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第51話 試し斬り

 おっさん鍛冶師で剣を作った俺は、ノエルと共に近くの森に来ていた。


 ノエルは俺の作った剣の試し切りをするだけだというのに、やけに楽しそうにしていた。


 俺はそんなノエルに釣られて笑いながら口を開く。


「テンション上がっている所悪いけど、ただ試し斬りするだけだぞ?」


「それが楽しみなんだって! おっさんの作った剣だから絶対凄いやつだろ? それを近くで見れるんだからテンションも上がるって!」


 ノエルはそう言うと、が屈託のない笑みを向けてきた。


 どうやら、俺が作った剣の切れ味にかなり期待してくれているみたいだ。


「それで、どんな魔物で試し斬りするんだ?」


「そうだな。特には決めてないけど、ある程度強いやつじゃないと試し斬りのしがいがないかもしれない」


 作った剣を使うときには、おっさん剣士の力を使って剣を振ることになる。そうなってくると、ただの雑魚を斬ってもおっさん剣士の力が強すぎて違いが分からないかもしれない。


「まぁ、都合よくちょうどいいやつが現れてくれればいいんだが……ん?」


 スキル『おっさん』でおっさん探検家の力で魔物の気配を探っていると、少し遠くに大きな魔物の気配があった。


 集中してそちらを見てみると、その魔物がどんな魔物なのか分かってきた。


「なるほどな」


「おっさん、何かいたのか?」


「ワイルドベアだな。前に、初めてノエルと会った時に戦った魔物だ」


「……あいつか」


 ノエルは少し前にワイルドベアに襲われていた時のことを思い出したのか、複雑そうな顔をしていた。


 確か、以前戦った時はおっさん剣士の力を使ったから、ワイルドベアも一撃だったんだよな。


 俺がそんなことを考えていると、ワイルドベアの気配がこちらに迫ってきていた。どうやら、俺たちに襲い掛かろうとしているらしい。


「とりあえず、こっちに向かってきているみたいだし、試し斬りの相手はワイルドベアでいいか」


 少しもったいないような気もするが、以前戦った魔物と戦った方が違いが分かるかもしれない。


 俺はスキル『おっさん』を使って、おっさん剣士の力を引き出してから、そっと剣を鞘から引き抜いた。


 ……不思議と以前使っていた剣よりも手に馴染むような気がする。


「ガアアア!」


 そんな事を考えていると、俺よりも一、二周り大きなワイルドベアが茂みの中から飛び出してきた。


 そして、剣を構えている俺に一直線に突っ込んでくる。


「さて、どのくらい斬れるかな」


 ワイルドベアは俺に向かって右腕を大きく振り下ろしてきた。俺の体はおっさん剣士の力によって動かされて、その攻撃を右に軽く跳んでかわす。


 ガガッ!


 右腕が地面に叩きつけられて微かな土煙が上がる。ワイルドベアの右腕がすぐそこにあるという状況で、俺は軽く剣を構えてワイルドベアの右腕目がけて剣を軽く振り下ろした。


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