神の絶叫と、世界の崩壊の兆し
旅の途中で、太郎は個性豊かな仲間たちと出会い、あるいは懐かしい顔と再会する。彼らとの新たな絆が、太郎の心に温かい光を灯す。
「馬鹿な…この私が…なぜ…」
神の絶叫が、天上の神殿に響き渡る。その叫びは、まるで世界の理そのものが悲鳴を上げているかのように、アストラルム全土に轟き渡った。神の体が、粒子となって崩れ去っていく。それは、彼が転生させられた時と同じ、まばゆい光の奔流だった。しかし、その光は、健太にとっては勝利の輝きではなく、虚ろな、そして空虚な終焉を告げる光景にしか見えなかった。
神が消滅した瞬間、アストラルムの世界は激しく揺れた。世界を支える根源的な「魔力の流れ」が乱れ、空には巨大な亀裂が走り、大地は激しく隆起し始めた。世界樹の根元からは、これまで見たことのないほどの暗い魔力が噴き出し、その輝きは急速に失われていく。まるで、世界の生命線が断ち切られたかのようだった。
遠く離れたエルフの森では、世界樹の輝きが急激に失われたことに、エルフたちが深い悲しみに包まれた。彼らの体から魔力が失われ、長命の特性が失われる者が現れる。ドワーフの地下都市では、大地の力が揺らぎ、鉱山が崩落し始める。獣人たちの住む平原では、自然の摂理が狂い、魔物たちが凶暴化し、生存圏が狭まっていく。人間社会もまた、神の加護が失われたことで、混乱の極みに達していた。各地で信仰心の崩壊による暴動が起き、秩序は失われた。
健太は、神殿の床に膝をついた。全身から力が抜け、指一本動かすこともできない。彼の肉体は、長期間の飢餓と疲労、そして「創世の鍵」の過剰な魔力消費によって、完全に限界を迎えていた。彼の意識もまた、闇へと沈みかけていた。
彼は、自分が神を殺したことで、この世界にどのような影響が及ぶか、考えていなかったわけではない。しかし、その憎しみは、他の全てを覆い隠すほど強烈だった。ただ、憎き神を打ち倒すこと。それだけが、彼の唯一の目的だったのだ。




