領地経営報告会(農林水産、外交)
連続更新1日目
四話目です。
異世界転生102日目の昼過ぎ。
俺は東ルーメンの巫女天狗官庁50階にある会議室で、
各役所からの報告を受けている。
「次、農林水産長官。」
巫女天狗が長官なのでアインが報告してくれる。
「樹木種は、各所の森林の要所に配置しております。
また、定期的に移動させることで、過度の発展はさせない方針です。」
定期的な移動は、胞子だらけになることを防ぐためだな。
彼らの住処は人間が生活するには辛すぎる環境だった……。
「要所は巫女天狗が決めたのか?」
「もちろんです。」
巫女天狗が選定に関わっているのなら、森からの恵みは確実に増えるだろう。
木炭製造の為に大量伐採を行っているので、その穴埋めが必要だったからな。
「大規模農業につきましては、ジャガイモの収穫が始まっております。
こちらが、収穫量の目安になります。」
「うん?少し早いが大丈夫なのか?」
日本だと収穫までに約3ヶ月必要だったはずだ。
早いと小ぶりだったりするんじゃないか?
「この世界では標準的な生育期間とのことです。
発育状況の確認も致しましたが、問題ありませんでした。
また、他の作物も凡そ一ヶ月ほど早く収穫出来るようです。」
ちゃんと育っているなら構わないな。
育成期間は短い方がありがたい。
えっと、目安を確認すると。
下流40キロの作付面積は、
300キロ×40キロ=12000平方キロメートルになる。
12000平方キロメートルは1.2億アールだな。
4年輪作だからジャガイモは、3000万アールで生産されている。
平均的な収穫量は、10アールにつき約1000キログラムだったらしい。
現代と比べると3分の1程度かな?
兎も角、3000万アールの収穫量は、30億キログラムになる。
今期は種芋が不足していたので、実際の効率はもっといいはずだ。
来期の種芋を10アールにつき200キログラム必要だとすると、
3000万アールを満たすのに、6億キログラムが必要になる。
つまり、食用として消費できるのは24億キログラムだ。
一人当たりの年間消費量を200キログラムとすると、
1200万人を養えることになるな。
まぁ、家畜の飼料にも使うからそこまで養えないけど。
来月には大豆と小麦が収穫に入り、その次は水稲、
更にその次は甜菜が収穫される予定だ。
養える人口は更に増えるな。
「他に何か報告はあるか?」
「我が神よ。ドライから報告がございます。
北方連合国と多民族王国が急接近しており、
近々同盟関係を築きそうです。」
それは悪いニュースって奴かもしれない。
もし同盟が結ばれればこの大陸から魔領域を除いた内、
33%をエスパルト王国、33%を多民族帝国、
20%を勇者サクラ、14%を獣帝国が治めることになる。
そして、多民族王国と多民族帝国の関係は悪くはない。
少なくとも、エスパルト王国との関係よりも断然良いはずだ。
もしサクラが多民族帝国をも取り込んだら、割合は53%になる。
「多民族帝国の動きは何か掴んでいるか?」
「勇者同盟を歓迎している一方、エスパルト王国との戦争を恐れております。
多民族国という特性上、
敗戦時の扱いが酷い物になると確信しているようです。」
まぁ、獣王国は信頼ではなく隷属の首輪で支配下に置いているしな。
多民族国相手でも、そのやり方は変わらないだろう。
サクラに極力関わらないようにするには、
睨み合いを継続しなければならない。
その為に、獣帝国を傘下に加えることが必要かな。
「白金貨の製造を増やしてくれ。」
「仰せのままに。」
「以上、解散!」
こうして会議は終わったが、アインから議題に上がらなかった書類の束が渡された。
まぁ、殆ど俺の興味がわかない話題だと思うんだが、
これは、全部読まないといけないのか?
ありがとうございました。




