南方の支配者
一話目です。
そうありたいです。
異世界転生109日目の昼。
俺は闘技場にて争奪戦を行っている。
相手は称号持ちの代表、かなり強い。
~人と付く種族の中ではだ。
爪を伸ばして、今度は格闘戦をするつもりらしい。
観客は何が起こっているのか理解出来ていないが。
先程、衝撃波を食らっていたので、
吸血種の周囲に雷魔法を用いて衝撃波を発生させる。
念入りに、繰り返しな。
さて、優先順位という物を考えてみる。
本体と影、どちらが占有権を持っているのかと。
本体を量子魔法を用いて、空間に固定する。
もちろん、電磁波は通す形でだ。
……やはり、本体が鍵を握っていたようだ。
動きを止めた影に向かって、新たな影が出来ないように、
熱したオリハルコン合金を押しつける。
うん、焼けてる音がするな。
暫し焼いてみたところで、影が薄くなっている気がする。
炎魔法を用いて影の調整をしてみるが、やはり影は薄れている。
本体の量子魔法を解除する。
うわ。焼け爛れた酷い何かが落ちてきた。
水の三重点を作成した際のことを参考にすると、合金の温度は数万度だ。
水の三重点とは、これが分かれば絶対零度と真空から、温度と気圧が正確に定義できる値のことだ。
今まではルーメンの屋敷における温度と気圧を基準にしていたからな。
化学が発展するのならば、正確な定義が必要……ということでやらせた物だ。
えーと、死にそうなのでアインを呼ぶか。
「アイン、助けてやれ。」
「仰せのままに。」
やり取りの間、会場は怒号に包まれている。
アインの異質な光魔法も目の当たりにして、それを呼んだ俺に対して畏怖を抱いているようだ。
いや、この場合は喜んでいると言っても良いかもしれない。
「ジン様を、新たな代表として承認致します!」
闘技場では、俺への代表権の譲渡が表明されている。
これで更に上位の代表権を争奪できるな。
観客の人気を取りつつ、相手を痛めつけるという条件ならば、
この程度で良いのではないだろうか。
殺すだけなら、一瞬だからな。
この惑星、いや宇宙ごとな。
……落ち着け俺、そんな事、ネプは望んでいない。
異世界転生109日目の昼過ぎ。
俺は偉い方に呼び出されたとかで、部屋で待たされている。
俺を呼び出したのは、次の対戦相手になる総代表の弟らしい。
まぁ、ネプも寝ているし酒を飲みながら待つとしよう。
うん、面倒だからそいつも殺すか?
トーナメント戦にも憧れていたが、雑魚の相手を延々しなければいけない罰ゲームと同じだな。
やっと、お偉い人がやって来たようだ。
元の俺にはなかったが、鑑定系の魔法(神力?)によると、
種族は「魔人(悪魔種)(亜種)」らしい。
イケメン死ねって感じだ。
お供に美女を引き連れ、彼女らは露出が激しい。
今、此処でやってもいいか?
いいよな?イケメンめ!!死にさらせ!!!
「呼び出した用件を聞こうか?」
「そんなに邪険にしないで下さい。
私は北のことが知りたいのです。」
「君の姉を破って、俺が支配するんだ。
今知る必要は無いだろう?」
「それが我が姉は、対戦の条件に北方の情勢を要求しているのです。」
そんな事知らないがな。
もちろん、巫女天狗の調査の結果だが。
「それは、君の意見だろ?」
「……次代は、私が務めますから。」
うん、負けることを想定していないんだな。
ありがとうございました。
年始も更新できそうになかったですが、この隙に!
デスマに重ねてデスマ、どうすれば!?




