実力の証明(中盤)
連続更新二日目
三話目です。
異世界転生103日目の昼。
俺は魔人国最西端の都市、中心部にある闘技場で待っている。
初戦後から待たされて、既に昼食の時間だ。
まぁ、リルエルが作ってくれた軽食を食べている訳だが、
メッセージで誘うのは止めて欲しい。
直ぐに一つになってしまいたくなるじゃないか!!
「ジンさん、お待たせしました。
次戦を行います。」
「分かりました。
回数は、大分減りましたか?」
「はい、減りました。
ただ、残りの回数はお伝えできません。」
まぁ、連戦連勝が求められるわけで、
配分を求められるトーナメント戦とは違うからな。
「構いません。
どうせ私が勝ちますから。」
「……こちらへどうぞ。」
「争奪戦、始め!」
次の相手は、吸血種だった。
イリン程洗練された容姿をしていないので、
王族とかではないだろうが。
早速、ギフトの変身を用いて多数のコウモリに分かれている。
コウモリと言っても、鋭い牙を持つ上に魔法も使うだろう。
一回戦は魔法を使ったので、今回は剣術を使う。
一匹ずつコウモリを切断していくが、その間に闇魔法が放たれている。
まぁ、能力値が違い過ぎて効果はないわけだが。
観客数は一回戦とは段違いだ。
ほぼ全てを埋める魔人、その中に一際目立つ集団がいる。
全員が吸血種なのは、今戦と関係があるのだろう。
衣装を見るだけで、地位の高さが分かる。
さて、相手も俺に闇魔法が効いていないことに気付いたのか、雷魔法を用いてきた。
四方八方から電撃に襲われるのは、防具を壊さない速度では避けられない。
生命力が減るわけではないが、不愉快だ。
剣術のみで戦うことは諦めて、相手と同様に雷魔法を用いて、
中央部全ての地面から空に向かって雷を放つ。
コウモリから放たれていた雷とは、電流も電圧も桁違いの物をだ。
しかし、相手の変身のレベルは相当高いようだ。
雷を受けて尚、霧となって漂っている。
即座に、氷魔法を用いて全ての霧を凍てつかせる。
これで終わりかな?
氷を片付けに先程の集団から魔人がやってくる。
「次戦、始め!」
降りて来た吸血種が次の相手だったらしく、開始の合図が放たれる。
獲物は片手剣、右手に刺突用のレイピア、左手に防御用のマン・ゴーシュ。
剣術のいい特訓になりそうだ。
俺もオリハルコン合金の剣を抜く。
斬りかかるとマン・ゴーシュに受け止められ、その間にレイピアが襲ってくる。
マン・ゴーシュを弾き飛ばして、レイピアの細い刀身を叩き切る。
あ、特訓にならなかった……。
相手はそのまま、両手を挙げながら下がっていく。
「次戦、始め!」
次は魔法使いの吸血種だった。
二人目と違ってギフトを併用することもなく、
純粋に闇魔法によって洗脳しようとしてくる。
えーと、効いていないんだが、闇魔法が使えないから対抗できない。
…………諦めくれたようだ。
「次戦、始め!」
次はカンガルーのような下半身に、ゴリラの上半身、そんな感じの魔人だ。
獲物はなく、素手で挑んでくる。
拳で殴ると見せかけての後ろ蹴り。
男の脚を触るのも気が進まないので、彼の後ろに移動して後ろ蹴りを叩き込む。
加減したので背骨を粉砕しただけだが、ソニックブームで神経が切れてしまったようだ。
……うん、殺してはいないよ?
ありがとうございました。




