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魔物畑で快適ライフ!~生贄にされた少年は掟破りの魔物栽培で快適生活を手に入れる!~  作者: 十一屋 翠


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第13話 新メンバーと拠点の開発

 翌朝、いつものように畑から魔物達が生まれていた。


「パレパレ!」


 毛皮の代わりに布が生えている多分服から生まれた魔物。


「トカトカ!」


「ツンツン!」


「シュルシュル!」


 近くの枝や倒木を削って綺麗な材木にしている魔物は工具から生まれた魔物かな?


 全身の針で刺してるのは繕い物用に買った針で、長い体毛をユラユラ動かしているのは同じく繕い物用に買った糸から生まれた魔物か。


「イモモ!」


「マメメ!」


 どう見ても芋と豆の魔物。頭に芋と豆が実ってる。


「ガドガド!」


 全身が大きく硬そうな皮膚に包まれたこの魔物は盾から生まれた魔物か?


「ジャラジャラ」


「ゴロゴロ」


 そして最後に赤い宝石と石が混ざった魔物と半透明の緑の宝石と石が混ざった魔物だ。


「イスタと違って石が混ざってるんだな。この辺はなんだろ、埋めた物の質が関係してるのか?」


 イスタは王族が身に纏う宝石と純金のネックレスだったからな。


「そう考えると同じ物でも質が違うと強さや能力が変わる?」


 鉄の剣とミスリルの剣じゃミスリルの剣から生まれた魔物の方が強くなりそうだ。

 今後の事も考えると実験したいなぁ。


「うう、駄目でした……」


 と、ククミスが地面にへたり込んで土塗れのネックレスを手にしていた。

 近くを見ると小さな穴が掘られている。

 はて? あんなネックレスは埋めた覚えが無いんだが。


「もしかして自分でも埋めてみたのか?」


「……はい。フォルス様が元々普通の人間だったというお言葉が本当なら、原因は土地ではないかと思ったのです。それなら私が埋めても魔物が生まれるのではないかと思ったのですが……」


