高級オークションの結果
誤字修正
”し、白金貨30枚!”→”は、白金貨30枚!”
最高級奴隷オークションの会場に入るときに知ったのだが、入場料は金貨1枚だそうだ。
金貨、持ってないんだけど…。
「あの、申し訳ありませんが、白金貨1枚でお願いできますか?」
「はい、少々お待ち下さい。」
受付のお兄さん、露骨に嫌そうだ。
パンフレットを貰って、席に着いた。
この世界で始めて、まともな「紙」と呼べる物に驚きだ。手書きだけど。
この世界の識字率は低いようだし、本屋なんて見たことない。
因みに、さっきガウンをイリンフォースに渡したままなので、通りがかった高級店で適当に買った。
ふむ。
パンフレットによると、事前に公開されていなかった奴隷も出品されるらしい。
没落貴族の娘とか、元貴族の娘が大半だが。
貴族の娘、という響きには惹かれるよな?
その反抗的な態度を屈服させる快感、味わいたい。
でも、隷属の首輪と調教があるから反抗的な態度なんて取らないんだよなー。
おぉっと。
考え込んでいたら、もうオークションが始まっていた。
ハイエルフは高値が付くから最後の方だろうが、99枚の金貨をなんとかしたい。
硬貨の塊を見ると凶器にしか見えないのは、これで動物を殺したトラウマだろうか。
「それでは次の出品物になります。愛玩人形として人気の兎種にございます。
愛玩人形と言っても、戦闘力は一兵卒以上、夜もばっちり調教済でございます。
一家に一つ、癒やしとして配置しては如何でしょうか?
まずは金貨20枚からです!」
うん、可愛いしこの子にしよう。
白いふわふわのショートカットに、くりくりの赤い瞳。
背は腰にすら届かないだろう。
でも、夜も調教済って絶対入らないぞ?
「50枚だ!」
少しずつ上がっていた値段を一気に上げた、偉そうなお貴族様が相手になりそうだ。
「80枚」
お貴族様の取り巻き連中が、こっちを睨んでくる。
「きゅ、90枚だ!」
「99枚」
声にならない呻き声をお貴族様が上げてらっしゃる。
「99枚!他にいらっしゃいませんでしょうか?では、99枚で成立とさせて頂きます!」
ふぅ。
係の人間から札を受け取る。
本当なら、すぐにこの場を離れたい所なんだが、まだお目当てのハイエルフを落札していない。
お貴族様、大層怒ってらっしゃるようで。どうなることやら。
「それでは本日の目玉商品になります。旧エルフ国第三王女リルエル様にございます。
エルフの支配層ハイエルフであり、尽きぬ寿命と永遠の若さを備えております。
魔法技能は宮廷魔法師レベル、王女故の汚れを知らぬ体でございます。
この最高の娼婦、白金貨1枚からです!」
白金貨1枚か、事前に聞いた情報より高めの値段設定だ。
誰か猛烈に欲しがってる奴がいるってことか。
やっかいごとがやってくる音がする…。
そういえば、商品の年齢を言わないのは正規のオークションだからかな。
商品として売り出せない年齢があるのかは知らないが、年増を出すわけもないという信頼がなせる技か。
「白金貨3枚と金貨40枚だ!」
さっきのお貴族様が頑張っているようで。
未だに、複数の人間が競り合っている。
これを俺が落札したら、絶対敵視されるよな?
パターンは回避してきたつもりだったのに、今回のお約束は回避できないようだ。
「白金貨30枚」
ここでも俺は、値段を十倍に上げてみた。
お貴族様、既に俺を殺す算段をしているとしか思えないのだが。
私兵を呼び出しているらしい。
これって、オークション会場出たら囲まれるパターンかな。
「は、白金貨30枚!他にいらっしゃいませんでしょうか?では、30枚で成立とさせて頂きます!」
固まっていた司会が動き出し、やっと落札できた。
すぐに精算に移る。
「こちらに血液を頂けますでしょうか?」
はいはい。分かってますよ。
噛み切るのは痛いが。
「お客様。私、ドットヘルテ奴隷商会の会長を任されておりますドットヘルテと申します。
本日は我が商会の商品を落札頂き、誠にありがとうございます。」
どうやら、俺が落札したのはこの商会が出品した物らしい。
「滅相もございません。とてもよい商品を落札でき、私も大変満足しております。」
「こちらが、兎種のマイでございます。そしてこちらが、ハイエルフのリルエルでございます。」
「マイでございます。よろしくお願い申し上げます。」
「リルエルでございます。よろしくお願い申し上げます。」
マイはまさに癒やし系、いや癒やしてあげたい系。
甘いお菓子をハムハムさせたい。
リルエルは金髪碧眼、北欧の美少女にイメージが近いだろう。
ハイエルフだけあって、耳が長いけどな。
背は、マイよりは高いがネプよりは低い。
胸は少しだけ。まさにロリだな。
「よろしく。」
「お客様。もしよろしければ、御尊名を頂戴できないでしょうか?
我が商会では、他にも多くの商品を取り扱っております。
お客様程の御仁、我が商会と致しましてもよい関係を築いていきたいと考えております。」
商会の知り合いはいないんだよな。
商人ギルドにはいるんだが。
どうしようか。
「私はジンと申します。
ご厚意に甘えて、彼女たちと他一名の戦闘用装備をお願いできますでしょうか?
もう一名は リルエルより背が高い女の子になります。
代金はこの魔金貨1枚を先払いさせて頂くと言うことで。」
「っま、誠にありがとうございます。後ほど、お宿に担当の者がご挨拶に伺わせて頂きます。」
「よろしくお願いします。」
「マイ、リルエル。俺から離れないように。」
ドットヘルテ商会と細かな打ち合わせをした後、俺たちは宿屋に向かっている。
やっぱりとしか言いようがないが、俺と競って負けたお貴族様だろう。
俺たちは今、完全装備の騎士に周りを囲まれている。
はて、何処まで追い詰めてやろうか。
ありがとうございました。




