吸血種のご飯
連続更新二日目
一話目です。
異世界転生102日目の夜。
俺は魔人国最西端の都市にいる。
門番から紹介して貰った飯屋に向かっている所だ。
「口を開いて頂けますか?」
お店の前にはちょっとしたスペースが取ってあり、
そこで種族の確認をするらしい。
「これでいいですか?」
「はい。ご希望は御座いますか?」
「希望とは?」
「男性でしたら、処女や熟女などです。」
血を飲む相手を選べるってことなんだろうか。
俺は吸血種じゃないんだが。
「……見てから考えてもいいですか?」
吸血種のご飯って、やっぱり血なのか?
イリンは俺が食べるような物を普通に食べているんだが。
「初めての方ですか?
では、こちらへどうぞ。」
案内された先には、笑顔で出迎える人類の奴隷達がいた。
「人類だけですか?」
「はい、本店はそれを売りにしてます。」
取り敢えず、俺の好みでいいんだよな?
何が出てくるのか不安だが。
「処女、汚れを知らない物が良い。」
「10万になりますが、よろしいですか?」
「構わない。」
10万がどれ程の価値が分からないが、
アインが止めないなら大丈夫なはず。
「本日はご指名頂きありがとうございます。
私は男性と触れ合ったこともございません。」
ここで言う男性ってのは、人類の男性ってことだな。
吸血種には血を飲まれているのだし。
「……どうぞ、お楽しみ下さい。」
そう言って彼女は首筋を露わにしている。
飲もうとしたら先っぽも見えそうだ。
<アイン、器。>
「この器の中に入れて貰って良いか?」
っって、この器オリハルコン合金製なんだが。
「……紳士なのですね。
場所のご希望はありますか?」
場所か……なるべく、肺に近い方が良いな。
酸素が豊富な方が美味しそうな気がする。
飲んだことないけど。
「左の脇から頼む。」
「分かりました。」
そう言って彼女は躊躇いなく脇を切り裂き、
器を満たすまで血を入れてくれた。
かなり出血しているんだが。
「どうぞ、ご賞味ください。」
渡された器を、俺はアイテムボックスの中に入れる。
「味わうのは帰ってからにする。
それより、止血しなくて大丈夫か?」
「……ご心配、ありがとうございます。
専属の光魔法が使い手をいますので、行って参ります。」
言葉が変だが、大丈夫か?
まぁ、慣れているのかもしれないが。
俺は東ルーメンの屋敷に戻ってきた。
結局、血をくれた彼女はそのまま戻ってこなかった。
「イリン、これを飲んでみないか?」
「ご主人様、お帰りなさいませ。
それは、血、ですか?」
「そうだ。魔領域に魔人の国があってな。
そこで勧められた血だ。」
「処女の血、ですよね。
ご主人様が選んだのなら。」
なぜ分かった!?って、俺の好みは承知の上か。
非処女は抱く気になりません。
「処女の血は好きじゃないのか?」
「いえ、血の味は年齢に一番左右されるのです。
ご主人様の気遣いは嬉しいのですが。」
「若い子だったぞ、多分。」
「折角ですので頂きますが、
私は血を好んで飲んだり致しません。
ご主人様と同じ物を食べたいのです。」
なんか、イリンに怒られてしまった。
嬉しいけどね、同じ物がいいっていのは。
ありがとうございました。




