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6話目

「疑い深いのは生きてゆく上で大事な事だけどさぁ。神の御導きによる出会いってやつを喜んでくれてもいいと思うなぁ。うーん。苦労が多すぎる人生を歩んできて屈折しちゃったんだろうなぁ。今の君を見ていると、これまでの足跡の苦労がいかなるものかは大体予想はついちゃうな」

「おかしな状況をいきなり受け入れてしまう方が問題大有りだろう! 大体お前は何が望みなんだよ!」

「君に仕える事です☆」

「いやだ。帰れ!」


 光太郎は取り合わずにアナエルを部屋の外に押し出そうとする。


「まぁまぁ、まずはお試し期間という事で」

「後から有料になる奴か!? やっぱり帰れ!」


 光太郎がドアを開けてアナエルを部屋の外に押し出そうとした。と、「光太郎? 何一人で騒いでいるの?」と母親の声が聞こえてきた。光太郎は「なんでもない!」と言って慌てて部屋のドアを閉めた。


「今のは親御さんかな。ご挨拶してこなきゃ」


 アナエルが身だしなみを整え始める。


「まて、やめろ! そんな真似されても困る!」

「これから一緒に住むんだから、ちゃんとご挨拶しなきゃダメだよね。うん」

「そんなの親が良いというはずないだろう!」


 光太郎が信じられないといった表情をした。


「なら、良いと言ったら君にお仕えする事を認めてくれるかな?」

「やだね! 大体いきなり人の家に押しかけるような非常識な真似されてもねぇ」


 と、その時部屋のドアがドンドンと叩かれる。


「ちょっと、光太郎。さっきから何を騒いでいるの? 女の子の声がするけど誰!?」


 母親だった。光太郎が青ざめる。今のこの状況を説明できる気がしなかった。


「母さん、なんでもないよ。取り込み中だからあっち行って!」


 光太郎のせりふもむなしく、ドアがガチャリと開けられる。


「ちょっと入るわよ・・・・・・あら、こちらの外国人の女の子はどなたかしら!?」


 お玉を持ったエプロン姿で現れた母親が、部屋に入るなりアナエルの姿を目に止める。


「今日からお世話になります、天使のアナエルと言います。不束者ですが、よろしくお願い致します」


 アナエルがしずしずと挨拶をする。その時、アナエルの頭上の光輪が眩い光を放ち始めた。アナエルから後光が差す。


 母親は最初に怪訝な表情を浮かべていたが、やがて涙ぐみ始める。


「あぁ。ついにその時がやってきたのね!」


 母親は感極まって泣いている。


「母さん。その時って何さ!?」


 光太郎は母親の様子がおかしい事に気が付いた。


「その時はその時よ! 光太郎が彼女を家に連れ込むだなんて! 今日はなんて良い日なの!?」

「待った、母さん。違うんだ! こいつは押しかけてきた天使で、家に住み着こうとしているおかしな奴なんだ!」

「同棲希望!! 親御さんはよいと言うのかしら・・・・・・」


 母親は心配そうな目でアナエルを見る。


「父なら仕事で多忙なんですが、統括ならいます。話を通しておきましょう。今日からお世話になります」


 アナエルがこれ幸いと話を進める。


「海外の方は色々と進んでいるのね!」


 母親はもう納得してしまっている。この分ならすんなりと受け入れられそうだ。


「納得しないでよ! 母さん。少しは話がおかしいとか思わないの?」

「光太郎。物語の展開的に不都合なものには目を瞑りなさい」


 母親がきつい言葉で光太郎を叱った。


「そんな不条理な!」

「世の中と言うものはそういうものなのよ。いろんな意味で大人になりなさい。さぁ、今日はお祝いパーティね! お父さんにも連絡しておくわ!」


 母親はご機嫌で部屋を出て行った。

 アナエルは得意そうな表情で光太郎を見ている。


「お前、一体何をやった!?」

「フフン☆ これが私の第一の能力。確率が1%でもあるなら100%の確率で実現できる。これで私がこの家に居候できる世界線へとシフトしたんだよ。すごいでしょ☆」

「いきなりそんなチート級能力が!? てか、待ってよ。ラノベといえば主人公がチート能力を持つものだろう!」

「残念。この小説はヒロインがチート能力を持っているパターンなのでした☆」

「主人公として話の設定、構成もろもろの見直しを要求する!」

「却下します」


 そこは取り付く島も無く。


「そんなぁ! じゃあお前がうちに住み着く事は決定するって事なのかよ!?」

「そういうわけです。今後ともよろしく」

「うわっ、仲魔になった!」

「そんなわけで、早速バトルエンカウントと行きますか★」


 アナエルが腕まくりする真似をした。


「何と戦うと言うんだよ!」

「おや、お心当たり無い? 私は本の中からずっと君の事を見ていたんだよ」


 アナエルはとても心外そうだ。


「心当たりって・・・・・・あっ」


 光太郎は不良達の事を思い出した。


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