学院到着
投稿のタイミング見誤って遅くなりました……。
「ここがベルミナ学院……」
転送装置によって2人が飛ばされた先は大きな学院の前にある森のような場所だった。日通しが良く、空気も澄んでいる綺麗な森だ。
エクソシストの養成所のような場所だからもっと暗いところを想像
「とりあえず学院長室まで案内するからついてきて」
歩きだしたリリアムに着いて行く。
森から10分ほど歩くと学院の大きな門の前まで来た。
「……案外普通に開くんだな」
もっと大胆な開き方というか、そんなんを期待してたんだが……まぁいいか。
中に入ろうとした瞬間、警報装置のような何かがビーッ!ビーッ!と、鳴り響いた。
そして近くにいたであろう警備員達が一気に押し寄せてきた。
「貴様ッ! 何者だ!」
「人の姿……魔人か!殺せ!」
等といろいろな声が飛び交う中、リリアムはそれを否定した。
「違う! アレンは悪魔なんかじゃない! 私を助けてくれた恩人よ!」
「騙されるな!この学院に潜入する為の芝居だ!」
「アレン……!」
リリアムが泣きそうな顔でこちらを見る。が、それを首を振って否定する。
「半分本当、半分嘘」
「何を言ってる……?」
警備員達がわけのわからない顔をしていると、右目に眼帯をした老人がこちらへ来た。
「彼の言うことは本当だよ。彼は半人半魔、悪魔と人間の子だ」
「学院長……!」
その場にいた全員が敬礼し、道を開ける。
そして、学院長のベルミナはアレンに近寄りポン、と肩に手をおいた。
「久しぶりだね、アレン。元気そうで何よりだ」
「あんたこそ老後も安定してそうで何よりだよ」
軽く笑いながら言うと、先ほどの警備員の隊長と思わしき人物が睨んできた。
「貴様…ッ、学院長に何を!」
「良い、セラス君。私と彼はそのくらいの仲だということだよ」
ベルミナがセラスを制し、話を続ける。
「さて、よく来てくれたねアレン。中へ案内しよう。クレイズは引き続き学内の警備、セラス君とリリアム君は私と来たまえ」
ベルミナの言葉が終わると警備員達はまた一礼して消えて行った。
そしてアレン、リリアム、セラスの3人はベルミナの後について行った。その先は学長室と思われる、豪華な部屋だった。
「適当な所に腰掛けてくれ。茶を用意しよう」
「そんな! 私がご用意します!」
「久しぶりに友人と会えて気分が良いのだ。私に入れさせてくれ」
しかし……と食い下がるセラスを手で制す。観念したセラスは向かい会っているソファの横に姿勢良く立っていた。律儀なヤツだな……。
俺がソファに座ると、連られるようにリリアムも横に座った。
「腰掛けてくれと言ったんだがな…… まぁ良い」
ベルミナは四つのティーカップが乗ったトレイを向かい合ったソファの中間にあるテーブルに置き、2人の向かいのソファに座る。
「改めて、久しぶりだなアレン君。あれからもう5年か……早いものだな…」
「そうだな。で、俺をここに呼んだ理由は?」
「察しがついてるだろうが、君にこの学院の学院生になってもらいたい」
「エクソシストになれ……と。俺にメリットはあるのか?」
「デビルハンターより、いろいろな面で優遇されるが…… 君にはあまり関係なさそうだな」
肩をすくめてみせるベルミナ。
「まぁ、もともと好き勝手やってたからな」
「ふぅむ…… よく考えれば、君のメリットになりそうなことはないな…」
「気にすんなよ。もともと入るつもりで来たんだ」
「む? それはありがたいが……なぜ?」
「いや、ただ単にこういう学院生活に興味があっただけだ。それに、最近はほとんどの依頼がそっちに取られてて困ってたしな」
「なるほど。では我々は君を退屈させないようにせねばな。セラス君?」
ベルミナが横に立っていたセラスに言うと突然話を振られて焦ったのか、セラスがあたふたしていた。こいつは以外と無茶振りに弱いのかもしれない。
「あ、あのー院長先生」
今まで黙っていたリリアムがベルミナに尋ねる。
「なんだね」
「アレンが半人半魔って……どういうことなんですか?」
なるほど。
そういえばその辺の説明はしてなかったっけな。
