第五章 百の顔を持つ女
「グレン様おめでとうございます、本日からあなた様はCランクの冒険者に昇格です」
俺がナイトレイヴンに入って一ヶ月近く、コツコツと依頼を受けていたら突然、冒険者ギルドの受付嬢からそう言われた。
「やったなグレン!」
「おめでとうグレン君!」
テトラとシアからお祝いの言葉をもらう。
正直、嬉しさよりも困惑のほうが大きい。
「冒険者のランクってこんなに早く上がるものなんですか?」
俺は素朴な疑問を口にする。
「あたし達はだいたい三ヶ月くらいかかったはずだ」
テトラの言葉を信じるなら俺はかなり早い部類なのだろう。
「でも、どうして?」
「グレン様は他のパーティーがやらないクエストを積極的に受けていましたから、同僚達からも塩漬けクエストがなくなってよかったと評判ですよ」
受付嬢が言った、塩漬けクエストというのは誰も受けずに長年放置されたクエストの事だ。理由は様々だが面倒だったり、割に合わないものが多かった。
俺は他に競争相手がいないクエストを選んで自分のペースでやっていただけなのだが、どうやら冒険者ギルドとっては嬉しいことだったらしい。
「今夜は昇級祝いだな!」
「テトラはただ騒ぎたいだけじゃない」
二人の会話を聞いていると誰かが袖を引っ張ってきた。
「お兄さん達はナイトレイヴンの人達?」
話しかけてきたのは背中から羽を生やしたハルピュイア族の少女だった。
「そうだけど、どうしたんだいお嬢ちゃん?」
「やっぱり! 亜人族を積極的に雇っているってホント? だったら私を雇って欲しいの!」
「そういう事はあそこで言い争いをしているお姉さん達に相談しなさい、アレでも一応ナイトレイヴンのトップだから」
言い争いが子供レベルまで落ちた二人を指さしてハルピュイアの少女に言う。
「なんだ、あたし達に用か?」
「お姉さん達! 私を雇って!」
「突然だな、とりあえずお嬢ちゃん、名前は?」
「私はペルー、見ての通りハルピュイア族の女の子だよ」
ペルーは笑顔で自己紹介をした。
「ペルーちゃんね、あなた冒険者? ランクは?」
シアがペルーに尋ねる。
「ちゃんと冒険者ギルドに登録しているよ! ランクはB!」
そう言ってペルーは認識票を取り出す。
「本当みたいだな、なんでうちのレギオンに入りたいんだ?」
「私ね、前にいたレギオンで雑用ばかりやらされていたんだ、理由は亜人族だからだって、ひどくない! もう耐え切れなくなったから亜人族がいっぱいいるナイトレイヴンに入りたいと思ったんだ!」
ペルーはそう熱く語った。
「そういう事ならうちで雇ってやろう!」
「ちょっとテトラ、安易に決めないでよね!」
「いいじゃねえか、今まで亜人族って理由で不遇だったんだうちで温かく迎えてやろうぜ」
「仕方ないわね」
「やった!」
「そういう事で新入りの面倒はグレン、お前に任せる!」
「へっ?」
テトラの発言につい間抜けな声を上げてしまう。
「ランクは上でもグレンの方が先輩だからな。それにそろそろグレンも自分で考えて行動しないとな」
「よろしくお願いします、グレン先輩!」
こうして初めての後輩(ランク上)ができてしまった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
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