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忘れられた場所

「それで、何をすればいいの?」

「まあ、話を聞いてくれ。・・・おっとその前に・・・」

葛のくずのきは、祠の奥に行き、戻ってきた。

「・・・。何?そのお面・・・」

葛の木は、狐のお面をしていた。

「失礼な。私は狐の神なのだ。面をしたままでは失礼だから、面を外して挨拶したのだ」

「えーーーーー!?かっ・・・神様だったの!?くっ・・・葛の木様・・・」

ああ。タメ口、無礼三昧・・・。祟られる・・・。

「はは。気にしなくていいぞ」

なんて心の広い神様なのだろう。

「実はね・・・。ああ、ちょうど来た」

「ちょうど来た?」

葛の木様が見ている方には、若い女の人だ。

「まさか、あの人が好きだから、告白したい・・・とか?」

「阿呆。違う。まあ、見ておれ」

「あら。こんにちは」

突然、後ろから声がした。振り向くと、若い女の人だった。

「こ・・・こんにちは」

慌てて返す。

「見ろ。この人を・・・」

葛の木様は、ヒソヒソと言った。言われたとうりにする。そして、ビックリした。

「見えるか?」

黙ってうなずく事しか出来ない。女の人は、お供え物をして行ってしまった。

「な、な、見えただろう?」

「うん」

女の人に憑いていたもの。それは・・・。

「あれは・・・。妖怪?」

「そうだ」

黒くて、恐ろしい妖だった・・・。ほたるは葛の木を見つめた。葛の木は語りだした。

あの女の人は、若菜さんといって忘れられたこの場所を唯一拝んでくれる人。ところが最近、妙なあやかしに憑かれてしまったのだ。

「あのままでは、若菜さんの命が危ない。そんな時、お前を見かけたんだ。人の子のくせに、妖力の強いお前に目をつけていたんだ」

実際、若菜さんは力が弱まっている感じがした。

「で?どうしてほしいの?」

「あの妖怪を、追い払ってほしい」

「えっ!?」

追い払う?そりゃあ、出来るならやってあげたいけど・・・。

「ごめんだけど、私、そんなこと出来ないよ」

「なぜだ。お前ならできる。お願いだ」

葛の木様は泣いている。

「私は、陰陽師とか、神社の神主とか、尼さんとかじゃないんだよ」

「うう・・・・・・」

葛の木様は、ワーワーと泣きだした。ほたるも泣く子にはかなわない。

「分かった。分かったよ。出来ることはやるから」

結局、昨日と一緒の流れだよ。それにしてもさっき、若菜さんに憑いていた妖怪・・・。何か、変な感じがしたな・・・。どうしてだろう・・・。

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