第40話 おっさん、ピザ窯を作る
「おっさん。こんな土で本当にピザ窯できんの?」
ノエルは台車で運んできた耐火レンガを勝手口に置いて、額に掻いた汗をぬぐった。
耐火レンガや土台となるブロック、モルタルに似たものなど色々と揃えたら結構金がかかったが、そこらへんは依頼で得たお金でなんとでもなった。
というか、あまりにもお金を使わなさ過ぎたので、このくらいは使ってもバチは当たらないだろう。
俺は一通り集まったピザ窯づくりに必要な道具一式を見て、大きく頷く。
「安心してくれ。おっさん窯職人によれば、ちゃんとできるらしい」
今俺はスキル『おっさん』を使って、おっさん窯職人の力を得ている。このおっさんにかかれば、異世界だろうとどこだろうとピザ窯を作ることができるのだ。
不器用な俺でもピザ窯を作れるって言うのは、スキル『おっさん』の強みだよな。
「さてと、それじゃあさっそく作っていくか。ノエルも手伝ってくれ」
「任せてくれ、おっさん!」
ノエルはやる気満々のようで力強くガッツポーズをしていた。おれはそんなノエルを見て、頬を掻く。
「まぁ、といっても今日は土台作りだけで終わりそうだけどな。土台が固まんないと何もできないし、追加で用意しないといけないものもあるし」
どうやら、ピザ窯づくりは時間がかかるものらしい。おっさん窯職人の知識が、俺にそう告げていた。
こうして、はピザ窯づくりが始まった。
まず初めにある程度の高さの土台を組んでから、その上に耐火レンガを積んでいく。造るのはドーム型のピザ窯だ。
円形の部分が大きな前方後円墳みたいな形をイメージしながら整形していく。そして、ドームの膨らみの部分は木で作った枠を組み合わせて作り、それに沿わせて煙突のスペースを空けて、耐火レンガを並べていく。
ドーム型のピザ窯は薪を入れるスペースも確保しないとなので、全体的に大きめに作る必要がある。
ドームが固まってきたのを確認して、煙突部分を作ったり、耐火レンガのすき間がある所などに耐火レンガを詰めたり、モルタルのようなものを詰めてまた乾燥させる。
最後に、固まったのを確認したら、火入れをして強度を高めていく。火入れをすることで、木組みを燃やすことができるのと、窯の中にある余分な水分などを飛ばしてくれる。
そうすることで、強度が増して良い窯になるのだ。これを数回繰り返して、ようやく完成。
「おっさん! もうピザってやつ焼けるのか? なぁ、なぁ!」
俺が最後の火入れを終えた後のピザ窯の様子を見ていると、ノエルが屈んだ俺の肩に手を置いて俺を揺らしてきた。
今日ピザを焼く予定で食材の下準備も終えているから、待ちきれなくなったのだろう。
「ああ。問題ない、生地も寝かしてあるし、盛りつけて焼けばピザの完成だ」
「よっしゃ! おっさん、早くピザ焼こうぜ!!」
俺がノエルに体を揺らされながら答えると、ノエルは俺の手を引き俺をキッチンに連れていく。
俺はよろめきながらノエルに引かれ、下準備を済ませてある食材の前に立たされた。
「それじゃあ、今から別のおっさんの力を借りないとな」
俺はそう言って、頭の中でスキル『おっさん』を使うのだった。




