出会った
今日は、雨が降っている。普通だったら、森になんか行かない。ほたるは、森の入口で立ち止った。
普通だったら・・・。
そう思っていたのに、森の中に入って行ってしまった。
来てしまった・・・。
とにかくため息をつくしかない。まあ、雨も少ししか降っていないし、少しくらい良いか。
その時だ。
ドスン!!!!
後ろで音がした。ドキドキしながら、恐る恐る振り向く。そして悲鳴を上げそうになった。思わず腰が抜けた。後ろにいたのは・・・。大きな獣だった。白くてとにかく大きい。目は、銀色。耳が後ろに倒れ気味。尾がとにかく長い。
「む。なんだ、人の子か」
低い声。多分これは・・・。
「妖怪なの?」
「当り前だ」
そりゃ、そうだろう。これが、普通の動物なわけがない。
「お前には、私がみえるのか?」
「まあ・・・」
話も出来るし、見えている。
「雨が降っているのに、何をしている」
そこまで来て、やっと落ち着いた。はたるは立ち上がる。
「関係ないでしょ」
「ふん。ふてぶてしい奴だ」
そんなこと、妖怪に言われたくない。
「あんたこそ、突然何よ」
「少し散歩していただけだ」
そういえば、コイツには話が通じる。ほたるは、もう少し話してみることにした。