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冴えないナスの育て方  作者: クロノス
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野菜の声


第一話  野菜の声



「グヘヘ、お前をこのナスで妊娠させてやるぜ!!」

俺はこうして土にナスを突っ込んて妊娠させようとしている。

まだ無垢な土をこうして無理やり突っ込んて孕ませようとしているのだ。

フフフ、、、我ながらなんて恐ろしい事を、背徳感で興奮しながらナスを土に突っ込む俺。

「やべぇ、あいつ土に、話かけてるよ」

「関わらないようにしようぜ」

周りから何か雑音が聞こえるが気にしない。

「グヘヘ、お前の初めて貰ってやるぜ、オラァ、グヘヘ、

気持ちいいだろ」

「やべぇ、頭行っちゃってるよ」

「しー。見たら巻き込まれるだろ」

周りから雑音が聞こえるが気にしない。

「グヘヘ、無垢なお前の体にナスを刻み付けてやるぜ」

「あの、カケル君?ナスって種から育てるのよ?」

俺が土にナスをぐりぐりしている後ろから女性の声が聞こえた。

ふと見ると色白で目鼻立ちはっきりな美人な先輩が立っていた。

芸能人で言うと声優の雨宮空ちゃんに似ている。

顔が少し怯えている。

俺は最高の笑顔で答えた。少しでも怯えている先輩を笑顔にしようと!

「え、ナスが何ですか?」

「えっと、カケル君ナスって種から作るのよ。だから育ったナスを土に入れても意味ないのよ?」

困り顔で先輩はそう答えてくれた。

え、嘘だろ、なんだと、

俺は頭が真っ白になった。

頭の中でゲームのデータが消えた時の音楽が鳴っている。

「えっと、固まってるけど、はいこれ、」

そう言うと先輩はナスの種らしきものをくれた。

おお、これか

「ありがとうございます」

俺は最高の笑顔でお礼を言った。

「あははは、どういたしまして」

先輩は笑ってそう返してくれた。その笑顔は人類全ての男子の心を洗い流すかのような透き通った笑顔だった。惚れてしまいそうだ、いやもう既に惚れているのかも知れないな。そう思いながら俺はナスの種を植える為土に指を突っ込む。

「グヘヘ、俺の指の形を刻み付けてやるぜ!」

「あはは、カケル君は色々とユニークだね。」

「ん?そうですか?」

先輩の顔は何故か引きつっている。

「あ、うんw」

「なんででしょうね?」

「そんな事を言ってるからじゃないかな?」

先輩は困り顔だ。でもかわいい。

「えっと、なんか子供の頃から色んな物が生きてるじゃないかって

思っててそれで、ね、ほらあるじゃないですか、

植物に話しかけるやつあれです」

俺は先輩に弁明するように答えた。

「ああ、あれね。」

先輩は納得してくれた様子だった。

「そういえばカケル君はどうしてこの大学入ったの?」

先輩はふと思ったようにそう聞いてきた。

「えっとなんでしょうね、家から近かったからかな?!」

俺は誤魔化すようにそう答えた

「ふーん」

先輩は少し怪しんでいるが一応納得してくれた様子だった。

言えない本当はエロい形の野菜に惹かれて、

自分で作りたいと思って入ったなんて。

「じゃあ大丈夫そうだし私はあっち手伝って来るね」

そう言うと先輩は離れたところの方にいるグループの方に行ってしまった。

さて、種撒くか!

「グヘヘ、無垢なお前のその土にナスを種付けしてやるぜ。グフフ。おらナス妊娠しろ」

気分はすっかり鬼畜である。

ちなみにこのテンションで何か言っているのは、

決して種蒔きがつまんなくて農大もあんまり興味がなくて訳もなく

テンションだけ上げて楽しくしていれば楽しくなって来るんじゃねって思った訳ではない、断じて!