 生まれなかったと。


「やはりフォルス様が特別なようです」


「何でなんだろ?」


 俺が元からそんな能力を持っていたのか、それともやはり髪の毛の色が変わった時に何か特別な力を授かったのか……


「なぁダンテ、ククミスにも果実を食べさせていいか?」


 俺はこっそりダンテに頭の実を食べさせていいかと尋ねる。

 毎朝の食事でダンテは俺にしか実を食べさせようとしない。

だがもし銀色の実が原因で魔物を産み出す力を授かるのなら、ダンテの実を食べることでも魔物を産み出す力を授かれるかもしれない。


「ミミミミッ!!」


 が、ダンテはそれは嫌だと強く拒否してきた。


「駄目かぁ~」


「ミッ!」


 それよりもこっちが先だろとダンテは新しく生まれた魔物達の所に俺を押していく。


「そうだな。コイツ等の名前も付けてやらないと」


 とはいえ今回は数が多いから大変だな。


「ええと、布が生えているお前はモメン!」


「パレパレ!」


 英語やラテン語で生地とかつけたかったけど知らないので一反木綿からとることにする。

 子供のころに見た妖怪漫画の影響でパッと何かに絡んだ妖怪の名前が出てくるんだから妖怪漫画の先生って凄いよな。


「そんで工具のお前はビルド! 針のお前はアラシ! 糸のお前は……スレッド!」


 工具の魔物はズバリ建物とかモノづくりから。針の魔物はヤマアラシ、んで最後の糸の魔物は掲示板の事じゃなくて糸の事ね。

 昔英語の授業中に先生が豆知識として教えてくれたんだけど、知ってる奴には大受けだったけど某ネット掲示板を見ない生徒はポカーンとしてたっけ。


「トカトカ!」


「ツンツン!」


「シュルシュル!」


「芋の前はチップ! 豆のお前はビーン!」


「イモモ!」


「マメメ!」


 芋の魔物はシンプルにあのお菓子から、豆の魔物の方はシンプルにビーンズだ。


「盾のお前はフェン!」


「ガドガド!」


 コイツはディフェンスからとった。シールドからとっても良かったんだけどな。


 残った赤い宝石と魔物と半透明の緑の宝石の魔物はどうするかな。

 宝石の名前とか分かんないし、色からイメージする宝石の名前にするか。

 実際に何の宝石か知らんけど。


「赤い方のお前はルピで緑のお前はラルだ」


 それぞれルビーとエメラルドからとった。


「ジャラ!」


「ゴロ!」


 よし、これで全員名前を付けたぞ。


「それじゃあ拠点作りを始めるか。皆、ここを住みやすくしたいから、家を建てるのを手伝ってくれ」


『ミー!』


 流石にこれだけ魔物が増えると朽ちた大木の洞で寝泊まりするのも無理だしな。


「じゃあムラサメとビルドは家に使う木材を切って整えてくれ」


「ジャキ!」


「トカ!」


「アラシとスレッドは布団やクッションを作ってくれないか?」


「ツン!」


「シュル!」


「あ、でもそうなると中に入れる綿を買いに行かないと駄目か」


 しまった、中身の事を忘れてた。


「ボウッ!」


 と、そこにカグツチが草を咥えてやってくる。


「草を入れろってのか? 流石にそれは青臭……」


「ボッ! ボッ!」


 するとカグツチは草に軽く炎を浴びせて炙る。


「ボウ!」


「ガドガド!」


 更にカグツチがフェンを呼ぶと、フェンは炙った草を叩いて平たくする。

 ええと、これはもしかして火を消してるのかな?


 そして二匹は炙って水気の飛んだ草の束を差し出してきた。


「成る程、これを綿代わりに入れろと」


「ボウ!」


「ガド!」


 綿を仕入れるまでのつなぎには丁度いいかもな。そういえば煙で燻す事で虫よけの効果を期待できるって何かのサバイバル漫画で見た覚えがあるな。


「ついでにやってもらうか」


「ジャラ!」


 と、そこにルピがやってくる。


「ジャラッ!」


 するとルピの体の宝石から炎が溢れる。


「え!? お前火が出せるのか!?」


「ジャラ!」


 カグツチ程ではないが、ルピも炎が出せるみたいだ。


「宝石は種類によって特定の属性の魔法を強化する効果があります。ルピちゃんも同様の力を持っているのでしょう」


「へぇー、宝石にそんな力があるんだ」


 宝石で魔法がパワーアップとかいかにもファンタジーだなぁ。


「……魔法が使えない私達には無縁の話ですけどね」


「……それはそう」


 やめろククミス、その自虐は俺にも効く。


 ともあれ、皆の協力で拠点作りが進んで……


「しまった、釘を買ってない!!」


 工具だけ買って建築に必要不可欠な釘を買い忘れてた!


「トカ!」


 が、何故かビルドは問題ないとばかりに木材を組み合わせるとガンガンと地面にたたきつける。


「ええ!? 全然バラけないぞ!? 何でだ!?」


「トカ!」


 ビルドが組んだ木材を分解して差し出してくる。


「……これ、組み合わせる部分がパズルみたいになって簡単に外れないようになってるのか!?」


 これ、テレビで見たことあるぞ。確か釘を使わずに建物を建てる為の技術だ!

 確か木組みっていう技術だっけ。


「凄いなお前」


 まさか魔物がそんな技術を使えるなんて思っても居なかった。


「トカ~」


 だがビルドは肩をすくめながら組み合わせて木材を組んでは外してアピールしてくる。


「ええとあくまで急場しのぎだから釘が欲しいって事か?」


「トカ!」


 どうやらこの木組みだけじゃ本格的な建築をするには足りないっぽい。

 まぁ土地にあった建築様式ってあるもんな。


 日本みたいに地震が多くて湿気が多い土地だと色々気を遣う部分が増えるし、寒いところは防寒と換気に気を遣わないといけない感じで。


「分かった。次の買い出しで釘を買ってくるよ。それまでは今あるもので作れるものを頼む」


「トカ!」


 任せろと自分の胸を叩いて作業に戻るビルド。頼りになり過ぎるぜ。工具を埋めておいて本当に良かった。


「そういえば工具は複数埋めたけど魔物になったのはコイツだけなんだな」


 よく見るとビルドの体にはハンマー以外の工具の特徴が見られる。

 さっきもカンナのように木材を撫でて綺麗に整えていたし、魔物を生み出す条件にも色々あるのかな?


