悪霊祓い その弐
「で、今日は何を連れているんだ?」
彪が面倒そうに聞いた。
「これ?これは、葛の木様。稲荷神社の神様」
はあ、とため息をつく彪。
「彪。お願いがあるの。実は・・・・・・」
ほたるは彪に、事情を話した。
「なるほどな」
彪は、明らかに面倒そう。ほたるは、ずっと気になっていた事を聞いた。
「葛の木様って、神様でしょう?妖怪を祓うことなんて、簡単でしょう?」
葛の木様は、ため息をついた。
「信仰の薄れとか、まあ色々で、妖力が弱まってしまったのさ」
「それで。あんな悪霊をほたるに祓ってもらおうとしたのか・・・・・・」
「悪霊!?悪霊だったの?」
ほたるは驚いた。
「しかも。あいつ、鬼水晶持っているだろう」
彪が、ニヤっとした。
「鬼水晶?」
「昔、この辺を荒していた鬼共を退治しようとした、陰陽師がいたのさ。だけど鬼共の妖力が強くて、結晶となって残ってしまったのさ。それが鬼水晶。手に入れると、妖力が強くなる、妖達の宝玉なのさ」
ほたるは、葛の木様を見た。
「そんなの、祓えないに決まってるじゃん」
葛の木様は、面を付けていて表情が分からない。
「んーーーーー。あ、そうじゃ。これを使うといい」
そう言って袖から何か取り出した。取り出すと、シュッと大きくなった。
「・・・!!弓だ。・・・でもね、私撃てないよ」
「何ーーーーーーー!?」
葛の木様の驚きは、半端ない。
「そんなこと言わないでおくれよ」
「そんなこと言ったって・・・・・・」
はたるはため息をついた。
「鬼水晶をくれるなら、手伝ってやっても良い」
彪の一言に、ほたるも、葛の木も目を輝かせた。
「もらっていいから、力を貸して」
「若菜さんを助けてくれーーーー」
こうして、2人と1匹の悪霊退治が始まった。