実力の証明方法
連続更新1日目
五話目です。
異世界転生102日目の夕方。
俺は大陸南部の魔領域のうち、南東方向に来ている。
魔領域の西半分(猿種、巨人種、樹木種等)は既に支配下に加えたが、
東側には手を出していない。
理由は、獣帝国に察知されることを避けたいが為だったのだが、
もし獣帝国を支配することになれば、その心配が不用になる。
まぁ、獣帝国に接する北東部分は最後になるが。
さて、この辺りに何がいるのか樹木種は知らないと言っていたが、
上空から見るに、これは魔族の国と言える物だと思う。
巨人種も魚人種も単一種の国を形成していたが、
ここは多くの種族が集まっている。
まぁ、全部魔族ではあるが。
最も西に位置する街から始めるのが良いだろう。
俺自身に「誤認」を使用して、吸血種に見えるようにする。
魔人(吸血種)(根源)であるイリンに似せれば間違いはないはず。
「お疲れ様ですー。」
「お疲れ様ー。」
厚い城壁に囲まれた街なので当然門があるわけだが、
特に何か問われることもなく通過することが出来た。
「この街で一番強いのって誰ですか?」
「……とりあえず、こっち来て貰って良いか?」
門番に質問したら連行されそうなんだが。
実力主義じゃないのかよ。
「いいですけど、理由が知りたいです。」
「お前があんな質問するからだよ!
仕事増やすな!」
心外な。
ただ、征服しに来ただけなのに!
「まぁ、美味しいご飯奢ってくれるならいいですけど。」
「図々しい奴だな。
後でいい飯屋を教えてやるからこっち来い!」
飯屋か。
吸血種にとって良い飯屋なら、イリンへのお土産になるかもな。
「それで、なんで一番強い方のことが知りたいんだ?」
俺は門を入って直ぐの石造りの建物、その地下に連れてこられた。
石造りとは言っても、この石は魔法金属を含んでいるようだ。
周りには、先程の門番以外にも二人いる。
今話しているのは門番よりも偉い魔人だろう。
「実力主義だから?」
「……何を考えているのか想像は付くが、
吸血種の国と違って下位の者から戦って、
順番に力を証明して貰うぞ?」
何それ、面倒くさいんだが。
一番強い奴をやるだけだとダメなんだろうか。
「一番強い方を倒すだけじゃダメなんですか?」
「ダメだよ!何処の戦闘民族だよ!!って、吸血種だったな。
この国は色んな種族がいるから、
皆の目の前で証明しないと認めて貰えないんだ。」
ちょっと待て!
皆の前って何だよ!?
「えっと、闘技場とかでやるってことですか?」
「そうだ。挑戦したいなら申請はしてやるが、
挑戦者は負けるまで連戦だぞ?」
トーナメントみたいな物か。
確かに異世界に来たけど、そういったテンプレはこなしてないな。
「分かりました。挑戦します!」
「そうか。500万だ。」
500万って通貨のことだよな?
<アイン、スラックスの右のポケット。>
<仰せのままに。>
「これでお願いします。」
「すぐ払えるんだな。
分かった。明日の朝、闘技場に来い。」
この国の通貨は紙だった。
言うまでもないが、アインの調査は済んでいるって事だな。
ありがとうございました。