 なんて考察を考えながら作業を進め、遂に拠点が完成した。


「出来たー!」


『トカー!』


 出来上がった建物は決して豪邸とは言えなかったが、それでもみんなで暮らすには十分な大きさがあった。


「朽ちた大木を建物の一部に組み込んでいるんだな」


「トカ!」


 おとぎ話の建物みたいでちょっと面白いな。

 更に建物の周囲には木製の壁が設置されていて、魔物の襲撃から身を守れるようになっていた。


「魔物相手にどの程度役に立つのか分からんけど、無いよりはマシだよな」


 頼むぜ壁。


「ノココ」


「ジュジュ」


 ポンポンと音を立てて壁にデバフ茸を仕込むホウシ達。

 壁、いろんな意味で頑張れ。


「フォルス様、中にはお部屋もありますよ」


「おおっ! 個室!」


 建物の中はちゃんと個室があり、中にはモメンやカグツチ達が協力して作ってくれた簡易布団が設置されている。


「ボウ!」


「パレ!」


「逃亡防止の監視も敵対派閥の暗殺の心配のない部屋なんて初めてです!」


 しれっと闇を溢れさすの止めてくださる?


「リビングにはテーブルやイスもありますね」


 家具も揃えられていて、棚には木で作った食器が並べられている。


「台所には石の竈があるな! ん? でもなんか大きくないか?」


 何故か竈が妙に大きい事に首を傾げていると、カグツチが竈の中に入ってゆく。


「カグツチ?」


そしてボウと鳴くと竈に火が灯る。


「それは私が頼んだんです。薪を燃やすよりもカグツチちゃんに直接火を出してもらった方が薪の節約になるかと思って」


 あー、そういえば薪って乾かすのに時間かかるんだっけか? キャンプに関する配信番組でそんな話をしていた気がする。


「ジャラ!」


 更にルピがその隣に設置された竈に入ってカグツチよりも小さい火を発する。


「こっちは弱火用かぁ」


 まぁこれでまともな調理が出来るようになるからいいか。


「ミッ!!」


「ワウ!」


 と、そこにダンテとゲイルが魔物を引きずって現れた。


「ワウ!」


「ジャキ!」


 ゲイルが魔物を置くと、ムラサメがすぐさま解体を始める。


「そうか、お前達は魔物を狩ってきてくれたんだな」


「ミッ!」


「ワウ!」


 建築はこっちに任せてダンテ達は食料調達に専念してくれていたのか。

 正直今から調達に行かなくて済んで助かるぜ。


「よし、拠点完成のお祝いパーティだ!」


「おー!」


『ミーッ』


「イモモ!」


「マメメ!」


 チップとビーンが頭の芋と豆を差し出してくる。

 こいつ等はダンテと違って複数の実が実っているようでククミスの分も確保できた。


「これで野菜も食べれるのはありがたいなぁ」


 食材魔物の種類が増えれば食料の貯蔵も出来るようになるし、今後の食生活が期待できるぜ。


「そうなるとあとはデザートが……あれ? そういえばお菓子も埋めなかったっけ?」


 おかしいな、あのお菓子は魔物にならなかったのか?

 だとすれば埋めても魔物にならない種類があるとか?


 残念に思いながらお菓子を埋めた場所に視線を送ると、モコモコと土が動いているのが見えた。


「え? もしかして」


 ボコッボココッポン!


「スイーッ!!」


 生まれたのは体の一部がお菓子で出来た生き物だった。


「スゲェ! 漫画みたいな生き物だ!」


 マジか、お菓子の家の動物版って感じだ!


「スイーッ!」


 お菓子の魔物は俺を見ると嬉しそうに近寄ってくる。


「おお、意外と人懐っこい。そうだな、お前の名前は……」


 一瞬スイーツって名付けようとしたけどそれだと鳴き声そのまんまだよな。

 もうちょっと捻った名前は……


「そうだ、ドルチェはどうだ!」


「スイ? スイーッ!」


 どうやら気に入ってくれたみたいだ。

 これで肉と野菜に次いでお菓子も手に入ったぞ!

 でもこいつが生まれるまで時間がかかったな。

 ビルドの件と言い、魔物の誕生には色々条件があるのかもしれない。


「ともあれ、一気に生活が良くなったな。あと急ぎで必要な物は……もうないかな」


 と思った俺だったが、翌朝一番大事なものを忘れていた事に気づくことになるのだった。

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