第50話 おっさん鍛冶師
俺は二人に見守られながら、高温に熱した高価な鉱石と共に特別な鋼を叩いていた。
「おお、おっさんすげぇな!」
「随分と簡単にやっているが、あれは中々の腕だぞ……俺なんか足元にも及ばん」
すると、俺が鋼を叩いている姿を見て、ノエルとガロンがそんな言葉を口にしていた。
確かに、自分でやっておいてなんだが、手さばきとかがあまりにも職人過ぎる。
本来ならば、素人の俺に正確に剣を作ることなどできるはずがない。
しかし、スキル『おっさん』でおっさん鍛冶師の力を得ている今なら、こうして鍛冶職人のように剣を打つことができるのだ。
これまで、色んな『おっさん』のスキルを使ってきた。その度に、『おっさん』の力に驚かされていた所から考えると、今回のおっさん鍛冶師もただのおっさん鍛冶師ではない気がする。
その証拠に、ガロンが早々に負けを認めちゃってるしな。
俺はそんなことを考えながら、また意識を叩いている剣の方に戻す。
ガロンの依頼で向かった洞窟だったが、そこで剣に硬さや鋭さが増す鉱石を見つけた。なので、ただ鋼を叩くだけではなく、高温にした鉱石と鋼を混ぜ合わせて何度も叩いて一体化させている。
ある程度特別な鋼を叩いた後、それを金槌で伸ばしていく。火造りといって、剣に膨らみを持たせて形を整えていく。
造る剣は西洋のものではなく、日本刀をイメージして作っていく。
せっかく剣を持つことができるのなら、やはり日本刀を持ちたい。これも、昔からアニメを観ていた影響なのか分からないが、斬〇剣みたいな日本刀に憧れを持っていた。
深い理由はないが、昔から日本刀に対する憧れが強くあった。
だから、作るのは鍔の部分がない日本刀を作るつもりだ。
本来刀の鍔には意味があり、鍔はあった方がいいと言われてはいるが、おっさん剣士ならどんな剣で主使いこなせるような気がして、今回は鍔のない日本刀を作ることにしたのだ。
それから、ハモンを入れるために土置きをしたり、焼き入れをしたりして、最後に研いで完成。
「で、できた」
俺はできたばかりの刀をじっと見て、その出来の良さに数度頷く。
おっさん鍛冶師の目から見ても、綺麗でよく斬れそうな刃をしている。
「おっさん、完成したのか!」
「おう。ほら、見てみろよ」
ノエルが更新した様子で近づいてきたので、俺は作ったばかりの剣をノエルに手渡す。
すると、ノエルは『おおっ』と声を漏らして俺の作った剣を見つめる。
「かっこいい……変わった形してんのに、めちゃくちゃおしゃれな気がする」
「これは綺麗な剣だな。それに初めて見る形をしている」
ガロンもノエルの隣に立ってじっくりと剣を見て、感心するようにそんな事を呟いた。どうやら、二人にとっては日本刀の形が珍しく見えるらしい。
それでも、形が綺麗でよく斬れそうという意金は同じみたいだ。
俺はノエルから返された剣を受け取って、鞘にしまう。
すると、鍔がないので、鞘と柄の部分が一体化したような見た目になった。某アニメで見た剣みたいだと思って、俺は自然と口角を上げていた。
「ノエル。試し斬りに行ってくるけど、ついてくるか?」
「いくいく! おっさん、早く行こうぜ!」
せっかく剣を作ったのなら、試し斬りをしたくもなる。
どうやら、近くで俺が剣を作る所を見ていたノエルも同じらしく、ノエルは俺の手を強く引いてきた。
一体、おっさん鍛冶師の作った剣がどのくらい切れるか。
俺はそれが楽しみになって、ノエルに引かれるまま街の外の森へと向かうことにしたのだった。




