*4 欠伸 side haruka
告白。
慣れるの良いけど
見るのに慣れるなんて寂しいもんだね
今日も涙を見た。
いつからだろう、人の涙を見ても
心が揺れなくなったのは。
図書委員の机にひじを付いて
暇だから読み始めた意外と面白い本をめくる。
目の前には目を瞑ってあくびをする男。
さっきまたあのへらへら顔から出た
きつい「ごめん」の一言。
まだ私の耳にも残ってる。
振られた直前私を少し恨めしそうに見て
泣きながら走っていった女の子。
よく考えれば私は相当良い立場なのかもしれない
御三家のあの紺野と週に3日同じ当番だなんて
でもそれは私に恋愛感情がないかぎり
別に嬉しいとかそんなことはない。
ただ楽そうだから選んだ委員会で私は苦労している。
「はぁー・・・」
「あ、東条。ため息つくと幸せ逃げるんだって」
「・・・・はいはい」
目の前の君のせいで
もう幸せなんて十分減りました。
「・・・今日は紺野サボらなかったね」
「ああ、東条が一人だと可哀想だから」
「あっそうですか」
「そうですよ」
つかめない。
なんで心にも思ってないことすらすらと言えるんだろう。
こんなんだから勘違いする女子が増えるんだっつーの。
「あ、そうだ東条。諸星がお前のこと聞いてたよ」
「は?」
「可愛いって」
「嘘。こないだの会話ならちゃんと聞こえてました。私を馬の骨って」
「ははは、ばれたー?」
目の前にはちょっと間違えば女子なら誰でも好きになっちゃいそうな男。
私にとっては只の小学校からのクラスメイト。
こんな風に笑う彼を他の女子が見たらどうするんだろう。
私は、「キャー」なんて叫べない。
そんな高い声でない。
目の前の見つめていたら欠伸がでた。