前略、生きている人たちへ。
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前略
今生きている私が、
先を生きた人々へ贈ります。
先を生きている人々へ贈ります。
そして、今生きている人々に、
これを読んでくれている人々に問います。
答えは、私にもわかりません。
あなたは、生きていてつらいですか?
あなたは、生きていて楽しいですか?
あなたは、哀しいと感じる時がありますか?
あなたは、嬉しいと感じる時がありますか?
あなたは、自分の思ったことが偽善だと感じたことがありますか?
あなたは、自分のしたことを意味がないと思うことがありますか?
あなたは、人間とはどんなものだと思っていますか?
あなたは、自殺がどんなものなのか知っていますか?
あなたは、いま笑えますか?
あなたは、いま泣けますか?
あなたは、嫌いだということをきちんと嫌いと思えて口に出して言うことができますか?
あなたは、言葉にした途端それが本当にそうなのか分からなくなったことがありますか?
あなたは、怒ることができますか?
あなたは、眠ることができますか?
あなたは、その感情は本当に自分が思っていることなのか疑問に思ったことはありませんか?
あなたは、なぜ自分が生きているのかなど意味もなく青春してしまったことはありませんか?
あなたは、自分だけがこの世で一人だと思ったことはありませんか?
あなたは、自分の存在はなんなのかなど考えたことはありませんか?
あなたは、自分が狂っているのではないかと諦めかけたことがありませんか?
あなたは、後悔にまみれてすべてを投げ出しそうになったことがありますか?
あなたは、ひとを可哀想だと思うことがありますか?
あなたは、人が愛おしいと感じることがありますか?
私は答えます。
数十年たてばきっと変わってしまう、
けれど、今この時点で出した答えを書き残します。
私は生きていてつらいです。
私は生きていて楽しいです。
私は悲しいと涙を流すことがあります。
私は嬉しいとしみじみ思うことがあります。
私は自分の思ったことが偽善だと常に感じています。
私は自分の行動を意味がなくてもあるものに変えたいです。
私はとても変なモノだと知っています。
私は自殺はさみしいものだと思っています。
私はいま笑えます。
私はいま泣くこともあります。
私は嫌いということが好きということが分からない泥沼にはまっています。
私は言葉にするとその感情が本当に私の中に存在するのか分からなくなることがあります。
私は怒ることも結構あります。
私は眠れないこともあります。
私は人に流されて生きている人種なのでそれが本当に自分の考えなのかよく疑問に思います。
私はいま青春真っ盛りなのでなんで自分が生きてるのかなどしょっちゅう考えます。
私はどこかズレているのに人が周りにいるのでひとりと思うことはありません。
私は存在が確認されて名前が呼ばれていればそれでいいような気がします。
私は狂っていると思うことはありません。狂っていると認めたくないからです。
私は後悔だらけだからこそ生きていかねばならないと思っています。
私は人が可哀想だと思うことがあります。自分が恵まれていることを自覚しているから。
私は人を愛おしいと思えます。たったひとり、唯一の人だけだけれど本当に大切な人です。
あなたの答えは、ありますか?
あなたの答えはあなたの中にあるでしょう。
あなたの答えは見つからないこともあるでしょう。
すれ違い、見つけることのできる人生だから。
私は今の答えをすべての答えにはしません。
できません。
刻々と変わる自分だから
その時々にあった自分の答えを見つけられるといい。
さいごにひとつだけ。
これを読んでいる人たちに問います。
こたえは、決まっていません。
すべてのものに答えなんて私は出せませんが
大切だからこそ、わからないものだってあると思うのです。
さいごのしつもんです。
あなたはいま
こえに出してしあわせといえますか?
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「ねえちゃん」
「なに?」
「ゼンリャクってなぁに?」
「……前を略すのよ」
「なにをりゃくすの?」
「アイサツよ」
「なんのあいさつ?」
「知らないわよ、勝手に調べれば」
「ねえちゃん」
「なによ」
「ぼくたちいましあーせっていえる?」
「いってんじゃない、しあわせって」
「このひとはしあーせって言えてるのかなぁ」
「……わかんないわよ、波に乗ってきた手紙だもん」
「しあーせ、しあーせ。どうしてこれがいえるのかなんてかいたんだろうね」
「そのひとにとっては幸せって言う言葉をいうことが難しいものだからじゃないの? あと、し・あ・わ・せ、ね。」
「いうのなんてかんたんじゃん。し・あ・わ・せ、でしょ? ねえちゃん」
「さっきまでアンタも言えてなかったけどね。そうねぇ、言うのは簡単でもちゃんと自分が幸せって感じて『幸せ』って言うのが難しいってことなのかもね」
「ねえちゃんむずかしぃ」
「アンタにはまだ早いの」
「じゃあおとなになったらわかる?」
「アンタが大人になる頃にはこの手紙はなくなってるだろうけどね。 わかる人にはわかるんじゃないの?」
「ねえちゃんはわかるの?」
「この人と同じ気持ちってわけじゃないけど……分からないわけじゃないわよ。」
「ねえちゃんにわかるんならおとなになればわかるってことだね!」
「言ったわね!この愚弟!」
「それはこっちのせりふだよ、じゃじゃうまムスメ!」
「そんな言葉どっから仕入れてくんのよ」
「ねえちゃんのまんが!」
「………そう。ねぇどうでもいいけどそろそろ帰らない?もう夕方だし」
「あっほんとだ。かーらーすーなぜなくのーからすのかってでしょー」
「それ違うって言ってるでしょ!『鴉は山に可愛い七つの子があるからよ』!」
「からすっていいね、ななにんもきょうだいがいて」
「……私じゃ不満だっての?」
「んーん、ねえちゃんがねえちゃんでよかったけど」
「………よかったわね」
「うん。ねぇねえちゃん」
「なに?」
「しあわせ?」
「なによ、ちゃんといえるんじゃない」
「しあわせ?」
「あーもう、幸せしあわせ。アンタはー?」
「しあわせだよ」
「そ。じゃあ帰るわよ」
「うん!」
前半は手紙の文、後半は会話文という形になりました。
どうも、愚作者と評判のキリサキです。
執筆歴はもう一年になろうとしているにもかかわらず作者が未熟者なのはさっぱり変わりません、悲しいことに。
今回のコレはコメディ系ローファンタジーを主体にしている作家のくせにシリアスに走ろうとした結果、こうなりました。すみません。
でも皆さんもこんなこと考えたことはありませんか?
私は数年前まで、こんなことばっか考えていました。
きっとみんな通る道なんです。
たぶん!
読んでくださってありがとうございました。
もしお暇がございましたら、感想や評価 批判などいただけたら嬉しいです。