*5 青空 side haruka
最近天気がやけに良くて
何もない放課後といったらあそこに行くしかないでしょ。
背中をコンクリートの熱が温める。
ちょっと熱いけど心地良い。
真上には写真にでもおさめたい青空と
緩やかな風。
下からは下校する生徒たちの声。
やっぱ学校といったら屋上だよね。
太陽がまぶしくて目を瞑る。
目を瞑っても瞼の裏に太陽の光が差して
ちょっとさすがに日差しが強いと思った。
手で顔を覆ってまた目を瞑ると
微かに人の気配。
「何やってる」
いきなり聞こえた低い声に驚いて上半身を起こすと
生徒会長という金バッジを襟元で反射させて
眉間にしわを寄せた諸星が立っていた。
「・・・なんでここに・・?」
「いつもは鍵がかかっているのに今日は扉が少し開いていたから」
「あーごめん・・勝手に入っちゃった」
「困るんだよ、何かあったら会長の俺の責任だ」
「何かって・・・私何もしないよ」
「ごちゃごちゃ言うな」
何コイツ。ちょっといくらなんでも偉そうじゃない?
生徒会長ってバッジが反射してさっきから私の目に当たってるんですけど。
眩しいのとイライラで私も眉間にしわを寄せる。
するともっと顔に皺と影を刻み込んですぐ私を睨み返す君。
しばらく睨み合いが続いて
「ごめん、帰ればいいんでしょ」
私が折れた。
もう昼寝なんて気分じゃない。
気分が悪い。
彼の横を通り過ぎる時。
彼が私の腕を掴んだ。
「名前は?」
「へ?」
「名前を言え」
整った顔の中のぎらぎらした目に思わず
顔が染まる。
「な・・んで」
「いいから早く言え」
「・・・3年B組、東条・・・遥」
「東条、遥・・・」
「じゃあ帰ります・・・っ」
赤い顔を隠すために走って出た私
胸が大きく鳴って止まない。
「最悪・・・っなんであんな顔だけのやつに・・!」
悔しくて唇をかむ。でも・・・
名前を聞かれたこと
少しドキドキした。
翌日
渡された手紙には生徒会長より書かれた
私宛の必要時以外屋上立ち入り禁止書。
そこには整った字で書かれた私の名前。
ああ、なんだ。これだけのため・・・。
少しどきどきしてしまった私にまたため息をついてしまった。
最近受験の為更新遅れております。
申し訳ありません。