領地経営報告会(警備隊、科学技術)
連続更新1日目
三話目です。
異世界転生102日目の昼。
俺は東ルーメンの巫女天狗官庁50階にある会議室にいる。
各役所からの報告を受けていたが、今は昼食を食べている。
みんなでラーメンだ!
「次、警備隊長官。」
先日、伯爵から頂いた武官(奴隷)の一人が長官を務めている。
武官の多くは公国軍に配属されたが、一部は警備隊に廻してある。
「直轄領の治安に問題は御座いません。
魔獣に関しても粗方殲滅しております。」
この奴隷の代わりに、優秀な長官の準備が必要だな。
というか、これは急いだ方が良い。
治安はあまり良くなっていないから、彼の認識との齟齬が大き過ぎる。
まぁ、異世界は物騒だと言うことだが。
「アイン、こいつはいらない。」
「仰せのままに。」
マニュアルには、日本の治安について事細かに記載しておいたはずだからな。
日が落ちてからでも、女性が一人で歩ける国なんて滅多にない。
まぁ、俺が死んだのは特異な事例だったってことだ。
止めよう、昔を思い出すのは。
「次、科学技術長官。」
巫女天狗が長官なのでアインが報告してくれる。
「奴隷に総合的品質管理を徹底させる方針は順調です。
大量生産など目に見えて成果が上がってきており、
狙撃銃の有効射程は1000メートル前後となっております。」
総合的品質管理とは、日本一の会社が得意な所謂TQCのことだ。
製造分野で言えば、気温や湿度などなど多くの変数から不具合の原因を追及する。
所謂、多変量解析法を用いることで、品質の向上を狙える。
「一方、仕事が出来ない奴隷も目立ち始めております。」
奴隷も所詮人間、仕事が出来ない奴もいるだろう。
まぁ、ある程度の怠け者は組織運営に必要だから仕方ないんだが。
「あまりに酷い者は潰してしまって構わない。」
「仰せのままに。」
必要のなくなった奴隷は奴隷商人に売却することが一般的だが、
基礎教育を受けた時点で他人に渡すことなど出来ない。
義務教育レベルでも、この世界じゃ最先端というか未来技術だからな。
「磁気浮上式鉄道につきましては、直轄領全てを結ぶ計画を進行中です。
直轄領以外は秘密裏に進行しております。」
「まぁ、任せるよ。」
これは巫女天狗達に丸投げだな。
計画書を読むだけで時間が掛かりそうだ。
「研究施設では、戦車の開発が順調に進んでおります。
また、飛行機も試作エンジンの調整に入っております。」
まぁ、戦車は車に装甲を着けるだけだからな。
飛行機もターボファンエンジンの原理を知っていれば作れるだろう。
ターボファンエンジンとは、戦闘機や旅客機のエンジンに使われている物だ。
空気を圧縮して、そこに燃料を噴射して点火、
その爆発力を蒸気タービンと同様に吸収する。
発電施設と違う所は、タービンを通った排気を推進力として利用する事だな。
その際に、エンジン周囲の空気をファンで吸い込んで排気を包むことが特徴だ。
「各種工業製品の輸出に関しては、順調に推移しております。
主な製品は鋼鉄製の武具が中心となっております。
また、緩衝材の売上も伸びております。」
丈夫な武具は値段が多少高くても売れるからな。
緩衝材は馬車などの貴族の移動には欠かせない物になるだろう。
「ドラゴンや艦船での輸送は収益を生んでいるか?」
「飛行生物を用いる程迅速な情報伝達を必要とする組織では、
既に独自の生物を運用しております。
ただ、エスパルト王国ではドラゴンを積極的に活用しております。」
情報漏洩を防ぐ意味でも、他者の物は使えないってことかな。
フーリゲにとっては、隠す必要性すら感じていないのだろう。
大砲の件で懲りているはずだ。
「ドラゴンや艦船での貨物の輸送につきましては、
足の速い品を中心に冷蔵輸送を行っております。」
「産地が限られる魚介類とかのことか?」
「他にも果物や菓子などを取り扱っており、
非常に高額にも関わらず飛ぶように売れております。」
確かに、普段目にしないお菓子なら食べたくもなる。
産地が遠い国なら尚更だ。
「移動中に取れるマグロなども売っているか?」
「いえ、絶対数が少ないため、全て我が神に捧げております。」
流石アインだ。
当然、俺が食べる分が最優先だよな。
ありがとうございます。
日本一の会社とは7203のことです。




