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第34話 害虫駆除もおっさんにお任せ

「おっさん。ジャイアントビーはでかいのにスピードが速いぞ。どうやって戦う?」


 徐々に近づいてきたジャイアントビーの群れには、ジャイアントビーが十数体いた。黄色と黒い縞模様は俺が知っているオオスズメバチと似ているが、イワネズミを二回りほど大きくしたサイズをしていた。


 そして、その群れの後方にいるひと際大きなやつが一体いる。あいつが、ノエルの言っていた女王バチなのだろう。


 俺は迫ってくるジャイアントビーの群れを見ながら、一歩前に出る。


「ここは俺に任せて欲しい。さすがに、自分の失敗くらい、自分で何とかしないとな」


「失敗?」


 俺がそう言うと、なぜかノエルが首を傾げた。何か変なことを言っただろうかと思いながら、俺は口を開く。


「失敗だろ? 本来イワネズミの巣だけでよかったのに、蜂の巣まで爆発させてジャイアントビーを怒らせたみたいだしな」


 すると、ノエルとグラムが手をブンブンと横に振って俺の言葉を否定する。


「いやいや、むしろ大手柄だって! ジャイアントビーは頭がいいから気づかれにくい所に巣をつくるんだ。それをおっさんが駆除したんだぞ?」


「そうですよ! ジャイアントビーの巣の駆除はイワネズミの巣の駆除よりも人手も必要なことなんですから、それを一度にやってのけて失敗なわけがありませんよ!」


 気を使っているのかと思ってエイラや、他の憲兵たちをちらっと見ると、皆ノエルやグラムの意見に賛成なのか、こくこくっと頷いていた。


 あれ? もしかして、単純に手柄を増やしただけなのか?


俺は一瞬そう考えてから、顔を横に振る。


「いや、そうだとして、子供や若い連中を危険に晒しちゃダメだよな」


 それから、俺は迫ってくるジャイアントビーの群れに向けて手のひらを向けた。


 それから、俺はスキル『おっさん』を発動させる。やはり、蜂と戦うのなら必要なのは、おっさん害虫駆除業者だ。

 

 そう考えると、おっさん害虫駆除業者の知識が頭に流れてきた。この状況にあったジャイアントビーの対処方法を教えてくれる。


 俺はその対処方法を実践するために必要な力を使うために、別のおっさんの力を想像して頭の中で組み合わせる。


『おっさんスキル発動:おっさん害虫駆除業者×おっさん魔法使い』


「さっきは害獣駆除だったからな、今度は害虫駆除だ」


 俺はそう言って手のひらに魔力を一気に溜めていく。一気に多くのジャイアントビーを相手にするわけだから、極力高火力の方がいい。


 そう考えながら魔力を込めていくと、手のひらに溜まっていく魔力が熱を帯び始めた。そして、勢いよく俺たちのもとに突っ込んでくるジャイアントビーに向けて、溜まった熱を火炎放射に変えて一気に発射させた。


 やっぱり、害虫駆除といえば火炎放射だろ。


 ゴワアアオオオオオ!!


 しかし、火炎放射のつもりで放ったはずの魔法は、おっさん魔法使いの力のせいで爆炎へと変わっていた。


そして、その炎は一気にジャイアントビーの群れを焼きやらっていく。爆風がこちらにまで飛んできて、ぶわっと額から汗が噴き出してきた。


「いや、火力強過ぎだろっ」


 俺が慌てて爆炎と化した魔法を止めると、バタバタッとさっきまえ飛んでいたジャイアントビーの群れが倒れていった。


 そして、奥の方では女王ばちのようなジャイアントビーが足をピクピクとさせてひっくり返っていた。


「くぅ~、さすがおっさん! ジャイアントビーの群れも瞬殺かよ!!」


 ノエルはきらきらした目で俺を見上げ、興奮した様子でそんな言葉を口にした。


 ……火炎放射のつもりが、ただ地上で爆炎を撒き散らしただけになってしまった。


 俺は毎度のことながら強すぎるおっさん魔法使いの力に、驚きを隠せずにいたのだった。



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