破片(かけら) その壱
あけましておめでとうございます。
今年も、よろしくお願いします。
悪霊退治から、1週間が経った。この日は、学校が休みだった。
ほたるは宿題をやっていた。彪は、アイスを食べていた。
「って、何で彪がいるの?」
叫ぶように言った。
「そりゃ、鬼水晶が見つかって、お前に持ち逃げされたら困るしな」
「するわけないでしょ・・・・・・」
かなり、呆れた。
最近彪は、まるで飼い猫のような扱いを受けている。時々、ご飯をもらっていたり・・・。最近知ったことだけど、彪はもともと普通の猫だったから、普通の人にも見えるらしい。
「私は、飼い猫ではないぞ」
彪は、ほたるの気持ちを、読み取っている。完全に。
それにしても・・・。確かに鬼水晶の行方は、気になっていた。なんだろう。なんだか嫌な予感がするような・・・。
「まったく。どこにいったんだか。おい、ほたる。午後になったら、鬼水晶を探しに行くぞ」
彪は、せんべいの袋を開けながら言った。思いっきり、命令口調だ。
午後になった。太陽が痛いくらい照りつけて、探すのが面倒になってきた。それに、彪はほたるの肩に乗っている。意外に重い。
「ねえ、自分で歩いてよ」
「うるさい。地面は暑いのだ」
「こっちだって、暑苦しいよ」
ほたるがつぶやくように言ったけど、彪はお構いなしだ。
「水晶は、森の中に落ちているハズだ。悪霊退治をしたのは、葛の木様の祠がある森だったな。その辺を探してみよう」
「うん・・・。でもさ、あるかな。そこに」
ほたるは、前から思っていたことを言った。
「む。どういうことだ」
「だって、悪霊を退治した時、すごい力を感じたの。だから、近くにはないんじゃないかな・・・」
「それもそうだ。だが、どこを探すのだ?」
「それは・・・。分からない。あ、でも良い考えがあるよ」
ほたるは、自信あり気に、笑った。