実力の結果
連続更新二日目
四話目です。
異世界転生103日目の夕方。
俺は魔人国最西端の都市、中心部にある闘技場で戦っている。
観客は盛り上がっているが、審判団は忙しそうだ。
「次戦、始め!」
次は魔人?なのか?
見た目が人じゃないんだが、こんな奴もいるのか。
取り敢えず、見ているのも不快なのでペッタンする。
「次戦、始め!」
先程から、明らかに時間稼ぎを任された相手なんだが。
さっきのカンガルーゴリラのような魔人の方が強かったぞ?
こいつもペッタンする。
「ジンさん、少し休憩です。」
ムスンドがやってきて連戦は途絶え、そのまま休憩室に案内される。
待合室とは違って、しっかり休める工夫がされている。
ソファーの柔らかさとかな。
「さっきからのは、魔人なのか?」
「正確に言うならば、魔人に似た者達です。」
「時間稼ぎだな。
本命はいつ来るんだ?」
「……次が最後になります。
代表がこちらに向かっておりますので。」
最後ってことは、この街で一番強い奴が来るって事だ。
でも、先程までは残りの対戦回数は教えて貰えなかったんだが。
「俺に伝えて良いのか?
頑なに拒んでいたと思うが。」
「ジンさんが勝つことは確実です。
三回戦目、四回戦目にかけてのお相手は、
偶々滞在しておられた称号持ちの方々です。」
称号ってのは、貴族ってことかな?
どんな称号かにも寄るんだろうけど。
「称号持ちに勝ったのなら、より大きい街を貰えるのか?」
「いえ、今回の争奪戦はあくまでこの都市に限った物です。
三日ほど東に行った場所に、一帯を治める都市がありますので、
そちらで再度称号持ちに争奪戦を挑まなければ認められません。」
……面倒だ。
ただ、勝てばいいってのは分かりやすいな。
「そっちの申請もやってくれるのか?」
「都市の代表になれば申請できます。」
「代表にならないと申請できないのか?」
「はい。称号持ちに挑戦するには傘下の都市の代表であることが条件です。」
本当に面倒な仕組みだな。
実力主義ではあるけれど、偶然の勝利は認めない方針らしい。
「次戦、始め!」
この都市の代表は恰幅の良いおっさんだった。
どんな種かは分からないので、右腕をペッタンしてみる。
「……やるなぁ。やるなぁ。
次は左腕?」
そんなことを言いながらも、右腕を再生している。
光魔法を用いているわけではなく、種族特性として再生しているようだ。
「全身、なんていうのはどうだ?」
「はっははっは。それは困るねぇ。
死んでしまうからねぇ。僕の負けで良いよぉ。」
ウザいので、上半身をペッタンしておいた。
再生するのなら、別に構わないよな?
「ジン様を、新たな代表として承認致します!」
闘技場では、俺への代表権の譲渡が表明されている。
拍手喝采、観客の彼らにしてみれば喜ばしいことなのだろう。
より強い人間に街を守って貰えるって事だからな。
ありがとうございました。




