病気になります!だからっ!」
確かに清潔にしないと病気になるが、
アインが魔法を用いているからな。
「あれ?魔法、が。」
ヨエルは上り詰めたようだな。
まぁ、気にせずもう一方で上り詰めようと楽しむが。
サキュバスなのに、こんなに弱くて良いんだろうか。
「我が神よ。
ファイアドラゴンの生息地に入ります。」
周りは熱で歪んで見え、地面は真っ赤な溶岩だ。
獣帝国も魔人国も支配下に置かない理由がよく分かる。
人間が生存できる環境じゃない。
「主様、私は戦えないです。
どうすればいいんでしょうか?」
「見てるだけでいいさ。
次期首相の言葉は、重みを持つだろう?」
「……申し訳ありません。
内乱など、我が国では起こらないと考えていたです。」
「もしかして、言葉も勉強中か?」
「申し訳ありません!」
いや、謝りながら咥えるのか?
謝罪の気持ちってことなのか?
まぁ、楽しませて貰うけど。
異世界転生112日目の夕方。
俺はファイアドラゴンと向き合っている。
彼らの住処に立ち入ったので、排除行動は理解出来るが、
溶岩の流れを変えて、地底までご案内とはな。
「言葉は分かるか?」
「え?分かりますよ!?」
ヨエルに聞いているんじゃないんだが。
リルエルやマイと違って、奴隷教育を受けていないからか?
ファイアドラゴンには吠えられているんだが、
これは分からないって事だよな。
炎魔法を用いて、篝火を作り出す。
更に温度を上げて高温プラズマにして、溶岩を溶かす。
ファイアドラゴンが余計吠えているが、意思疎通は出来ないからな。
続けて周囲を溶かしていこう。
天井が崩れて、溶岩の海が降ってくる。
ファイアドラゴンが逃げ出したので、追いかける。
流体の中に固体がちらほらあって、
それが通路の目印になっているようだ。
固体同士には、魔法による繋がりを感じる。
石魔法を用いて、周囲のマグマを退かしながら跡を付ける。
更に数百メートルは潜っただろう。
魔法で保護された壁に囲まれた空間に出た。
空間内の圧力は高く、マグマの侵入を防いでいる。
先程のドラゴンが一頭、幼竜が一頭。
それだけだ。
「アイン、これだけか?」
「最後の二頭になります。」
絶滅寸前だな。
……もしかして。
「二頭とも雌か?」
「我が神よ。
これが最後の個体です。」
うわー、寸前じゃなくて絶滅じゃないか。
ドラゴンは同系統のドラゴンとしか子供が出来ないはず。
どうしよう。
ありがとうございました。




