*3 空間 side haruka
一目惚れ。
そんなの信じない。
見た目が好きで惹かれて。
一番ギャップで困るのは自分なのに。
「「「きゃーーっ!!」」」
必ずいつもの甲高い声
彼が・・・ううん、彼達が何か行動するたびに
起きる叫び声。
耳が壊れるってーの!
「「「諸星くーん」」」
「「「紺野くん大好きーーーー」」」
今日の校庭は人で溢れかえっている。
なぜなら御三家のうち2人が外で
サッカーのパスをして遊んでいるから
「ほい!諸星!」
「ああ・・っと!」
「「「「きゃ〜〜〜〜〜〜」」」」
・・・呆れる。
なんでそんなに好きになれるの?
二人がどんな性格だかもしらないで
小さなため息をつきながら図書室の窓から下を見ていると
上を急に見上げた紺野と目が合った。
「?!」
「あー!!東条ーー!!ごめん、委員サボっちったー」
とたんに私は隠れる。
下からは女子の悲鳴。というより断末魔。
紺野の馬鹿・・・目付けられたらどうしてくれるのよ
「おーいー?東条ーーー??出て来ーい」
まだ呼んでる
もう私の名前呼ばないでよ。
「東条って?」
やけに透き通るような声。
この声、諸星か・・・。
「ああ、クラスメイト。んで同じ委員」
「・・・ふーん」
「あーー!!何?!諸星気になんの?」
「はっまさか!どこの馬の骨だよ、それ」
また下から今度はむかつく会話が聞こえてきた。
私だってあんたらの事なんてこれっぽっちも興味ないですからっ!
このまま上から辞書でも落としてやりたいくらいですけど。
それでもそれはいけないことですから。
じわじわとくる怒りを飲み込んで飲み込んで。
私は一人図書室で目を閉じて怒りを静める。
しばらくしてまた女子の歓声。
こっそり頭を出すとまたサッカーに没頭している二人。
「・・・・ばーか!!!」
こっそり背中につぶやいて舌を出してやった。
まだ完全に収まってない怒りはどこか空しくて。
一人の空間にはもっと空しくて。
外から全く変わらない信じられない位の高さで聞こえてくる歓声に
少し可笑しくなって笑ってしまった。