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夕食と軽い事件

すいません。

大分間が空いてしまいました。もっと更新の頻度を上げられるように頑張ります。

6時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「やっと終わった~。」

「入学式の次の日から通常授業はつらいよな。」

この学校は進学校を名乗っているため、毎学期始業式の次の日から通常授業が始まる。さらに土曜日にも学校が昼前まである。その代わり、長期休みは普通の学校より長いのだが。

「かずくん。一緒に帰ろ!」

穂波が満面の笑みで誘ってくる。この笑顔、いいなあ。保存しときたい。

「いいよ。」

「やった。じゃあ朝みたいに手、つなごっか。」

「全然いいよ。こちらこそお願いしたいぐらいだ。」

今日一日で大分周りからの視線になれた。

「君たちはすごいな。ボクが銀司と初めて登校したときには、学校終わりには疲れで動けなかったよ。」

陽菜があきれたように見て来る。

「そうか?穂波の笑顔を見れば疲れなんて吹っ飛ぶけどな。」

「も、もう~。かずくんったら~。」

「ほんと、君たちはすごいよ…。」

さらにあきれられた目で見られた。なぜだ。納得できん。


俺たちが一緒に帰っていると、穂波のスマホが鳴った。

「お父さんらだ。」

穂波は大分話し込んでいる。だいたい5分ぐらいたっただろうか。ようやく電話が終わったかと思ったら、何やら深刻そうな顔でこちらを見て来る。

「どうしたんだ?」

「今、お父さんから電話が来たんだけど、今日からゴールデンウイークまで出張だって。だから、家事も私たちでしなきゃいけないの。」

穂波は何やら深刻そうな顔で語ってくるが、俺にはいまいち何が大変なのかわからなかった。

「そうなんだ。俺もよく母さんが出張だったからな。中2に時なんてほぼ一人暮らしだったぞ。」

「えっ!じゃあ、かずくんって料理とか掃除とかできるの!?」

「そりゃあ、もちろん。」

「よ、良かった~。」

俺は穂波の態度を見て、ある可能性を思いつく。

「もしかしてだけどさ、穂波って家事出来ないタイプ?」

「うっ。」

明らかに図星を指された顔をしている。これは当たりだな。

「まあ、大丈夫だ。俺が何とかする。」

「かずくんかっこいい!。」

穂波が憧れの目を向けてくる。誰にでもできるとは思うが、かっこよく見られるなら良いか。

急遽、夕食を作ることになったので俺たちはスーパーによることにした。最近話題になっている、ある激安スーパーだ。

「おおー。ここ、安すぎじゃないか。」

売られている商品がすべて安く、俺は不覚にも感動してしまった。

「穂波。何か作ってほしいものはあるか?」

「うーん。じゃあ、カレーかな。私、辛口のほうが好きなの。」

「了解だ。うまいカレーを作ってやるよ。俺は具材を選んでくるから、穂波はカレールーを選んできてくれ。」

「オッケー。」

そして、穂波が持ってきたのは激辛で有名なカレールーだった。穂波はワクワクとした顔をしている。本当にこれを食べるのか?俺、前食べた時には3口でKOされたけどな。ハチミツでも買っておくか。

レジのおばちゃんに夫婦かと勘違いされるということはあったものの、おおむね問題なく買い物は終わった。だが、俺にはまだ問題が残っている。いかにこの激辛カレーに打ち勝つかということだ。万が一、穂波が辛い物への耐性があった場合、俺はハチミツを使うことができない。かっこつけたいからだが。

有効な手段は見つからないいまま、家についてしまった。

「かずくん!料理、頑張ってね。」

あっ。こいつ逃げようとしてるな。5年前までずっといたからな。こういう時、穂波はさぼろうとすることぐらいわかる。

「ちょっと待て。穂波も手伝え。」

「ええー。せっかくアニメでも見ようと思ったのに。私、何もできないよ。」

「じゃあ、洗濯物でもしといてくれ。」

「私、できないけど。」

なぜこいつ「当たり前ですけど」みたいな顔をしてるんだ?

「学校の宿題でもしてろ。」

「するわけないじゃん。ルールって破るためにあるんだよ。」

だから「当たり前ですけど」みたいな顔をするなって。

「まあいいや。部屋で宿題してろ。」

「りょうかーい。」

絶対宿題しないだろうな。どうせ俺が見せることになるんだが。俺一人で作るか。いや待てよ。こっちの方が都合がいいのか?いつでもハチミツを入れられるぞ。その事実に気が付いた俺は先程とは真逆の気分でカレーを作り始める。


「よし、出来た。後は俺の方にハチミツを入れて…。」

穂波には申し訳ないが、犠牲になってもらう。俺の方のカレーにハチミツを入れようとしたとき誰かが階段を下りる音がした。

「かずくーん。できた~?」

くっ。なんてタイミングだ。俺はとっさにハチミツを隠すと、平静を装い、

「ちょうどできたところだ。冷めないうちに食べちゃおうか。」

「うんっ!。美味しそうだね。」

穂波にはこれが美味しそうに見えるのか?俺には真っ赤などう見ても激辛の刺激物にしか見えないのだが。

「かずくん。食べよっか!かずくん?」

「え?いや、何でもないよ。」

もう覚悟を決めるしかないか。

「「いただきまーす」」

俺は勇気を出して、真っ赤な刺激物を口に運ぶ。

「うっ!」

口に入れると口の中に刺激が広がり、気を失った。


「あれ?」

「かずくん?起きた?」

目を覚ますと、目の前には穂波の顔があった。そして穂波の顔の下半分は大きな山のよって隠されている。さらに頭には柔らかい感触がある。俺は気が付いてしまった。俺、今穂波に膝枕をされてる。

「あれ~?かずくん、恥ずかしがってる。」

「当たり前だろ。膝枕されてるんだから。」

意識すると無性に恥ずかしくなる。

「かずくんって役者の才能があるよね。カレーを食べて倒れるって。」

まじか。めっちゃ情けない奴じゃん。強がって激辛カレーを食べて、倒れて、彼女に慰めてもらうって。

「もういいだろ。俺は二度と辛い物を食べない」

「え~。私は美味しくいただいたのに。」

「まじで!」

「それでどうだった?私の膝枕。」

「えっと、その、めっちゃよかった。」

「そうかそうか。素直な奴だな~。」

穂波が俺の頭をなでて来る。子ども扱いされてるようで悔しい。

「もう大丈夫だから。」

俺が起きようとすると

「え~。まだいいじゃん。もっと撫でさせてよ。」

「また明日な。」

「毎日ならいいよ。」

「えっ?でも…。」

「いいよね。」

「…わかった。」

穂波の圧に負けた。いつも穂波には勝てないよな。でも、毎日撫でてもらえるなら良いか。

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