実力の証明(再挑戦)
五話目です。
異世界転生107日目の朝。
俺はネプと共に、
一昨日代表争奪戦に参加するはずだった都市に来ている。
神として一度来たからか、屋敷の場所を全く思い出せない。
なんとなく思い出すだけで着いてしまったからな。
「一本下さい。
ところで、代表の屋敷って何処でしたっけ?」
屋台で焼き肉(何の肉かは不明)を買って、情報収集をしてみる。
アインに聞けば、正解を教えてくれるだろうがな。
ネプが食べたそうにしていたから一石二鳥だ。
「執事を呼んで参りますので、少々お待ち頂けますでしょうか?」
門番の彼らは俺のことを覚えていたようで、一人が屋敷に向かっていく。
ここまでは、前回訪れた時と同じ気がする。
「申し訳ございません。
執事が外出しており、数刻お待ち頂けますでしょうか?」
「分かりました。
突然伺って申し訳ありません。」
「そのようなことはございません。
ジン様のご来訪、一族皆様方が歓迎しております。
つきましては、お部屋をご用意致しましたので、
そちらでお待ち頂けますでしょうか?」
「もちろんです。」
屋敷の部屋、それなりに整えられた部屋で待つこと暫し。
執事が帰ってきたようだ。
「これはこれはジン様。
一昨日は大変残念で御座いました。
本日は、どのようなご用件でしょうか?」
「もう一度、争奪戦を申請しても構いませんか?」
「もちろんでございます。
申請費用20億をお支払い頂ければ、
明日開催させて頂きます。」
うん、分かってた。
無かったことになった時も、同じ対応だったしな。
「ねぇ、貴方。
私のジンに対して、失礼じゃない?」
「これはこれは。奥方様、申し訳ありません。
私どもと致しましては、最大限の敬意を払わせて頂いております。
しかしながら、争奪戦には金銭を納めて頂く決まりになっております。」
「生意気ね。
貴方、吸血種の癖に生意気なのよ!」
「そうは言われまして。」
ネプは、屋敷を壊しながらエンシェントドラゴンに戻っていく。
いや、確かに効果的な解決方法だけどね。
「何者だ!?」
ほら、この都市の代表が現れたよ。
血相を変えて。イヤ、懇願しながらな。
既に膝を着いている。
「な、なんて事だ。
終わりだ。この国は終わりだ。」
「まぁ、まずは執事から事情を説明して貰って下さい。」
「……ど、どのような方であれ、闘技場での争奪戦により。」
結局は規則だから覆せないって言っている訳だが。
覆すには総代表の決裁が必要だが、直ぐにとはいかないだろう。
「ジン、この吸血種を連れて総代表の所に行きましょう!」
「……うん。そうしよう。
それが早い!」
まぁ、既に哀れな吸血種は爪先で捕まれて運ばれているんだが。
俺はネプの頭の上に転移して、座布団を取り出して座る。
ネプが手伝ってくれるって言ってたし、好きにさせよう。
若干、強引というか、俺に似てきたのか?
それとも、俺がネプに似てきたのか?
ありがとうございました。




