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魔物畑で快適ライフ!~生贄にされた少年は掟破りの魔物栽培で快適生活を手に入れる!~  作者: 十一屋 翠
第一章 魔物出る大地

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第19話 帰って来た相棒

いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

「ミーッ!!」


 動かなくなった蛇の魔物の上で、ダンテが勝利の雄叫びを上げる。


「ダンテ……」


「ミ?」


 危機は去った。

 誰一人欠けることなく。いや、一人だけ確信できない。


「お前は……俺の知ってるダンテなのか? それとも……」


 ダンテは死んだはずだ。

 もしかしたらこいつは死んだダンテから生まれた新しい魔物なんじゃ……


「ミミッ!!」


 ポーンと蛇の魔物の上から飛び降りると、ダンテは俺にクイグイと体、いや頭の上の銀色の果実を押し付けてくる。


「うわ、止めろって」


 そしてコロンと取れた果実が俺の腕の中に転がり落ちてくる。


「ミッ!」


「食べろっていうのか?」


「ミッ!!」


 そう、と頷くダンテ。

 それはダンテと行っていたいつものルーティーン。


「お前は、俺達の知っているダンテなんだな」


「ミッ!」


 一日ぶりのダンテの果実は、少しだけしょっぱかった。


 ◆


「ダンテちゃん! 無事だったんですね!」


 戦いが終わった事で避難させていたククミス達を呼び戻すと、彼女達もダンテの復活に驚きの声をあげる。


「イモモ!」


「マメメ!」


「ノココ!」


「ミッ!」


 皆が喜びの声を上げてダンテに飛びつく。


「ミッ」


 ただしククミスは引き剥がされた。


「そんなぁ~」


 ククミスには厳しいなぁ。


「でも何でダンテちゃんは生き返ったんでしょう」


「さぁなぁ。生き返るならダンテから新しい魔物が生まれるかもと思ったんだけど、コイツは俺達の知ってるダンテなんだよなぁ」


 言葉は分からずとも、振る舞いからコイツはダンテ本人だと俺は判断した。


「でもこれで蛇の魔物の縄張りだった泉も私達の物という事ですね」


「そうなるのかな」


「ミッ!!」


 と、魔物達と感動の再会をしていたダンテが声を上げて飛び出してゆく。


「どこに行くんだ!?」


 皆で何事かとダンテを追いかけてゆくと、蛇の魔物の縄張りだった泉へとたどり着く。

 そしてダンテは泉に飛び込むとゴロゴロと転がり、次に泉の周囲の木々や岩に体をこすりつけ始めた。


「一体何して……いやもしかしてマーキングか?」


「マーキングですか?」


「ああ、野生の動物は自分の縄張りを示す為に周囲の木に傷をつけたり体をこすりつけて匂いを染み込ませるんだ。多分ダンテのやってる事もそれなんだと思う」


 魔物もマーキングとかするんだなぁ。

 いや、蛇の魔物の匂いを上書きする意味も込められているのかもしれないな。


「ともあれ、これで水に困らなくなったのはありがたいな」


 改めて水を補給すると、俺達は家に帰ってくる。


「あとはこれをどうするかだな」


 俺は蛇の魔物の死体を眺めて途方に暮れる。

 流石にこのサイズの巨体が腐ったら大惨事だ。速く解体して要らない部分は埋めちまわないと。


「ムラサメ、蛇の魔物の解体を頼めるか?」


「ジャキッ!」


 任せろとムラサメが刃を構える。


「トカッ!」


 と、そこにダイクが混ざり、戦いで倒れた柱から掘り出した木をカットして複数のおおきなまな板に作り替える。


「ジュジュ!」


 更にフィトンが根っこを器用に動かして蛇の巨体をまな板の上に乗せる。


「ジャキイ!」


 準備が整った所でムラサメが刃を振るい、蛇の魔物が解体されてゆく。


「おー早い早い」


 さて、それじゃあこっちも内臓とか要らない部分を埋めるための穴を掘らないとな。


「おーい、穴を掘るから手伝ってくれー」


「ゴロ!」


「イモモ!」


「マメメ!」


「ガド!」


 魔物達と一緒にデカい穴を掘っていると、ムラサメ達の解体が先に終わる。


「シャベルでも買って穴掘りを手伝ってくれる魔物が欲しいなぁ」


「それなら移動用の魔物もお願いします。ゲイルちゃんだけだと買い出しも大変ですし」


 そうだな。ゲイルは色々出来る分何か一つに専念させると他の仕事が出来なくなるのが痛い。


「分かった。移動に適した魔物を倒したら埋めるようにするよ」


 そうこうしているあいだに、ようやく蛇の魔物の不要部分を埋めるための穴が出来た。


「よし、それじゃあ入れるぞー」


 蛇の魔物の死骸を入れると、その上に土を盛ってゆく。


「新しく生まれてくる魔物は蛇の魔物と同じくらい強い奴だと良いんだけどな」


 まぁでも強キャラのボスが仲間になると大抵弱体化するんだよな。

 あまり期待し過ぎない程度にしておこう。

 生まれて来るかもまだ確信が持てないし。


「ボウッ!!」


「ジェル!」


 と、そこにカグツチ達が焼けた肉を運んでくる。


「お前達が焼いてくれたのか?」


「ボウッ!」


 どうやら俺達が穴を掘っている間に、蛇の魔物の肉を焼いてくれていたようだ。


「くーっ、戦いに勝ったあとの肉は美味い!」


 ダンテが無事だった事で二倍美味い気がするぜ!


「トカ!」


 更にダイク達が野菜を茹でた汁を持ってきてくれる。

 皆料理の経験がないから塩を入れただけの薄味スープもどきだったがそれでも今は何を食べても美味い気がする。


「お水の心配がなくなったのは本当にありがたいですね」


 食後に用意された白湯を口にしてククミスが安堵の溜息を漏らす。

 うん、水に関してはククミスが一番心配なところだったもんな。


「家、食料、衣服、畑、防衛力、そして水と最低限必要なものは一通り揃ったな」


「ですがまだ薬など細かなものが足りませんでした。これからは不足を感じたものは積極的に仕入れに行く必要がありますね」


「だな」


 確かに、ダンテの件ではポーションの重要性を思い知らされたからな。

 貴族として甘やかされていたこともあるけど、前世の文明も相当に便利過ぎたと今更ながらに痛感してる。


 何せ都市部ならどこに居てもコンビニやスーパーが徒歩圏内だし、病気になったらすぐに医者に掛かれるし医者が休みでも最悪薬局があるからいいやと考えていたからな。


「幸いイスタが居るから金には困らないし、色々と買い足しにいこう」


「そうですね。次回からはモメンちゃん達の高級生地と糸も売り物にできますから、ますます国内の市場を荒らせますよ! 楽しみですね!」


「……そう、だね」


 今日もウチのお姫様は国家転覆に積極的だ。


「死闘を終えた直後でそれを言えるのは一周回って凄くない?」

面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。

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