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第53話 鉱石宝石のお値段は

 それから、いくつかの魔物で試し斬りを終えた俺はノエルと共にノエルの家に戻ってきた。


 俺は家に入るなり、ぐっと大きく伸びを一つする。


「洞窟に行ってから、すぐに剣を作ったりしたからさすがに疲れたな」


 洞窟でも険しい道を歩いたし、それから集中して鋼を打って剣を作った。心身ともに疲れてしまい、そのまま寝てしまいたくなる。


 さすがに、おっさんがこなすにはハードスケジュール過ぎたらしい。


「風呂に入ってゆっくりするかな」


「おっさん、おっさん。持ってきた鉱石とか宝石類売りに行かないのか?」


 俺が風呂でも入れようと思って勝手口に向かうと、ノエルが俺の腕を引いてこんもりと盛られている鉱石や宝石の山を指さした。


 少しずつ冒険者ギルドに売りに行こうとは思っているが、持って行くにしても一つ当たりの単価が分からないと、今後どのくらいのペースで売って生活の足しにするか計画も立てられない。


 俺はそう考えて、部屋の隅に盛られている鉱石や宝石を適当に手に取る。


「とりあえず、試しに少しだけ売ってみるか」


「いくらくらいになるかな?」


「うーん。あれだけ数があったわけだし、そこまで値が張るってこともない気がするけどな」


 とりあえず、適当に何個か持って行くか。


 そんなふうに軽く考えて、俺とノエルは冒険者ギルドに鉱石や宝石を売りに行くことにしたのだった。




「うわっ! こんなに宝石見つけたんですか!」


 俺が持ち帰った鉱石と宝石の一部を冒険者ギルドに持って行くと、受付の女性職員がカウンターの上に置いた鉱石と宝石を見てそんな声を上げた。


「ええっと、もしかして結構値がついたりしますか?」


「もちろんです! この大きさの宝石なら、装飾に使うにしても人気ですし、こちらの鉱石なんて武器職人が常に欲しがっているようなものですし……ここら辺で鉱石が取れるのって、岩山の先の洞窟ですよね? よくこんなにありましたね」


 ギルド職員の女性は感心するような声でそう言ってから、ちらっと俺たちを見てきた。


 俺は頬を掻いてから、誤魔化すように笑う。


「ええっと、まぁ、偶然ですね、偶然」


 さすがに、値段が欠航すると知ってしまった以上、あの場所を迂闊にしゃべるわけにいかない。


 職員の女性は俺たちが持ってきた鉱石や宝石を見て、こんなにたくさんと言っているが、実はそれは持ち帰れたうちの一部だ。それを含めて、言わない方がいいだろう。


「それは運が良かったですね。換金額が……」


 冒険者ギルドの職員は、辺りを見渡してから慎重に換金したお金をそっと置いた。


「「え?」」


 そのお金を見た俺とノエルは、カウンターの上に置かれたお金を見て一瞬、固まってしまった。


 これ、ちょっとした宝くじに当たったくらいのお金だぞ。


 俺は周りに見られないうちにその大金を隠して、ノエルと共に冒険者ギルドを後にした。


 ……とりあえず、生活に追われて依頼を受けなければならないということはなくなったようだ。


 こうして、俺たちはスキル『おっさん』の力のおかげで、ちょっとした小金持ちになるのだった。


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