「ああ…… その辺のことはアレン君に聞いてくれ。私も詳しくは知らんのだ」
ベルミナにも話してなかったな。5年前は戦った後、すぐに邪魔が入ってきてそれどころじゃなかったし。
「さて、ではこの辺りで終わりにしておこうか。アレン君は明日からここの学院生として生活してもらう。寮へは……セラス君。頼んだよ」
「はい」
それから学長室を出て廊下を歩きだす。
「で、どういうことなのアレン」
「悪魔と人間の子なんて特異中の特異だ。ぜひ私も教えてもらいたい」
歩いている最中、セラスとリリアムが尋ねてきた。
なんと答えるか少し悩んだ後、伝わるかはわかrqないが話してみた。
「50年前に1人の悪魔に恋をした人間の女がいたんだ。で、その悪魔はその女と結婚して子供を産んだ。その子供が俺」
すごくザックリだが大体こんなものだろう。
誤解のないように言っておくと俺の父親の悪魔は人間の姿にもなれる、いわゆる魔人である。
「待て、君は悪魔がどういうものかわかってるのか?」
納得いかなかったのか、セラスが睨みながら言ってきた。
「わかってるよ。けどな、そういう悪魔もいるんだよ。俺がその証拠だ」
そう言うと反論できなくなったのか、むぅ…… と唸っていた。
「ねぇ……あなたの父親の悪魔ってなんて悪魔?」
今度はリリアムが聞いてくる。
「アモンだ。ついでに言うとレグナードの性は人間の母さんのもの」
その瞬間、リリアムの顔が一気に曇った。
「アモン…… レグナード公爵家……」
何か呟いていたがよく聞こえなかった。
まさかレグナードのことを知ってるのか?
俺の母さんの家系であるレグナード家は代々悪魔の召喚を主としている家で、召喚した悪魔を操り、戦わせることができる唯一の人間。それがレグナード家の人間。本来なら俺もその能力を受け継ぐ筈だったが、母さんが早々に死んだことによって俺にその能力は使えない。
そもそもの話、レグナード家は表にでることはないので知っている奴がいるというのは少し気になる。
「まぁ君が半人半魔ということはわかった。だとすると君はなぜ人間の味方をするんだ?」
「両親が悪魔に殺されたんだよ。だから…かな」
言うと、セラスとリリアムが罰が悪そうに黙ってしまった。
別に気にしなくていいんだけどな。
「で? 寮ってのはどこなんだ?」
「ああ、もうすぐだ」
というや否や、前方にそれらしい建物が見えてきた。
なかなか豪勢な造りで驚いた。なんかホテルみたいだな。
「君の部屋は606号室だ。間違えるなよ」
「ちょっと待って。6層って確か危険因子ばかり集めたとこじゃない。そんなところに……」
「半分悪魔である以上、彼も危険因子だ」
「でも……」
なおも食い下がるリリアムを俺は手で制した。
「いいよ別に。俺が悪魔なのは事実だし」
「殊勝な心がけだな。君が問題を起こさないことを祈ってるよ」
セラスから部屋の鍵を受け取り、中へ入ろうとした時にふと気付いた。
「ここって男女共生なのか?」
訪ねた途端セラスの顔が一気に赤くなり……
「この不埒者ぉッ!」
腰にかけていた剣を思いっきり振ってきた。
なんとか回避したが……危ねぇな……
「少しでも女子の部屋に入ろうとしてみろ…… その命で償ってもらうぞ」
激おこじゃねぇか…
リリアムもなんか警戒してるし……
「ただの興味本位だよ。入ったりしないから安心しろ」
「フンっ、どうだかな」
等と話しているとエレベーターがあるところまできた。
4つあるんだな…
「6層へはそのエレベーターから行ける。個性的な住人ばかりだが……まぁ、頑張ってくれ」
「随分と粗雑な扱いだな。まぁいいや、じゃあな」
とエレベーターに乗ろうとした瞬間、リリアムに呼び止められた。
「アレン…… ちょっといい?」
「ん? なんだ」
「ああ…いや、やっぱり後ででいいわ」
? よくわからんが行っていいのか?
なぜか表情の曇ったままのリリアムが気になるが、エレベーターに乗ることに。
どうやらこのエレベーターは6層直行らしくすぐについた。
さて……どんなヤツらがいるのやら…
次からは新キャラがボンボン出てきます。
ちなみにクレイズとは団体名です。