そうして種蒔きは平和に終わった。



翌日、目が覚めるといつものように朝食を準備しながら大学へ行く準備をする。そして朝食を食べながらぼーっとテレビを見ていた。

これは俺が小学生の頃からの日課である。前は親とテレビを見ていたが今は一人暮らしの為一人ぼっちでぼーっとテレビを見る。少し寂しいが。


テレビ「猛烈な台風3号は北上を続けています。このままですと今夜にも上陸し、明け方に横断する見込みです。その為、大雨や突風に注意が必要です。」


ふーん台風か、

まぁなんとかなるだろとぼーっとテレビを見て、

時間になったので大学へ行く。

大学へ行く台風対策の為かバタバタと人々が忙しなく動いていた、

講義が終わると俺はサークル棟へ向かう、

俺は園芸サークルに入っていたりする、理由はかわいい女の子が多いからとか、スポーツ系より楽だから、とか、色々とあるが、一番はエロい形の野菜が作りたいからだ。

サークルに向かうと何やらバタバタしていた。

「あっ、カケル君!ちょうどいいところに。」

雨宮空似の美人な先輩が話かけてきた。

「どうしたんですか?」

「今日台風来るの知ってる?」

「ええまぁ。」

「それでね、こないだ植えたナスたちのハウスを風でやられないよう

強化しないといけないの。」

「大変ですね」

「あなたも来るの!」

「ええ」

そうして先輩に連れられハウスへ向かうそれにしても手を引かれるのこんなに興奮するっけ。ハァハァ。

俺の股間が軽くおナスになってしまいながらもハウスへ到着する。


ハウスでは台風に向けて補強対策が進んでいた。

皆がバタバタとせわしなく動いている。

「これ、あっちに持って行って取り付けて。」

先輩の指差す物を見ると鉄製の棒だ。

言われるがまま、指示に従い何も分からず、指示を聞きながら組み立てて行く。そうしていつの間にか夕方になっていた。

「これでなんとかなりますかねぇ」

「大丈夫だろ」

「そろそろ帰らないと」

と声が聞こえる

「みんなありがとう」

と声が聞こえた。声の方を見ると午前の講義の先生だった。

「これでひとまず大丈夫なはずよ。じゃあ皆さんは嵐になる前に帰りなさい」

先生がそう言うと、皆はくたびれた様子で片付けをして帰り支度をした。そうして解散となった。

くたびれながらも自宅につきテレビを見ていると台風中継をやっていた。

「猛烈な台風3号は勢力を維持したまま横断中です。台風周辺では記録的な雨と風が吹いています。くれぐれも外出はお控え下さい。」

予報図を見るとあと3時間後にちょうど強風域に入るところだった。

少し熱っぽい。

それからぼーっと台風中継をテレビで見ているとだんだん不安になってきた。何も分からず組み立てた骨組み。

大丈夫だろうか?

そうして時間がすぎ3時間が経った。

家が雨風でガタガタと音を立てる。台風の強風域に入ったのか。

音は強さをますばかりで不安を増大させる。

大丈夫だろうか?

何よりあのハウスが壊れたら先輩が悲しむだろうな。

そう考えると先輩の悲しげな顔が浮かんだ。

「よし、行こう」

そう決意しカッパを来て家を出る。

当たりは雨風が吹き荒んでいた。顔に雨が当たる風の勢いもあり痛い。

風で足が取られる。転びそうになるがなんとか踏ん張り大学へ向かう。

そうしてなんとか踏ん張りながら大学に着いた。

ハウスへと向かうと鉄骨がグラグラと音を立てていた

ちょうど補強したところが外れ掛かっている。

僕は急いで外れそうになっているところに行き鉄骨を支える飛ばされないように抑える。

そうこうしている内に雨風はどんどん勢いを増し襲い掛かってくる。立っているのがやっとだった。それでも懸命に抑える。

先輩の笑顔やこの野菜達の為に。そうして抑えつつ種が植えてある土の様子を見た。大丈夫そうだ。

懸命に抑えながら先輩の笑顔を思い浮かべた。なんだか元気になれる気がして。

「もう少しよ、頑張りなさい」

妄想の先輩が励ましてくれる。…いや先輩にしては声違う気がするぞ。

先輩はもっとこう優しくて透き通るような声で、こんな声高くてロリっ子ぽい、そう声優で言う釘宮理子さんみたいな声じゃない。

「こら、手の力抜けてるわよ!。持って行かれるわよ!」

「は、はい!」

僕はびっくりして、手の力を入れ直す。

ってさっきから喋ってるの誰だ!

気でも狂ったのか僕は。

「いい返事ね!」

と下から音が聞こえる。

「え、何、誰!」

僕はビクビクしながら声の方を向いた。

そこは僕がナスの種ところだった。

「なんだ気のせいか」

僕は視線を外し補強バーへと「気のせいじゃないわよ。あなたが植えたナスの種よ!」はい?

