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第20話 ノエルの家庭事情

「ちょっとした騒ぎになってしまったな」


「まぁ、仕方ないんじゃないか? どのみちおっさんの強さはいつかバレるって」


 それから、俺たちは冒険者ギルドから離れて少し前の冒険者ギルド出の一件を思い出す。


 絡んできた田舎のヤンキーみたいなワードが実はB級の冒険者で、それを軽くあしらった俺の評価が上がってしまった。


 まぁ、あの状況ではワードを自由にさせるわけにもいかなかたし、仕方がないか。



「とりあえず、目的のものは手に入ったし、しばらくは冒険者ギルドに近づかないでおくかな」


 俺はそう言って、軽く凍らせて布に来るんでおいたハイリザードの肉の塊を取り出す。この肉も冒険者ギルドに売れば結構な値段がするのだが、それだとハイリザードを討伐した意味がない。


 あくまで、この肉で一杯やるために依頼を受けたわけだからな。


「さて、この肉をどうするかな。どこかの店に持って行けばステーキにしてくれるかな?」


「頼めばしてくれるぜ。まぁ、この街の料理人が作る料理だから、それなりに雑な料理になると思うけどな」


「雑な感じか……昨日の町中華も美味かったが、せっかくならミディアムな感じで食べたいな」


 たまに食べる分には昨日の町中華風な感じの料理もいいが、毎日だとさすがに飽きてしまう気がする。それに、おっさんが継続的に食べるには健康的とは思えない。


 どうしようかと頭を悩ませていると、ふと俺には他の人とは違うスキルがあることを思い出した。


「そうだ。スキル『おっさん』を使えば、自分で料理を作れるんじゃないか?」


「おっさん、料理できるのか⁉」


「多分な。まぁ、試してみないと何とも言えないが……飯を作るにしても場所がないしなぁ」


 これまで使ってきたスキル『おっさん』を使えば、きっと料理をするくらいは問題ないと思う。


 スキル『おっさん』を使って、これまで『おっさん剣士』、『おっさん軍人』、『おっさん探検家』など色んなおっさんの力を使うことができた。


 多分、そこまで出来るのなら、『おっさん料理人』の力で料理だってできるはず。


 そして、これまでの傾向から考えると、おっさん料理人の料理は相当期待できる気がする。


 でも、俺の泊まっていた安宿にはキッチンはないし、飲食店に行ってキッチンを貸してくれといって貸してくれると思えない。


 そうなると、キャンプ飯みたいに外で食べるというのが一番いいような気もするけど、そうなると思いっきり酒を飲むというのも難しいだろう。


 ……こんなとき、戸建ての良さを実感するな。


「おっさん! それなら、うちのキッチン使ってくれよ!」


「いいのか? いや、でも家族に悪いだろ」


 ノエルは俺と違って宿ではなく家に寝泊まりしている。


だから、正直ありがたい申し出ではあるのだが、急におっさんが家にやってきて飯を作り出すなんて光景、家族からしたら奇妙な光景過ぎるだろ。


それに、そのおっさんが酒まで飲みだしたら通報ものだ。


「大丈夫、大丈夫。うち、家族もういないからさっ」


「……え」


 ノエルは手を横に振って気にしていないよう素振りをしたが、その声がいつもよりも少しだけ悲しそうに聞こえた。



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