第11話 金(のウンチ)を生む魔物
「凄いですよ、この魔物の排泄物は金塊です!」
信じられない事に新しく生まれた宝石の魔物イスタのウンチは金で出来ていた。
「いやいやいや、いくら何でもそれはないだろ! どうせ金色のウンコってだけだろ」
こういうのは大抵オチがあるもんだ。
「確かめてみましょう」
そう言ってククミスは近くに落ちていた枝で金のウンコを突く。
「明らかに鉱石の硬さです」
次に石を拾ってきんのウンコに押し付けるククミス。絵面が完全に野糞で遊ぶ小学生男子のソレだ。
「ある程度の柔らかさがあるので黄銅ではないですね。やはり本物の金だと思います」
そんな馬鹿な。金を生む魔物なんてそんな都合の良い生き物がいる筈がない!
「大体埋めたのは宝石の付いたネックレスで生まれたのは宝石の体の魔物だぞ!? 何で金を出すんだ!?」
「ネックレスの大部分は純金だったからだと思います。純金の体で生まれなかったのはネックレスとしては宝石が主役だったからでしょうか?」
それで金のウンコが出てくるのありなの!?
「そんな事よりも凄いですよフォルス様! この子さえいれば素晴らしい事が出来ます!」
「あー、売れば大金持になれ……」
「この排泄物を大量に売り払って国内の金相場を滅茶苦茶にしてしまいましょう!」
想像以上にヤバい事言い出した。
「金鉱山を持つ高位貴族の既得権益を滅茶苦茶に出来ますよ! それに金製品を資産として蓄えている貴族達にも大打撃です!」
まさかの経済攻撃を提案してきたんですけど。
「いや、その、既得権益に手を出すとマズくない? 狙われるよ?」
うん、既得権益に手を出すのはヤバイ。前世でも既得権益を揺るがしかねない新発明や新素材の話題は何故か不自然に消滅してしまうのだから。
「勿論正面から喧嘩を売るような真似は致しません。しかし少量ずつ売る分には問題ないかと。寧ろその方が都合が良いのです」
と、ククミスは嬉々として計画を語る。
「まず町に行き金塊を売ります。しかし商人はこちらを見て足元を見るでしょう。訳アリの貴族が金策の為に大事な品を売りに来たと」
俺は普通とは言い難い儀式服だし、ククミスなんておもいっきりドレスだもんな。
「その為相場以下で買い叩かれるでしょう。ですがそれでかまいません。相場以下でも良いから売ってしまいましょう。もしくは最初だけ渋って他の店に行く振りをして相手に慌てて値上げさせるのも自然かもしれませんね。それでも間違いなく相場以下の値段を提示されるでしょうが」
ククミスは重ねて相場以下でも構わないと語る。
「重要なのは大量に数を売る事です。町中の店で金塊を売りあえて目を付けられます。そして良からぬ者に手を出され鵜前に早々に町を出て次の町に行きます。これはゲイルちゃんに乗れば問題ないでしょう。そうして多くの町で金塊を大量に安く売れば、最初は商人も儲けになると思って金を市場に出すでしょう。そしてほとぼりが冷めた頃にまた金を売りに来ます。その時はあの時の貴族がまた来たとすぐに噂になるでしょうから、二、三件で売ったらすぐに町を出るべきでしょう。そうする事商人達の間で金を安く買える、まだ金の在庫があると金に対する価値が下方修正されます」
水平に動かしていた手を斜めに下げる事で金の価値が下がっていく流れを説明するククミス。
「そうなると商人達は金鉱山を持つ貴族から金を買う手が鈍ります。同時に金細工の製品の価格も下がります。そうする事でこの国での金の価値が下がるのです。資源の価値が下がる事は重大事です。しかもそれが大貴族の懐事情に直結するのなら、他の貴族達がこぞって足を引っ張りだしますよぉ~」
ニンマリと満面の笑みを浮かべるククミス。
その笑みは飛び切り可愛い美少女の微笑みの筈なのに極上の邪悪さを放っていた。
「という訳でイスタちゃんはい~~~~っぱいご飯を食べて排泄してくださいねぇー!」
ニッコニコでイスタに頬擦りするククミス。
「ジェルジェルゥ~」
すっごい迷惑そう。
「まぁでも金策できるのはいい、のかな」
本格的に暮らすなら必要な物資も沢山あるだろうしなぁ。
その代金はウンチになるけど。
「ジャキィ……」
と、その時俺は見てしまった。
プリプリ……
ムラサメがお尻から鉄のウンチを出す光景を。
「……」
俺はそっとムラサメを体で隠すと、鉄のウンチをククミスに見えないよう……
「……まぁ。鉄相場も楽しい事になりそうですね」
おっと手遅れでした。
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