恐る恐る植えたナスのところを見る。土壌しかない。

「まさかそんなことある訳」

「何がまさかなの?」

釘宮ボイスが聞こえる

「ま、ま、ま、ま、まさかねそんな野菜の声が聞こえるなんてファンタジーじゃああるまいし、は、は、ははは」

僕はビクビクしながら声に反応した。

「失礼ね、野菜だって生きてるのよ!」

やっぱり聞こえる。

「何で、何で、聞こえるの?やっぱり僕は頭おかしいから、それとも頭打った???」

「落ち着きなさい!パニクらないで。しっかり聞いて。

ごくごくたまに、いるの!生き物の声が聞こえたり、幽霊と話せる人が、あなたもその類なだけよ!」

はい?!更に混乱を極めた。

嘘だろ?!自分がそんな特殊能力を持っているなんて。

そう否定するも声は聞こえ続ける。

「まさか、そんなはず。」

「でも、こうして喋ってるわ」

自身満々に釘宮ボイスのナスの種が言う。

「ほんとなのか?これ」

「ええ。あなたは野菜と話せる特殊能力を持っているの」

マジか。混乱する頭を必死に整理しようと考えようとする、しかし、雨風は強く僕に考える余地を与えてはくれなかった。

「ぐ、強く、なってきた」

「頑張るのよ、もう少しだから」

必死に踏ん張りながら鉄骨を抑える。

あの声は必死に励ましてくれた。

そうこうしている内に嵐は徐々に弱くなった。

「もう少しよ。頑張って」

心なしかぼーっとする。それでも必死に踏ん張り抑える。

さっきまで寒かったのに体が熱い。

だんだんとフラフラしてきた。

「あとちょっとよ」

声が聞こえる。意識が朦朧としてきた。

「見て。空が明るく…」

意識が遠のく。

「………」




「大丈夫?」

優しげな透き通った声が聞こえる。天使の声かもしれない。

目を開けるとそこにいたのは女神の先輩であった。


「あれ、僕は、一体」

「本当に心配したんだから。朝来たらカケルくん倒れてるし、すごい熱だし」

「あぁ、」

理解したあの後熱で倒れてしまったのか。

じゃあ昨日の声は幻聴かも知れないな。

「ありがとうございます。せんぱ…」

僕はふと先輩の名前をちゃんと聞いていないことに気づいた。

「あの!先輩の名前ちゃんと聞いて無いなぁと思いまして、」

「私の名前、のぞみって言うの。新堂希。でも元気そうで良かった」

「あはは、まぁ。身体は丈夫ですし、ありがとうございます希先輩」

「はい、でも無理しないでね。熱はまだあるみたいだから」

先輩は優しく微笑んでくれた。

「そういえば、ハウスはどうなったんですか?!」

僕は思い出し慌てて聞いた。

「後で一緒に見に行こっか?」

「はい」

「だから今は安静にしてなさい」

先輩はそう言って微笑むと保健室から出て行ってしまった。

そうして午前中は先輩に言われた通り安静に過ごした。

少し退屈ではあったが熱がやはり少しあるみたいでぼーっとする。

そうしている内に眠気が。


「起きて、カケル君」

希先輩の透き通った声が聞こえ目を覚ます。

「行こっか、ハウス」

希先輩は笑顔でそう言ってくれた。


昨日途中で意識がなくなったこともあり不安が少しある中先輩に連れられハウスへと向かう。

するとハウスは昨日の朝見た何事無かったようなキレイな状態だった。

「昨日カケル君が頑張ってくれたおかげだよ」

希先輩が言う。

少し嬉しくて涙が出そうになった。

「良かったです。意識なくなってどうなっているだろうと思ったんですけど何事もなくて」

「うん、ありがとう、昨日は偉いぞ」

希先輩は微笑むと僕の頭を撫でてくれた。

少し照れくさい。でも凄く嬉しい。

じゃあ私は先に戻るから。

と先輩は次の講義の為に急いで行ってしまった。

ハウスの中に入る。昨日必死に踏ん張ったところだ。

「昨日はありがと‥」

声が聞こえる。

声の方を見ると僕がナスを植えたところだ。

「っえ、声夢じゃあないの?」

「夢って何よ!昨日あんなに励ましてあげたのに」

「嘘だろ」

「ありがとな友よ」

と太い声

と当たりの土から声が聞こえる。

「感動したぜ」

「キャー私たちを守ってくれた勇者様よー」

「あー水ほし」

「昨日ありがとう」

「いよ大統領いい男だね」

イカン頭が痛くなってきた。

どうやら僕は野菜の声が聞こえる人みたいです。


どうなる、俺?!








作品に登場するキャラは脳内で声を保管して下さい

作品農大はフィクションです。ファンタジー農大として受け止めて下さい。農大内知らないんです。ごめんなさい許して下さい。何でもしますから。おねしゃす。

最後まで読んでくれてありがとナス。

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